ゴムの定性分析/FTIR,EDX

ゴムの定性分析/FTIR,EDX

ゴムの定性分析の手法として,迅速簡便な赤外分光光度計(FTIR)によるATR測定があります。ATR法ではプリズム表面にゴムを密着させることで簡単に赤外スペクトルを得ることができ,これによりゴムの定性分析を行うことができます。一方,蛍光X線分析装置(EDX)においても,非破壊で簡単,迅速に元素分析を行うことが可能です。
ここではゴム製のダイアフラムを試料として,FTIRおよびEDXによる定性分析を行いましたので,その解析結果をご紹介します。

■FTIR-ATR法による分析
1回反射ATR装置MIRacle(PIKE社製)のGeプリズムを用いて測定を行いました。測定の結果得られたスペクトルをベースライン補正し,スペクトル検索を行いました。下段は測定結果のスペクトル,上段はデータベースからヒットしたスペクトルで,PVC(ポリ塩化ビニル)を含んだニトリルゴムのスペクトルを示しています。
(赤外スペクトルにおいてはニトリルゴムは2200 cm-1付近のニトリル基,および966 cm-1付近の=C-H面外変角振動のピークから,またPVCは600 cm-1付近のC-Cl伸縮振動のピークからその存在が確認できます。ただし,測定結果スペクトルがGeプリズム自体の吸収の関係で700 cm-1以下の範囲が測定できていないためC-Clのピークが確認できません。)

FTIRデータ 測定ピーク(補正後)とライブラリヒットスペクトル

EDXによる定性分析結果

■EDXによる分析
上図は同じ試料をEDXで定性分析した結果です。分析元素範囲はNa~Uです。この結果より,主にS,Cl,Ca,Znが含有されていることがわかります。 EDXで検出されたClは,FTIRの検索結果よりPVCに含まれているものと推測されます。
一方,Caは炭酸カルシウムとして含有されていることが推測されます。
これは,炭酸カルシウムの赤外スペクトルに見られる特有のピーク(1430 cm-1,880 cm-1付近)がFTIRの測定結果にも認められることから判断できます。
以上の結果より,ゴム製ダイアフラムにはニトリルゴム,ポリ塩化ビニル,さらに炭酸カルシウムが含まれていると考えられます。
 


 

赤外分光光度計(FTIR)

主に有機化合物の構造推定(定性)を行う分析装置です。 赤外線を分子に照射すると,分子を構成している原子間の振動エネルギーに相当する赤外線を吸収します。この吸収度合いを調べることによって化合物の構造推定や定量を行います。
 

 

蛍光X線分析装置(EDX)

X線を試料に直接照射して,そこから発生する2次元X線(蛍光X線)のエネルギーと強度を測定します。これにより試料の構成元素(定性)と濃度(定量)が非破壊で測定できます。化学的前処理が不要で,多元素同時測定であるため迅速分析が可能です。固体,粉体,液体等のあらゆる試料形態の元素の種類を,簡単に短時間で特定することができます。
 

 

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