Prominence UFLC
超高速と高分離能
HPLCの高速化は,分離カラムに超微細粒子充てん剤を使用し,移動相流量を上げることで可能となっていきます。 一方で分析そのものの時間が短縮されていくにつれて,分析サイクルに占める分析以外の部分「オートサンプラの注入に要する時間」「グラジエント遅れ時間やコンディショニング時間」の割合が見逃せなくなってきています。
これらの課題を解決して,トータルの分析サイクルを無理なく短縮可能としたのが,Prominence UFLC です。
超高速LC分析・・・汎用LCの分析時間を1/10に短縮
下記は,Prominence UFLC に新開発の逆相カラムShim-pack XR-ODSを組み合わせたシステムと,汎用LC(150mmL.×4.6mmi.d.,5μm)とを比較したデータです。 汎用LCでは 35分を要していた ベンゾフルオランテン異性体(ピーク7,8)の分離度1.2 の分離状態を,UFLC は,僅か3.5分で達成しました。 またベンゾペリレン(ピーク9)に着目しても 保持時間は 50.4→5.07分,理論段数は10,600→11,900 と悪影響は見られません。
このように,UFLCは,分離を損なうことなく,汎用LCに対して分析時間を1/10に短縮することができます。 (なお分析時間短縮の度合いは,分析条件などによって異なります)

Peaks
1.fluorene
2.phenanthrene
3.anthracene
4.fluoranthene
5.pyrene
6.chrysene
7.benzo(b)fluoranthene
8.benzo(k)fluoranthene
9.benzo(g,h,i)perylene
トータル分析サイクルの短縮
高速カラムでの分離時間短縮が進むと,分離以外に掛かる時間が目立つようになってきます。 オートサンプラの注入に要する時間,グラジエント遅れ時間やコンディショニング時間がそれに当たります。 もしもオートサンプラの注入動作に時間が掛かると分析サイクルの大半を占めてしまう可能性もあります。 UFLC は 高速注入動作(10μL注入時10秒)のオートサンプラを採用しており,真の高速,つまりトータル分析サイクルの短縮に貢献します。
<3回連続で高速分析を行った場合のトータル時間比較>
(* 分析時間を30秒,他の高速LCの注入動作を30秒とした際の比較)

また,オートサンプラのオートパージをはじめとした多彩な自動化機能も立ち上げの手作業時間の短縮に寄与します。
なお,グラジエント時のカラム入り口濃度変化の遅れ時間,や初期状態へ戻すためのコンディショニング時間を短縮するため,UFLCはシステム容量を大きく低減しました。
以上のような UFLCの特長はグラジエント分析においていかんなく発揮されます。 下のデータでは,1分析サイクルがわずか30秒あまり という超高速グラジエント分析が実現できています。
UFLC は,システムとカラムの効率を最大限高めることにより,超高圧を用いないでも,卓越したスピードと高い分離能をお届けします。
<超高速グラジエントを実現>
カラム:Shim-pack XR-ODS (30mmL.×3mmi.d.), カラム温度: 80℃,
移動相:水/アセトニトリル グラジエント溶出, 流量: 3.0mL/min, 検出: 245nm
試 料:アルキルフェノン類

高分離分析・・・・汎用LCに対して3倍の分離能力
また,Shim-pack XR-ODS は充填剤粒子径が小さいながらも高圧(圧力損失)が掛かりにくいため,高速カラムの中では長いカラムが使用しやすくなっています。 従って分析時間を長くせずに,従来得られなかった高い理論段数による高分離クロマトを得ることも可能になります。 下記例は UFLCとXR-ODS によるベンゾフルオランテン異性体の分離を,汎用LCと比べたものですが,汎用LCよりも分析時間が短いにも拘わらず,分離度(Rs)は大幅に向上,理論段数も約3倍向上しました。

Peaks
1.fluorene
2.phenanthrene
3.anthracene
4.fluoranthene
5.pyrene
6.chrysene
7.benzo(b)fluoranthene
8.benzo(k)fluoranthene
9.benzo(g,h,i)perylene