ICPE-9800シリーズ
食品/ 農業
ICPE-9800シリーズは
- 軸/横両方向観測により, ppbからパーセントに渡る広いダイナミックレンジを実現します。
これにより,幅広い濃度範囲の一斉分析が可能となり,スループットが向上します。 - 全波長取得システムが,軸/横両方向から最適な波長を選択し,常に最適なメソッドを提供します。
- 島津の独自システム(Ecoモード,ミニトーチシステム,真空分光器)により,アルゴンガスの消費量を大幅に低減し,トータルのランニングコストを半分以下に削減できます。※
※パージ分光器との比較
チーズと飲料水中の元素分析
元素名 | Pb | Cd | Fe | Mn | K | Mg | Na | Ca | |
チーズ 分解液 | mg/L | < 0.001 | < 0.0003 | 0.04 | 0.007 | 23.0 | 11.7 | 469 | 337 |
観測方向 | 軸 | 軸 | 軸 | 軸 | 横 | 横 | 横 | 横 | |
飲料水 | mg/L | < 0.001 | < 0.0003 | 0.06 | 0.005 | 0.70 | 2.95 | 4.48 | 12.5 |
観測方向 | 軸 | 軸 | 軸 | 軸 | 軸 | 軸 | 横 | 横 |
水の安全と環境を守るための厳しい基準値を常に満たすため,環境分野では法令に対応した高感度な分析と,堅牢性が必要とされています。さらに,1日100件を超える検体数の処理を行うラボでは,スループットの向上や省力化も課題です。
ICPE-9800シリーズは
- トーチ縦方向配置により,トーチの詰まりやメモリー効果を抑制できます。
メモリーの残りやすいホウ素も短いリンス時間で測定でき,分析時間を短縮できます。
また,長時間に渡り,安定した分析が可能です。 - 軸方向観測は,最高感度が得られるように最適化されています。高感度測定には軸方向観測が最適です。
- オプションの超音波ネブライザーや水素化物発生装置は,更なる高感度化を実現します。

医薬品中の元素不純物分析は,日米EU各局の調和を目指したICH Q3Dの制定が進んでおり,各局の規制もこれに合わせて改定される予定です。医薬品の品質管理には,PDE※値を満たす検出下限,分析値の信頼性および信頼性を保証するバリデーションが重要です。また,DMFなどの有機溶媒も試料の溶解に多用されており,有機溶媒測定の簡便さと安定性も求められます。
※Permitted Daily Exposure:1日の許容暴露量
ICPE-9800シリーズは
- 高感度な1インチ大型 CCD検出器が,厳しい要求下限を満たします。
高感度に加えて常に全波長を取得しており,酸化チタンなどのマトリックスを含む錠剤やカプセル剤を分析する場合も,マトリックスによる干渉の影響 を一目で把握することができます。 - 炭素が付きにくいトーチ設計により,酸素導入なしで,有機溶媒試料の直接分析が行えます。
余分なコストと手間をかけず,安定した分析が可能です。 - ICPE用マルチデータ登録接続キット(オプション)を追加することによりLabSolutions™ DB/CSに接続できます。
錠剤中の元素不純物分析
Element | PDE(経口製剤) | 許容濃度 | 処理後濃度 | 添加濃度 | 測定値(錠剤中) | 添加回収率 | 錠剤換算検出限界(3σ) |
µg/day | ug/g | µg/mL | µg/mL | µg/g | % | µg/g | |
As | 15 | 75 | 1.5 | 0.5 | <DL | 107 | 0.5 |
Cd | 5 | 25 | 0.5 | 0.1 | <DL | 100 | 0.007 |
Hg | 30 | 150 | 3 | 1 | <DL | 101 | 0.1 |
Pb | 5 | 25 | 0.5 | 0.1 | <DL | 98 | 0.07 |
- PDEはICH Q3Dの値
許容濃度:1日の摂取量(0.2 g)での許容濃度 - ICH Q3D クラス1以外を含む24元素すべての分析結果はアプリケーションニュースNo.J99を参照下さい。
化学分野では,製造工程における微量有害金属の管理,製品性能に重要な添加元素の管理,工場全体の環境管理など,様々な分析にICP-AESが用いられています。したがって,液性(水系・有機系)やマトリックスの有無に関わらず,あらゆる種類のサンプルを安定して導入できる堅牢さと安定性が求められます。また,日々の品質管理を簡便にし,生産性を向上することも重要です。

ICPE-9800シリーズは
- トーチ縦方向配置によりメモリー効果を低減し,塩濃度や酸濃度の高いサンプルや様々な有機溶媒でも,安定した分析結果を提供します。
- 高塩試料,有機溶媒試料,フッ酸試料の導入に最適なオプションも充実しています。
- 最新のソフトウェア(ICPEsolution)が,日常の分析を更に簡便にします。
- 革新的な装置設計(Ecoモード,ミニトーチシステム,真空分光器)によりランニングコストを 約半分に低減します。※
ICPE-9800は,純度99.95%のガスの使用を保証しています。価格の安いArガスが使用でき,大幅なコストダウンが可能です。
※パージ分光器との比較
金属・電気電子分野では,主に材料の品質管理にICP-AESが用いられており,高精度な分析と長時間に渡る安定性が求められます。また,鉱物や廃電子材料などに代表されるように,マトリックスを多く含む複雑な試料もあり,干渉を容易に回避し,正確な分析結果が得られることが重要です。

ICPE-9800シリーズは
■%オーダーの主成分から,μg/L以下の微量元素まで 一斉分析
高濃度まで測定可能な横方向観測と高感度な軸方向観測を自動で切り替え ,幅広い濃度範囲を一斉に測定することができ,試料の希釈の手間が省けます。さらに 独自設計のCCD検出器 は全波長を常に測定しており,万が一高濃度元素がオーバーフローしても,測定波長の変更を行うだけで,再測定の必要はありません。前処理時間・分析時間を大幅に短縮することができます。
■優れた マトリックス耐性と安定性
島津独自の導入系はマトリックスに強く,高濃度のめっき液も,長時間安定して分析できます。
■排水基準の10分の1以下を満たす 高感度分析
高感度な軸方向観測により,厳しい規制値に対応します。
■ランニングコストが 安価
島津独自のEcoモード,真空分光器 により,アルゴンガス消費量を大幅に抑えます。また,安価なアルゴンガスが使用可能(純度99.95%での点灯を保証)で,トータルのランニングコストを抑えることができます。
めっき液の分析時間を大幅に短縮!
亜鉛めっき液を1mol/L塩酸で10倍(vol/vol)希釈し測定試料としました。検量線法(比強度法)により,亜鉛めっき液中のZn,Ca,Fe,Mn,Ti,Al,Cd,Cuの分析を行いました。
Table1に分析結果を示します。めっき液中の主成分から微量元素までを,1回の希釈操作で一斉分析することができます。
Table2に測定値の妥当性確認結果を示します。高濃度元素については希釈試験,微量元素については添加回収試験を行い,いずれも100%近い良好な結果が得られました。Fig.1に主成分のZnのスペクトル線プロファイルを示します。Fig.2のZn検量線では,検量線上限濃度21g/Lレベルの測定においても良好な直線性が得られていることがわかります。
*詳細:アプリケーションニュース No.J113 亜鉛めっき液中の主成分元素から微量元素の一斉分析:ICPE-9820
Table 1 亜鉛めっき液の分析結果
原液試料中濃度 | Zn | Ca | Fe | Mn | Ti | Al | Cd | Cu | |
g/L | mg/L | mg/L | mg/L | mg/L | mg/L | mg/L | mg/L | ||
試料1 | 214 | 39.5 | 456 | 7.60 | 35.1 | 2.20 | 0.13 | 0.22 | |
試料2 | 189 | 113 | 23.8 | 2.10 | 3.47 | 0.30 | 0.24 | 0.22 |
Table 2 亜鉛めっき液の希釈試験と添加回収試験の結果
測定液中濃度 | Zn | Ca | Fe | Mn | Ti | Al | Cd | Cu |
mg/L | mg/L | mg/L | mg/L | mg/L | mg/L | mg/L | mg/L | |
試料1(10倍希釈) | 21400 | 3.95 | 45.6 | 0.760 | 3.51 | 0.220 | 0.013 | 0.022 |
希釈試験 試料1(100倍希釈) 希釈試験 試料1(1000倍希釈) |
- | 0.404 | 4.70 | 0.077 | 0.345 | - | - | - |
211 | - | - | - | - | - | - | - | |
希釈試験結果(%) | 101 | 98 | 97 | 99 | 102 | - | - | - |
希釈試験 試料1(100倍希釈) 希釈試験 試料1(1000倍希釈) |
- | - | - | - | - | 0.422 | 0.063 | 0.125 |
- | - | - | - | - | 0.2 | 0.05 | 0.1 | |
添加回収率(%) | - | - | - | - | - | 101 | 99 | 103 |
希釈試験結果(%)={10倍希釈試料分析結果/(100倍又は1000倍希釈試料の定量値×希釈倍率/10)}×100
添加回収率(%)={(添加回収試験用試料分析結果—10倍希釈試料分析結果)/添加濃度}×100

Fig.1 Znのスペクトル線プロファイル

Fig.2 Znの検量線
排水基準を満たす高感度分析が可能!
検量線法(比強度法)で下水処理水(放流水)の定量分析を行いました。
Table 3に分析結果を示します。検出限界(3σ)は基準値の1/10以下と高感度です。
(処理水の定量値は,排水基準の1/100 以下と微量ですがICP-MS の結果とほぼ一致した結果が得られました。)
*詳細:アプリケーションニュース No.J107 下水汚泥・下水処理水中重金属の分析:ICPE-9820
Table 3 下水処理水の分析結果
下水処理水(mg/L) | ||||
排水基準 | 検出限界 | 定量値 | 定量値 (ICP-MS) |
|
Cd | 0.1 | 0.00004 | 0.00007 | 0.00005 |
Pb | 0.1 | 0.0004 | 0.001 | 0.0011 |
Cr | 2 | 0.0001 | 0.0014 | 0.0015 |
Cr6+ | 0.5 | |||
Zn | 2 | 0.00006 | 0.051 | 0.05 |
Cu | 3 | 0.0001 | 0.01 | 0.011 |
B | 10 | 0.0001 | 0.082 | 0.084 |
Mn | 10 | 0.00001 | 0.029 | 0.028 |
Fe | 10 | 0.00004 | 0.098 | 0.101 |