フードメタボロミクス
メタボロミクスは低分子化合物を網羅的に分析・解析する手法です。食品や植物、またその安全性、品質、栄養などについて調査し理解することで、食品業界に応用できる可能性があります。用途としては、(1) 食品に含まれる成分の特徴付け、(2) 混入成分、汚染物質、腐敗の原因物質の特定、(3) 栽培条件と地域が農産物の品質に与える影響を調査、(4) サプライチェーンにおける加工・輸送方法が食品に与える影響を調査 といったケースなどに応用されています。食品メタボロミクス(フードメタボロミクス)においては、フーリエ変換赤外分光法 (FTIR) や質量分析計の前段にクロマトグラフィーを配置したLC-MS/MSやGC-MS/MSなどの分析技術によるターゲット/ノンターゲットなアプローチが有効です。
これまで食品の品質を定量的に評価する手法としては、風 味や味覚といった要素を官能試験で数値化する方法が広く行 われてきました。最近では、食品中の含有成分を網羅的に解 析するメタボロミクスデータを官能試験の分析結果と組み合 わせることで、より多くの情報量を入手しようとする試みも 行われています。また多岐にわたる含有成分の違いを見つけ 出すためには、網羅的な分析データに対して多変量解析を組 み合わせることが、有効な選択肢となります。このような多変量解析とメタボロミクスとの組み合わせは、品質評価や品 質改良、さらには優れた機能性食品の開発への応用にも期待 がもたれています。