生体中の代謝物は,食品の味や香りなどに広く関わることから,代謝物を網羅的に解析するメタボローム解析手法を呈味成分の解析や発酵食品の品質の安定化など,食品の研究開発に応用する動きが進んでいます。分離能・定量性・安定性に優れたトリプル四重極型質量分析計(GC-MS/MS,LC-MS/MS)と一次代謝物測定用のデータベースを組み合わせた「ワイドターゲット定量メタボローム解析」アプローチは,効率的かつ効果的に解析手法として,食品開発の場にも用いられています。

一次代謝物分析用データベース

GC/MS用データベース Smart Metabolites Database Ver.2

登録化合物 誘導体化法 測定法 登録成分数
有機酸・脂肪酸・
アミノ酸・糖類など
TMS Scan 627
MRM 540
脂肪酸 Methylation Scan 50
MRM 50
Acetylation
MRM/SIM 24
 
 

LC/MS用データベース LC/MS/MSメソッドパッケージ Ver. 3

登録化合物 メソッド 登録成分数
主要代謝経路上の代謝物やアミノ酸・ヌクレオチドなど イオンペア試薬を使用 112
アミノ酸・有機酸・塩基など PFPPカラムを使用 141
 

フードメタボロミクスの応用例

項目 対象 成分 サンプル
おいしさ 呈味成分 一次代謝物,ジペプチド
酒類,飲料,発酵食品,農作物
におい 揮発性成分
機能性 機能性成分 二次代謝物 農作物,発酵食品,生薬
成分の効果 一次代謝物 血液,尿,細胞
品質・生産性 発酵・醸造生成品 一次代謝物 発酵食品
育種(農作物) 一次代謝物,植物ホルモン 農作物
流通・保存 成分の劣化(食品偽装,流通・保管品質) 揮発性成分,一次代謝物 農作物,食品