リサイクルや環境の側面からのプラスチック分析

今回のCustomer

Albert van Oyen
Managing Director
CARAT GmbH

※掲載内容(所属団体,役職名等)は取材時のものです。

CARAT GmbH様 Webサイト

インタビュー

CARAT GmbH の業務内容についてお聞かせください。

1989年,W. Braltenと R. Eversにより,親会社であるPlastic Partnerが設立されました。本社はここドイツのボホルトにあり,他に米国,中国,ロシアに事務所があります。主な事業は熱可塑性プラスチックとその原料およびリサイクルプラスチックの取引になります。 Plastic Partnerは創業時より品質管理に注力してきました。そのため,2006-2007年にラボを改修し,2010年にはCARAT( Control And Research Analyses Thermoplastics )としてラボを独立させました。
環境中のプラスチックも我々の研究課題の一つです。CARATはWMR (Wageningen University)と数年前から協働していますが,その中で研究用のマイクロプラスチックの準備とプラスチックの定性分析が我々のタスクになります。

熱可塑性プラスチック

熱可塑性プラスチック

左)Albert van Oyen,右)Marion Egelkraut Holtus

左)Albert van Oyen,右)Marion Egelkraut Holtus

CARAT GmbHでは,​どのような用途に島津製作所の分析機器をご使用いただいていますか?

近年はプラスチック素材,特に食品包装材などは規制が厳しくなっています。そのため様々な素材が混在しているリサイクルプラスチックにも品質の要求が高まっています。プラスチックの定性分析および異物解析にとても便利なのがFTIR-ATRです。またEDXやICPEを使った元素分析も重要で,プラスチックの品質評価や重金属などの添加剤の測定に使用しています。またオートグラフを使用して再利用するプラスチックの機械特性を評価しています。

 

数ある分析機器サプライヤーの中で,​​島津製作所の機器を採用頂いた背景やこれまでの協働研究についてお聞かせください。

2004-2005年頃,プラスチックの厳しい規制に対処するために分析技術の支援を得られる協働相手を探していたところ,島津ヨーロッパと現在の協働関係に至り,結果複数の分析アプリケーション開発が実現しました。
2012年頃,環境中のプラスチックに関してWMRと協働を開始しましたが,研究者から求められる分析技術への要求がとても高く,2014年から島津ヨーロッパのスペクトロ技術者に協力を得ることになりました。我々の目標は,環境中のマイクロプラスチック,生物学および分析結果を結びつけることにあります。この研究が,環境中のプラスチックによる潜在的な毒性リスクの理解に繋がると考えています。
この協働の成果として,既にこれまで複数の文献発行と技術発表を行ってきました。CARATはPLATOXやPLASTRATといった国際研究プロジェクトにも参画してきました。これらのプロジェクトにおける我々の役割はマイクロプラスチックの情報およびサンプル品を提供することです。現在もFORTRAN や ANDROMEDAなどの国際プロジェクトの支援を行っています。

今後取り組んでいく課題などがあればお聞かせください。

マイクロプラスチックの研究の中で大きな課題となるのが,標準物質です。私たちは正しく分析結果を評価するために,WMRとSINTEFと協力して,種類別の研究用プラスチックを整備しました。これは,化学業界から入手できるフレッシュなプラスチック,製造業者から入手できる難燃剤などの添加剤が含まれた加工品,そしてリサイクル業者や環境からのリサイクル品などで構成されます。

この課題のゴールは,環境中プラスチックの影響を予測する上で,研究者に同じ試料を使ってもらうことです。そうすることで,それぞれの研究結果を正しく相対比較できるようになります。これはEUなどの意思決定機関が規制化を行う上で重要になると思います。

もう一つの課題は,リサイクルプラスチックや環境中から収集される混合プラスチックなどに含まれる難燃剤などの複合有機添加剤の分析方法の確立です。 

島津製作所との今後の戦略的な交流や協力関係にご期待いただいていることはどういったことでしょうか?

プラスチックは様々な添加剤が含まれているため,分析時間の短縮のために均質化が行われます。不均一な試料に対して上手く均質化を行うためには,より大きな試料体積が必要となります。この課題に関しても島津ヨーロッパの技術者と議論をしているところです。

分光法を用いたさらなる検討も進めています。現在,島津ヨーロッパの技術者と共にRF(分光蛍光光度計)を用いたマイクロプラスチックの分析とそのデータ解析に関する取り組みを進めています。今後もこの協働関係を継続して,マイクロプラスチックの分析技術に関するノウハウを蓄積していきたいと思います。

左)Marion Egelkraut Holtus、中央) Andre Bouwmeester 、右)Albert van Oyen

左)Marion Egelkraut Holtus, 中央)Andre Bouwmeester ,
右)Albert van Oyen

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