MALDI-TOF MSおよびプロテインシーケンサを用いた合成ペプチドのアミノ酸配列解析

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ユーザーベネフィット

-MALDI-ISDにより、ペプチドのアミノ酸配列の同定が可能です。 -MALDIの分子量測定またはMALDI-ISDの結果とプロテインシーケンサの結果を補完的に組み合わせることで、ペプチドの構造に依存することなく、全アミノ酸配列を同定することができます。

はじめに

ペプチド医薬品は、分子量が大きい抗体医薬品などと比較して経口吸収性や細胞膜透過性が高く、化学合成可能でコストを低減できるという特長があることから、近年注目を集めています。ペプチド医薬品が機能を持つためには、特定のアミノ酸配列が必要です。しかし、その合成過程では、ペプチド鎖の伸長反応の停止やアミノ酸の欠如などにより、副生成物が生成される場合があるため、最終合成品のアミノ酸配列の同定を行うことが必要です。 ペプチドやタンパク質のアミノ酸配列解析においては、質量分析装置の技術的発展に伴い、質量分析装置とそのデータベースを用いることで、ハイスループットな解析が主流となっています。問題点として、構成アミノ鎖の側鎖の修飾などで、質量分析から得られた結果と理論質量が異なることがあると、データベースの検索結果が不正確または不確実なものとなってしまうことがあります。また、ゲノムデータベース化が完了していない生物種において、質量分析装置を用いたアミノ酸配列同定は煩雑で、得られた配列の信頼性に欠けることがあります。 一方、エドマン分解によるアミノ酸配列解析は、N末端から各アミノ酸を1つずつ順番に分析し同定するため、質量およびデータベース依存性等の問題はありません。しかし、長い配列情報の解析は、エドマン分解の効率低下や修飾アミノ酸解析が困難であるという限界もあります。 本アプリケーションニュースでは、卓上型MALDI-TOFMS“MALDI-8030”から得られた配列情報と従来のエドマン分解を用いたプロテインシーケンサPPSQ™-50Aシリーズを使用した、2種類の合成ペプチドのアミノ酸配列同定について報告します。

2024.08.21