レーザーアブレーションの高速度撮影/HPV-X2

レーザーアブレーションの高速度撮影/HPV-X2

レーザーアブレーションとは,固体の表面にレーザー光を照射し,その照射強度がある閾値以上であるとき,プラズマの発生とともに固体表面の物質が放出される現象のことをいいます。レーザーアブレーションは加工,医療,材料作製など,多くの分野で利用されています。
特にレーザーアブレーションによる薄膜作製は,大量生産には向いていないものの,ターゲット(固体表面)と同じ組成比の薄膜を容易に作れる点や膜厚の変更が容易である点から広く利用されています。アブレーションによって放出される物質(プルーム)を観察し,レーザーアブレーションプルームの挙動を解明することは,成膜条件の最適化や薄膜開発につながります。

Fig.1 実験装置全体の様子(左),真空チャンバとHPV-X2(中央),ターゲットの様子(右)

Fig.1 実験装置全体の様子(左),真空チャンバとHPV-X2(中央),ターゲットの様子(右)

Table 1 撮影器具

高速度ビデオカメラ HPV-X2
レンズ 105 mmマイクロレンズ
照明 ストロボ

Table 2 撮影条件

撮影速度 1000万コマ/sec

薄膜作製装置は,アブレーション用のレーザーと真空チャンバから構成されます。ターゲットにレーザー光を照射し,上方の基板に成膜します。実験装置全体の様子,真空チャンバとHPV-X2,ターゲットの様子をそれぞれFig.1に示します。ターゲットは同じ位置のみがアブレーションされるのを防ぐため,回転機構が設けてあります。レーザー発振のタイミングを撮影のトリガにしました。Table 1に撮影器具を、Table 2に撮影条件を示します。

■ 撮影画像

撮影画像をFig.2に示します。Fig.2の画像(2)においてレーザーが照射されました。照射部は画像(2)の矢印部です。その後,アブレーションが起き,アブレーションプルームがターゲットに対して垂直方向に移動していき,プルームの発光強度が弱くなっていく様子がわかります。

Fig.2	撮影画像 (画像間の時間間隔は100 nsec)

Fig.2 撮影画像 (画像間の時間間隔は100 nsec) データ提供:京都大学田部研究室

■ 撮影動画

Fig.3に撮影動画を示します。Fig.4にターゲットからの距離とターゲットから垂直方向の輝度の関係を示します。この輝度は画像(2)~画像(16)のそれぞれの輝度から画像(1)の輝度(レーザー照射前)を引いたものになります。Fig.3よりアブレーションプルームの広がり方がわかります。また,画像間が100 nsecであることを考慮すると,レーザーアブレーションプルームの速度を求めることができます。
※ アブレーション全体を撮影するために絞りを開いたため,画像(3)~画像(7)の一部がハレーションを起こしています。


Fig.3 カメラの撮影動画
Fig.4	レーザーアブレーションプルームの輝度

Fig.4 レーザーアブレーションプルームの輝度

HyperVision HPV-X2 高速度ビデオカメラ

Hyper Vision HPV-X2
高速度ビデオカメラ

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