ペプチド医薬品
GLP-1受容体作動薬に代表されるペプチド医薬品は、高分子医薬品に比べ低コストでの製造が可能であり、分子量が小さいため細胞内に取り込まれやすい特徴があります。また、ペプチドへの修飾や立体構造によって、体内に取り込まれた際に分解を妨げることもできます。これらのペプチド医薬品は、合成過程で副生成物が生じることがあり、これが医薬品の効果や安全性に影響を与える可能性があります。ペプチド医薬品の研究開発や製造においては、粗精製品や精製品の確認、不純物の解析において分析機器が重要な役割を果たしています。これにより、製品の品質と安全性を確保し、効果的な医薬品を提供することが可能になります。

ペプチド医薬品の大部分は、低分子医薬品と同様に化学合成によって製造されます。そのため、医薬品として使用するには、不純物を除去して目的物の純度を高める分取精製が必須であり、逆相HPLCを用いた分取精製が広く利用されています。

ペプチド医薬品の合成過程では、副生成物が生じることがあります。これらの副生成物は、目的のペプチドとは異なる性質を持つため、医薬品の効果や安全性に影響を与える可能性があります。分離分析によって不純物の特定と定量を行うことで、製品の品質と効果を保証し、安全に使用できる医薬品を提供することが可能になります。

ペプチド医薬品原薬の確認試験として、アミノ酸配列の確認や質量分析計による分子量確認が行われます。また、品質管理における不純物の確認・同定においてもこれらの測定法は有効です。

合成後のペプチドを固定相から抽出する際にトリフルオロ酢酸(TFA)を用いるため、回収されたペプチドはTFAがイオン結合したペプチド・TFA塩となります。凍結乾燥後のペプチドの重量にはこのTFAの重量も含まれ、実際のペプチドの含有量に大きな影響を与えます。また、TFAはバイオアベイラビリティに影響を与える場合があり、塩酸塩などへの塩置換が必要です。このため、合成ペプチドの純度確認には、カウンターイオンの定量が必須です。