固体試料の炭素分析について

全有機体炭素計(TOC)

測定原理

  • 固体試料の炭素分析は、土壌や材料中の「炭素量」を評価するための重要な手法です。
    固体中に存在する全ての炭素成分は、全炭素(TC: Total Carbon)と呼ばれ、有機体炭素(TOC)と無機体炭素(IC:Inorganic Carbon)の2種類に大きく分類されます。
    なお、固体試料の炭素分析でいうICとは、厳密に言えば、炭酸体炭素を意味します。

  • 全炭素

TC測定原理

固体試料中のTCは、全ての炭素成分を酸素雰囲気下で高温にて燃焼・酸化させ、二酸化炭素(CO₂)に変換します。生成したCO₂の量を検出することで、TC量を定量します。

IC測定原理

固体試料に酸を添加することで、ICをCO₂として抽出します。生成されたCO₂の量を検出することで、IC量を定量します。
なお、ICを効率的に反応させてCO₂を抽出するためには、固体試料を粉末化し、あらかじめ適切な量の水を加える前処理を推奨します。

IC測定原理

TOC測定原理

固体中のTOC量は、基本的にTC測定値とIC測定値の差(TC-IC法)から算出します。

なお、TOCに比べてICが多い固体試料の場合、TC測定値とIC測定値の誤差がTOC値に大きく影響することがあります。そのような場合は、あらかじめ固体試料中のICを別途前処理で除去し、TC=TOCとして測定する方法もあります。ICの除去前処理には、実試料に応じてさまざまな方法がありますので、詳細は関連する試験方法や文献などをご参照ください。

溶液分析との違い

液体測定の場合はシリンジを用いて測定毎に一定の試料量を分析装置に注入できるので、標準液濃度と応答値で検量線を作成し、試料測定の応答値から炭素濃度(mgC/Lなど)を定量できます。​
しかし、固体測定の場合、測定者が試料重量を天秤で計量するため測定毎に測定する試料量が異なります。したがって標準物質濃度と試料重量から計算した「絶対炭素量」(mgCなど)と応答値で検量線を作成し、試料測定の応答値から得られた絶対炭素量を試料重量で割ることで炭素濃度(%Cなど)をもとめます。

固体試料の測定方法

  • 全有機体炭素計TOC-Lにオプションの固体試料燃焼装置SSM-5000Aを組み合わせることで、固体試料中の全炭素(TC)および無機体炭素(IC)を測定することができます。試料はSSM-5000Aで加熱・燃焼酸化(TC測定)、あるいは酸添加(IC測定)され、発生したCO2をTOC-Lで検出し定量します。固体試料のTC・IC測定は、土壌やコンクリート、汚泥などの有機物や炭酸量、材料物質中の炭素量など、様々な固体の評価に使用されています。さらに、固体試料をそのまま高感度に測定できるため、スワブ法による洗浄バリデーションや金属部品の残留油分測定にも用いられています。また、藻類を含む懸濁液や粘性の高い液体など、液体試料としてTOC-Lで測定することが困難な試料もSSM-5000Aで測定可能です。

  • 固体試料の測定

    TOC-L(左)とSSM-5000A(右)

固体試料の測定例

固体試料燃焼装置 SSM-5000Aによる測定例を示します。

環境

土壌や堆肥中の有機物量やCO2量の評価に利用されます。

 

工業材料・マテリアル

コンクリートなどの材料中の炭素量や劣化評価に利用されます。

 

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化学

原料や製品中の炭素含有量の評価や反応残渣の管理など、プロセスの最適化や品質管理を目的として利用されます。

 

電気・電子

部品表面の微量な有機汚染の評価に利用されます。

 

医薬

製造設備の洗浄バリデーションや医療器具表面の残留有機物評価など、高い清浄度が求められる場面で利用されます。

 

全有機体炭素計(TOC-L)コンフィグレータ
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