バイオ医薬品凝集性評価システム Aggregates Sizer

バイオ医薬品凝集性評価システム Aggregates Sizer

 

測定原理

なぜレーザ回折・散乱法で濃度(μg/mL)としての粒子径分布が測定できるのか?

濃度の異なる同一サンプルを測定したときの回折・散乱光の光強度分布データです。パターン(検出素子番号と光強度の関係)は,濃度に依存せず相似形になっていますが,WingセンサIIの個々の検出素子で得られる光強度は濃度に比例しています。

しかし測定結果としての粒子径分布は全体を100%として正規化を行っているため,従来の粒子径分布測定では,濃度が異なっていても測定結果はほとんど変化しません。

光強度の情報(大きさは濃度に比例)

「相対粒子量としての粒子径分布(合計は100%)」のデータでは,サンプルAとサンプルBの粒子径分布に違いはありませんが,これに散乱光強度の情報を加味すると,「濃度の違いを反映した粒子径分布」が得られます。ただし,この段階では,粒子量に単位がありません。 そこで濃度が既知なPSL(ポリスチレンラテックス)標準粒子で校正を行い,比例定数を決めておけば,これを用いて濃度(単位:μg/mL)としての粒子径分布を求めることができます。

レーザー回折・散乱法(Laser Diffraction Method)の測定原理

● 粒子径と光強度分布パターンの間には,1対1の関係があります。

「粒子による回折・散乱現象」と「粒子径と光強度分布パターンの関係」


粒子にレーザービームを照射すると,その粒子からは前後・上下・左右とあらゆる方向に光が発せられます。これが「回折・散乱光」です。回折・散乱光の強さは,散乱角度とともに変化し,空間的な強度分布パターンを描きます。これが「光強度分布パターン」です。
粒子径が大きい場合,粒子から発せられる回折・散乱光は前方(レーザビームの進行方向)に集中し,図では表現できないほどの狭い角度範囲で激しく変動します。前方の光に比べると,それ以外の方向の光は非常に弱いものとなります。粒子径が小さくなるにつれ,回折・散乱光のパターンは前方方向から周辺へ広がっていきます。 粒子径がさらに小さくなると,側方光や後方光も強くなってきます。このとき,光強度分布パターンは,まるで「マユ」や「ひょうたん」のような形になってあらゆる方向に広がっていきます。このように粒子径と光強度分布パターンの間には,1対1の対応関係が存在しています。つまり,光強度分布パターンを検出すれば粒子径を計算する事が可能となります。

● 青紫色レーザーを採用すると,より小さな粒子が正確に測定できます。

粒子径が小さくなると,粒子径が変化しても光強度分布パターンがほとんど変化しなくなります。これがレーザ回折式粒子径分布測定装置において測定下限が存在する理由です。青紫色レーザを用いると赤色レーザの場合に比べて,より小さい粒子でも光強度分布パターンの差が明確に現れます。

● 測定対象は粒子群です。

実際の粒子径分布測定では,測定対象は単一の粒子ではなく多数の粒子からなる「粒子群」です。 粒子群には大きさの異なる多数の粒子が混在しており,発せられる光強度分布パターンはそれぞれの粒子からの回折・散乱光の重ね合わせとなります。この重ねあわされた光強度分布パターンを検出して解析することで,「どれくらいの大きさの粒子がどれくらいの割合で含まれているか(粒子径分布) 」を求めることができます。

Aggregates Sizer の光学系

● Aggregates Sizer の光学系

光源(半導体レーザー)から発せられたレーザービームはコリメータによって少し太い平行ビームに変換され,粒子群に照射されます。粒子群から発せられた広角60度までの前方散乱光(回折・散乱光)はレンズによって集光され,焦点距離の位置にある検出面に同心円状の回折・散乱像を結びます。これは,同心円状に受光素子が配置されたWingセンサⅡで検出されます。側方や後方の散乱光も側方および後方散乱光センサで検出されます。このようにして検出された全ての方向の光強度データが「光強度分布データ」となります。

光強度の検出とデータ処理の流れ

● 光強度の検出とデータ処理の流れ

バイオ医薬品凝集性評価システム Aggregates Sizer では,この光強度分布データに基づいて粒子径分布を計算しています。検出およびデータの流れを左図に示します。測定の場合には,回折・散乱光の光強度分布パターンの検出から粒子径分布の計算までが一度に実行され粒子径分布データが出力されます。

従来の「レーザー回折・散乱法」に基づく粒子径分布測定装置では,全体を100%とする相対粒子量としての粒子径分布が求められますが, Aggregates Sizer では,PSL標準粒子を用いた校正に基づいて回折・散乱光強度レベルより濃度(単位:μg/mL)としての粒子径分布が出力されます。

 

SVP領域の粒子径測定が1つの装置で可能になります

バイオ医薬品凝集性評価システム専用ソフトウェアWingSALD bioを使用することで縦軸を濃度(μg/mL)として定量的に評価することができます。

バイオ医薬品凝集性評価システム専用ソフトウェアWingSALD bioを使用することで縦軸を濃度(μg/mL)として定量的に評価することができます。

測定終了後,測定データは表示データ一覧に追加され,データの確認・解析や現在読み込んでいる他データとの比較などを行うことができます。


上記グラフは下記2つのグラフの重ね描きグラフとなっています。2つのグラフは粒子径分布の積算グラフと差分グラフになります。積算グラフは折れ線で表示され,横軸に表示される粒子径以下を全て積算した量を縦軸の数値Q(μg/mL)として表示しています。差分グラフはヒストグラムで表示され,横軸に表示される粒子径範囲に含まれる量を縦軸の数値q(μg/mL)として表示しています。

積算の粒子径分布グラフ

積算の粒子径分布グラフ

差分の粒子径分布グラフ

差分の粒子径分布グラフ

 

高い濃度直線性

ポリスチレンラテックス1μmの測定結果

ポリスチレンラテックス1μmの測定結果
(サンプル濃度:0.1ppm, 0.5ppm, 1ppm, 2,5ppm, 5ppm)

ポリスチレンラテックスをさまざまなサンプル濃度(0.1ppm, 0.5ppm, 1ppm, 2,5ppm, 5ppm, 10ppm)で測定した結果です。線グラフは横軸が実際に添加したサンプル濃度で,縦軸がAggregates Sizerでの測定値となります。濃度は,ほぼ添加したサンプル濃度に近い値になり,高い直線性を示しました。

 

高再現性

レーザ回折・散乱法で高い再現性を実現するために,試料から発せられる回折・散乱光を正確に捉える安定した光学系を構築しました。

下表はポリスチレンラテックス1μmにおいてサンプル濃度(0.5ppm, 1ppm, 2.5ppm, 5ppm)を変えて繰り返し測定を行った結果です。
サンプル濃度別のCV値は,すべて3%以内に入っています。

サンプル濃度(ppm) 濃度(μg/mL) Average StDev CV(%)
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目
0.5 0.540 0.513 0.513 0.511 0.513 0.518 0.012 2.380
1.0 1.024 1.036 1.025 1.025 1.033 1.029 0.006 0.535
2.5 2.566 2.600 2.586 2.586 2.589 2.585 0.012 0.475
5.0 4.900 5.001 5.018 5.035 5.058 5.002 0.061 1.219
  Average CV 1.152

 

 

複数ピークの粒子径分布も正確に検出する高分解能

粗い粒子からの散乱光は光軸近傍の低角度に集中し微小角度内で激しく変動しますが,微小粒子からの散乱光は中心から高角度まで緩慢に変動します。一方粗い粒子からの散乱光強度は非常に強く,微小粒子からの散乱光強度は微弱です。 Aggregates Sizerで採用したWingセンサⅡでは,同心円状の78個の検出素子を中心から周辺に向かって対数的に検出面積が増加するように配置し,粒子径と散乱光の関係を効果的に利用することによって広い粒子径範囲における高分解能を実現しています。

複数ピークの粒子径分布も正確に検出する高分解能
ポリスチレンラテックスの1μm(濃度:約9γg/mL)と5μm(濃度:約4γg/mL)を1対1で混合したサンプルを測定した結果

上図は,ポリスチレンラテックスの1μm(濃度:約9μg/mL)と5μm(濃度:約4μg/mL)を1対1で混合したサンプルを測定した結果です。
PSL1μmの濃度は,分布が終わる地点の積算値で9.114μg/mLに相当します。また,PSL5μmの濃度は3.553μg/mL(全体の積算値12.667μg/mLと9.114μg/mLとの差)となり,濃度比に近い結果が得られました。

 

Aggregates Sizer TC

バイオ医薬品凝集性評価システム (温調機能付)

バイオ医薬品凝集性評価システムAggregates Sizerに温調セルユニットが追加されました。
これにより,通常の測定より,時間がかかる回分セルの攪拌機能を用いた機械的ストレス試験でも温度による凝集体生成の影響なく測定することができます。また,マイクロセルについては,従来の400 μLから125 μLに変更し,サンプルの微量化も実現しました。

特長1:凝集体生成の過程をタイムリーに把握できる -連続測定機能の改良-

連続測定機能では,測定間隔を30秒から設定可能で最大200データの連続(経時変化)測定が可能です。
また,測定中は,経過時間・残り時間を表示するだけでなく,現在測定中の粒子径分布をリアルタイム表示をしたり,測定済データを併せてデータ処理ができるため,凝集体生成の過程がタイムリーに把握できます。

 Aggregates Sizer 温調セルユニット:特長1

Aggregates Sizer 温調セルユニット:特長1

標準付属の循環恒温槽を用いて温度範囲20〜42℃(温度精度:±1℃)を一定温度でPC制御することが可能になりました。
これにより,温度による凝集体生成の影響なく,一定温度条件下で凝集体評価を行うことができます。

<実施例:タンパク質溶液に対するポリソルベート添加の有無における凝集体生成の比較>

 Aggregates Sizer 温調セルユニット:実施例

ポリソルベート添加なし

【サンプル】 ウシ由来 γ-グロブリン
【溶液】 リン酸バッファ(pH7.4, NaCl 150 mM)+(ポリソルベート20)
【サンプル濃度】 1 mg/mL
【条件】 ステンレス撹拌棒による撹拌(5分間隔で40分間:25℃一定)

 Aggregates Sizer 温調セルユニット:実施例

ポリソルベート添加

特長2:セル容量を125 μL(従来比1/4)に削減しました

 Aggregates Sizer 温調セルユニット:特長2

測定に影響しない領域を出来るだけ排除することにより,サンプル必要量を従来の400 μLから125μLに低容量化しました。また,マイクロセルの材質を全て石英ガラスに変更したことにより,薬剤(アルカリ)洗浄や超音波洗浄が可能です。

特長3:必要な情報がすぐに得られるソフトウエア機能の追加

 Aggregates Sizer 温調セルユニット:特長3

個数濃度(個/mL)での表示
従来表示していた質量濃度表示(μg/mL)に加え,個数濃度(個/mL)も表示できるようになりました。

任意の粒子径区間での凝集量評価
これまでご使用中の手法(粒子カウンターなど)に合わせた粒子区間表示が可能です。さらに,今後決定されると予想される規格や規制に対応した粒子径区間での粒子量の評価も可能です。

仕様

Aggregates Sizer 温調機能付
回分セルユニット(温調機能付)
セル材質 石英ガラス,PTFE(ロート/キャップ)
必要液量 約5mL
撹拌機構 撹拌用プレートの上下運動による
撹拌プレート材質注) ステンレス,ガラス,PEEK
 
マイクロセルユニット(温調機能付)
セル材質 石英ガラス,PTFE(キャップ)
必要液量 125μL
温度範囲 20 ~ 42℃ 一定温度
温調精度 ±1℃
使用環境 温度:10 ~ 30℃,湿度:20 ~ 80%
循環恒温槽
メーカー Julabo製
型名 F25-ME
PC制御 RS232C接続
大きさ・重さ W230mm×D420mm×H610mm,31kg
所要電源 AC100V,13A,50/60Hz

注) 回分セルの撹拌プレートはバイオ医薬品製造・保管などでよく使用される材質3種類(ステンレス, ガラス, PEEK)すべてを標準装備しています。

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