SPM-8100FM

走査型プローブ顕微鏡 (Scanning Probe Microscope)

 

大気中・液中観察例

鉛フタロシアニン結晶薄膜の分子配列構造

有機ディスプレイや色素増感太陽電池に用いられるフタロシアニンの結晶です。分子中央の金属原子を取り囲む四つ葉状の形状が大気中でも観察されました。

ポリジアセチレン結晶の原子欠陥

大気中で劈開したポリジアセチレン結晶表面を観察しました。広域画像(左図)で観察されたテラス上を拡大すると,右図のようにb軸に平行な0.75 nm間隔のジアセチレン主鎖に沿って,0.5 nm間隔で並ぶ個々のPTS(para-toluenesulfonate)側鎖が観察できています。原子欠陥が見えていることから,この像が画像処理等による格子周期像ではなく実空間像であることが証明されています。

液中観察例

蛋白質結晶の分子配列1)

卵白由来のリゾチームを飽和水溶液中で観察しました(下図)。表面ユニットセル(下右図中の破線四角)内に,相当する個々の蛋白質分子(下左図中の○印)が観察されます。従来のAFM では,ユニットセルの内部までは撮像できませんでしたが,HR-SPM により初めて4つの蛋白質分子が観察され,右のモデル図と一致することが確認できました。

蛋白質の分子構造


混晶系の結晶構造

混晶系の結晶構造

混合溶液中でNaCl 単結晶表面にエピタキシャル成長したNa2MgCl4結晶を観察しています。結晶構造が観察できるので,混晶系の試料の構造特定に応用できます。


カルサイト劈開面の原子構造2)

カルサイト劈開面の原子構造

純水中でのカルサイト表面構造の原子分解能観察です。左図の画像にはカルサイト表面の欠陥が見えます。

シャーレ型溶液セル(オプション)を使用

<引用文献>

 
1) K. Nagashima, M. Abe, S. Morita, N. Oyabu, K. Kobayashi, H. Yamada, R. Murai, H. Adachi, K. Takano, H. Matsumura, S. Murakami, T. Inoue, Y. Mori,M. Ohta, R. Kokawa, Molecular resolution investigation of tetragonal lysozyme(110) face in liquid by FM-AFM, Journal of Vacuum Science and Technology B 28 (2010) C4C11-C4C14
2) Sebastian Rode, Noriaki Oyabu, Kei Kobayashi, Hirofumi Yamada, and Angelika Kuhnle, True Atomic-Resolution Imaging of (1014) Calcite in Aqueous Solution by Frequency Modulation Atomic Force Microscopy, Langmuir, 2009, 25 (5), pp 2850‒2853
 

操作性の向上

  • HTスキャナの搭載により、観察エリアが拡大、さらに高速に!
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水和・溶媒和構造の観察例

水和・溶媒和とは

水和・溶媒和構造

固体と接する液体は層状に構造化することが知られており,それを溶媒和,水の場合は水和と呼びます。
バルク液体とは異なった特徴的な構造は,液相内での溶解,化学反応,電荷移動,濡れ,潤滑,熱伝導など固液界面が果たす役割を大きく支配していると考えられています。
しかし,水和・溶媒和構造は,非常に薄い層であるため,実験的に計測することは簡単ではありません。
とりわけ,表面の面内方向に不均一な構造はこれまで検知できませんでした。

従来のAFMとの違い

水和・溶媒和を計測する際の,カンチレバーが受ける力の変動は非常に小さいため,超高感度なFM方式により初めて計測することが可能となりました。Z-X断面の水和・溶媒和構造計測だけでなく,Z-XYの三次元構造解析も可能です。HR-SPMは表面観察だけではなく,固液界面の構造解析装置に進化します。

マイカ表面の層状の水和構造が三層目まで可視化されている(シャーレ型溶液セル(オプション)を使用)。


水和・溶媒和の計測方法

 

  1. 液中でHR-SPM を動作させ,カンチレバーを固体試料表面に設定値(Δ fmax )まで高精度に近づけます。
  2. その際にカンチレバー先端の探針が受ける力をフォースカーブ法により計測します。
  3. 固液界面のごく近傍において,試料に応じて特徴的な力(Δ f )の変動が得られます。
  4. 力の変動は水和・溶媒和に起因しており,層状に構造化した液体に関する知見が得られます。
  5. X 方向に連続取得(Z-X 計測)することにより,一断面での水和・溶媒和構造が可視化できます。
  6. さらに,Z-X 計測をY 方向に取得していくことで,三次元マッピングデータの取得が可能です。

 


解析ソフトウェア

三次元マッピングデータの解析専用のソフトウェアです。水和・溶媒和構造のデータの解析を強力にサポートします。
 ・マッピングデータの三次元表示
 ・マッピングデータから二次元画像データの抽出・表示
 ・二次元画像データ上で指定した一次元データの表示・解析

水和・溶媒和構造の計測例

グラファイトに接する1-デカノールの界面構造

グラファイト上に形成された1-デカノール分子膜を観察しました(左図)。デカノール2分子が一つの組となり帯状の分子膜が形成されている様子が観察されています。
吸着分子層に接したデカノール液体の断面構造を計測しました(右図)。液体のデカノールが層状に構造化していることや面内方向に不均一な分布が存在することが分かります。

 


p‒ニトロアニリン結晶に接する飽和水溶液3)

Z-X計測(左図)で凸部がベンゼン環,凹部が親水性官能基の位置にあたります。それぞれの位置でのフォースカーブ(Z -Δ f 曲線)から,親水基がある凹部では水分子の局在による強い水和が見られます。このデータから,下図のモデルのように,水分子は極性基と水素結合し,安定化していると考えられます。(シャーレ型溶液セル(オプション)を使用)

<引用文献>

 
1) K. Kimura, S. Ido, N. Oyabu, K. Kobayashi, Y. Hirata, T. Imai, H. Yamada, Visualizing water molecule distribution by atomic force Microscopy, Journal of Chemical Physics, 132, 19, 194705 (2010).
2) Kei Kobayashi, Noriaki Oyabu, Kenjiro Kimura, Shinichiro Ido, Kazuhiro Suzuki, Takashi Imai, Katsunori Tagami, Masaru Tsukada and Hirofumi Yamada, Visualization of hydration layers on muscovite mica in aqueous solution by frequency-modulation atomic force microscopy, Journal of Chemical Physics, 138, 184704 (2013).
3) Rina Nishioka, Takumi Hiasa, Kenjiro Kimura, and Hiroshi Onishi, Specific Hydration on p Nitroaniline Crystal Studied by Atomic Force Microscopy, J. Phys. Chem. C, 117, 2939-2943 (2013).

液中原子分解能観察

液中原子分解能観察

NaCl表面の原子配列を飽和水溶液中で観察しています。従来のAFM(AM方式:左)では,ノイズに埋もれている原子が,FM方式(右)では鮮明に観察されます。
FM方式では,真の原子分解能( True Atomic Resolution)が得られます。

 

Pt触媒粒子の大気中KPFM観察1)

Pt触媒粒子の大気中KPFM観察

TiO2基板上のPt触媒粒子を識別し,KPFMにより表面電位を測定しました。数nmサイズのPt粒子の基板との電荷のやりとりが観察されています。右図中,赤領域は+ 電位,青領域は-電位です。KPFMにおいても,圧倒的に分解能が向上していることがわかります。

*KPFM(Keivin Probe Force Microscope)機能は特注です

<引用文献>

 
1) Ryohei Kokawa, Masahiro Ohta, Akira Sasahara, Hiroshi Onishi, Kelvin Probe Force Microscopy Study of a Pt/TiO2 Catalyst Model Placed in an Atmospheric Pressure of N2 Environment, Chemistry ‒ An Asian Journal, 7, 1251-1255 (2012).

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