微量水分測定システム

微量な水分であっても石油製品に有害な影響を及ぼす事があります。例えば石油化学原料中の水は,パイプラインやバルブを凍結させるだけでなく,石油原料のプロセスで使用される触媒を汚染させる可能性があります。水分を測定するために使用される一般的な方法の1つはカールフィッシャー滴定法です。カールフィッシャー滴定法は広いダイナミックレンジを有する簡易な測定法ですが,微量の水分を正確に測定するには試薬選定や作業者の熟練が必要となります。 本システムは,カラム分離により選択的に水を検出するため,原理的に微量の水分を正確に測定する事が可能です。
- 島津独自の検出器,BIDを用いたppmレベルの微量水分測定が可能です。
- Sigma-Aldrich社のイオン液体カラム(Watercol)との組合せにより高精度な分析が可能となりました。
- カールフィッシャー滴定法よりも正確な水成分の定量が可能です。
LPG中の微量水分測定
島津が提案しているWK59649測定法はガスクロマトグラフィー(GC)およびBIDを用いたLPG中の微量水分測定の標準試験法であり,米国の公定法として申請中です。従来のTCDを用いたシステムよりも100倍程度の感度を有しています。 このメソッドではNexis GC-2030,BID,ガスサンプリングバルブ,液体サンプリングバルブ,Watercolカラムを使用しています。

LPG中微量水分測定クロマトグラム(25ppm)
定量限界(S/N = 10)および検出限界(S/N = 3.3)は,それぞれ0.66ppmおよび0.22ppm
本システムにおける微量水分測定(25ppm)の再現性は,表1に示す通りRSD2%未満でした。 また,サンプルにエチルメルカプタンのような硫黄成分が含まれていても,水分を分離することができ,正確な定量を行うことができます。
表1 微量水分測定再現性(n=5)
Water | No.1 | No.2 | No.3 | No.4 | No.5 | Average | Standard Deviation |
%RSD |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
RT(min) | 14.285 | 14.288 | 14.286 | 14.296 | 14.304 | 14.292 | 0.008 | 0.06 |
Area(µV・s) | 244,037 | 249,854 | 246,884 | 242,950 | 238,428 | 244,430 | 4,296 | 1.76 |
Height(µV) | 12,418 | 12,600 | 12,468 | 12,045 | 11,851 | 12,276 | 315 | 2.57 |
Conc.(ppm) | 24.96 | 25.56 | 25.25 | 24.85 | 24.39 | 25.00 | 0.44 | 1.76 |
WatercolはSigma-Aldrich社の商標です。