臨床検査薬(体外診断用医薬品)の反応性/安定性の評価

バイオ医薬品凝集性評価システム Aggregates Sizer

臨床検査薬(体外診断用医薬品)の中には,粒子(ビーズ)に抗原もしくは抗体を付着させ,検体を添加した際の抗体抗原反応による凝集を利用して病気や妊娠の有無について診断を行うものがあります。この場合,凝集を無制限に促進した方がよいものと,診断薬を含む診断用パッケージの性能を維持するために,凝集を一定範囲内に抑制しなければならないものがあります。さらに適正な反応を担保するために,pH や塩濃度などの条件を厳密にコントロールすることが重要であり,これらの条件と凝集体のサイズおよび濃度の関係を,創薬段階で十分に評価し,それに基づいて厳密な品質管理を行う必要があります。
ここでは,構造が共通の「 proteinA 修飾ビーズ 」を用いて,Aggregates Sizer による上記評価の可能性を検討してみました。

抗体付きビーズの分散性の濃度依存性に関する評価

市販のProteinA修飾ビーズ ( 1µm ) には,凝集体が含まれており,それを分散させる際の濃度によって超音波照射を用いたときの分散性が異なる場合があります。
この種の臨床検査薬の場合,適正に分散していないと,本来の目的である抗体抗原反応による凝集が再現性良く評価できない可能性があるので,分散性の評価は重要です。

Fig.1 濃度による分散性の違い

Fig.1 濃度による分散性の違い

サンプルおよび測定条件

サンプル:市販の proteinA 修飾ビーズ ( 1µm )
媒液:リン酸バッファ ( pH7.4, NaCl 150mM )
サンプル濃度: ( 分散時 ) 2.5 mg/mL, 25 mg/mL
  ( 測定時 ) 5 µm/mL
分散条件:超音波バス ( 100W ) 1分

この実験は,ビーズの濃度が高い状態で,超音波分散を行っても,ほとんど効果がないことを示しています。
一方,Aggregates Sizer を用いれば,抗体付きビーズの分散状態を,容易に評価できることを示しています。

媒液による抗体付きビーズの安定性評価

抗体付きビーズを用いて媒液が PBS のみと高濃度の塩( NaCl )を添加した場合の凝集性の比較を行いました。

サンプルおよび測定条件

サンプル:市販の proteinA 修飾ビーズ
媒液:  リン酸バッファ ( pH7.4, NaCl 150mM )
   ( +3M NaCl )
サンプル濃度:5 µm/mL
温度:25 ℃
ポリスチレンラテックス1μmの測定結果

( 1 ) 媒液はPBSのみ

ポリスチレンラテックス1μmの測定結果

( 2 ) 媒液はPBS + 3M NaCl

Fig. 2 媒液条件による安定性の比較

これは,臨床検査薬の添加剤に対する安定性評価手法の提案です。
診断に用いられる抗体抗原反応以外にも,サンプルに含まれる成分によって凝集が起きる可能性があり,これらの成分に対するビーズの安定性をAggregates Sizerを用いて評価できることを示しています。

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