DSC、TG-DTA測定 Q&A|キャリブレーション
Q. キャリブレーションとは何ですか?
A.
標準物質を測定して得られた融点と融解熱量を文献値等と比較することにより、正しく温度や熱量を測定できるように装置を校正することです。
測定する試料の温度域が変更になるときは、測定前にキャリブレーションを行います。また、しばらく装置を使用しなかった場合にも、測定前にキャリブレーションを行うことをおすすめします。
Q. キャリブレーションはどのように行うのでしょうか?
A.
例えばDSCの場合は、まず融点と融解熱量がわかっている標準物質を準備し、その融解を測定します。この実測定で得られた融解温度と融解熱量の値からキャリブレーションを行います。
通常は、この融解温度と融解熱量の値をソフトウェアに入力することで、ソフトウェアが文献値と測定値を自動で比較し、装置のキャリブレーションが完了します。
標準物質は、純度99.99%以上のものを使用します。また、セルや雰囲気、加熱速度といった測定条件は、できる限り実際の測定時と同じにしてください。
Q. キャリブレーションで使用する物質はどのようなものがありますか?
A.
標準物質として用いる純物質は、校正する温度域によって以下のものがあります。
純物質名 | 融点 ℃ | 融解熱 J/g |
---|---|---|
インジウム | 156.5985 | 28.58 |
スズ | 231.928 | 60.42 |
鉛 | 327.46 | 23.08 |
亜鉛 | 419.527 | 108.09 |
アルミニウム | 660.323 | 399.87 |
日本熱測定学会編、熱量測定・熱分析ハンドブック 第3版、P348(2020)