Q. 天びんを据え付けする際に留意しなければならない点を教えて下さい。

A. 据え付け場所、据え付け方法について基本的な注意事項としては以下のようなことがあります。

  1. 天びんに直射日光が当たらない場所に据え付けすること
  2. 部屋の温度変化が小さいこと(エアコンON後/OFF後は室温変化が激しいので注意)
  3. エアコンの風が天びんに当たらないこと
  4. ドアの開閉で部屋の空気が大きく動かないこと
  5. 天びんの水平が正しくとれていること
  6. 頑丈な机(できれば除振台)を使用すること
  7. 振動の少ない場所であること。
  8. 電源を入れて(コンセントに差し込む)から十分時間をおくこと*
    分析天びん(読取り0.1㎎以下) 4時間以上(目安)
    電子天びん(読取り1㎎~100mg) 1時間以上(目安)
    電子はかり(読取り1g以上) 30分以上(目安)

    *注意:熱い夏や寒い冬で外からエアコンの効いた部屋に据え付けする場合は、温度差が大きいので上記よりも安定するまでの時間がかかる場合があります)
  • 据え付け場所、据え付け方法についての注意事項をダウンロードする。→ここをクリック(PDF 88.4KB)
  • 最適な据え付け場所のポイントについて →ここをクリック
  • また、AUW-Dシリーズの0.01mgレンジなど、セミミクロ分析天びんを使用される場合は、安定した測定結果を得るため、細心の注意が必要となります。→注意事項をダウンロード(PDF 624KB)

その他試料の問題として

  • 試料の静電気、磁気
  • 試料の測定中の吸湿、揮発分等の蒸発

などがあります。
次項でも注意事項を掲載しておりますのでご参照下さい。

Q. 精度よく測定するためにはどのようなことに注意しなければなりませんか。

A. まず、上記のQ&Aに従い据え付けを正しく行なう必要があります。また試料の種類や必要とする精度により一概にはいえませんが、据え付けの一般的な注意事項としてさらに以下の点にもご留意ください。
湿度:60~80%程度が適当です。湿度が50%以下になると帯電しやすくなり静電気の吸引力や反発力により表示が不安定になることがあります。湿度が高いと物質によっては吸湿しやすくなり、測定値に影響を与えます。また湿度が高すぎると露点現象を生じ測定誤差の原因となることや電気回路に故障を生じるおそれもあります。

静電気の影響: 湿度が50%以下になると帯電しやすくなり静電気の吸引力や反発力により表示が不安定になることがあります。湿度が低すぎる場合は秤量室内(分析天びんの場合)に水を入れたコップを置いて湿度を上げることができます。プラスチックやガラス、また合成樹脂系の濾紙などは帯電しやすく注意が必要です。試料や容器をアルミ箔など導電性のあるもので包むことで避けられることが多いようです。また、効果が期待できない試料もありますが、当社では静電気を除去する除電器(製品名:STABLO AP)を発売しております。STABLO APは正負イオンバランスのよいイオンを照射し試料や容器の静電気を速やかに除去します。ぜひお試しください。
除電器STABLO APの詳細はこちらをご覧ください。

吸湿・蒸発の影響:吸湿・揮発・蒸発しやすい試料を特に1mg以下まで測定する際には注意が必要です。対策としては蓋つきの試料容器や狭い開口部の容器を使用することなどがあります。

磁気の影響:磁性物質を測定する場合は試料を載せる位置によって表示が変わることがあります。対策としては天びんの秤量皿に非磁性のスペーサ(ビーカ、アルミニウム容器等)を置いて、秤量皿から遠ざけると効果があります。床下秤量が可能な機種は試料を吊り下げて測定することも効果があります。

空気密度の影響:ビーカに少しだけ試料を入れて測定するような場合、ビーカ内の空気の温度と秤量室内の温度が異なると空気の密度差により誤差が生じます。またビーカ内の空気が周囲の温度になじんでくる際の膨張、収縮により表示値がドリフトすることがあります。

Q. 微小試料を測定する際、天びんが全く反応しなかったり、反応が遅いことがあります。計量値をすばやく表示させる方法はありますか。

A. 以下の方法のいずれか、またはいくつかを組み合わせてお試しください。

  • 天びんの動作モードを「はかりとり(サンプリング)モード 」に設定する。
    — はかりとりモードは、天びんの表示の安定より、反応の早さを優先させるモードです。このモードに設定することで、天びんの表示が不安定になる場合があります。
  • 天びんの「ゼロトラッキング機能」をOFFに設定する。
    — 天びんの表示がゼロの時に、そのゼロ表示ができるだけ変化しないようにする機能です。OFFにすることで、表示がより敏感に変化しやすくなります。
    計量の際は、必ずTAREキーを押して、表示をゼロにしてから天びんに計量物を載せてください。
  • 計量物を天びんに載せた後すぐに、天びんの皿に軽く触れる。 (注)
    — 天びんは、表示が安定している時、できるだけその表示を維持して安定を保とうとする機能が働きます。微小な物を載せた際は、その機能がかえって計量の妨げとなります。天びんの皿に軽く触れて表示の安定を一時的に崩すことで、早い反応を促します。

(注)軽くタッチする程度にしてください。皿を強く押すと、天びんが故障する恐れがあります。

Q. 製品の評価の際に0.01gの桁までは正確に読み取る必要があるのですが、その場合には最小表示0.01gの電子天びんを使用すれば大丈夫ですか。

A. その天びんの精度によりますが、諸々の誤差を考慮し最悪のケースを考えた場合、一般的には天びんの最小桁は四捨五入程度の精度と考えられます。天びんの性能を示す主要項目として、

  1. 繰返し性(または再現性)
  2. 直線性

がありますが、例えば次のような仕様の天びんの場合(出回っている天びんの一般的な仕様です)

  • ひょう量: 300g、最小表示: 0.01g
  • 繰返し性 σ=0.01g
  • 直線性 ±0.02g

を考えてみます。

1.の繰返し性(または再現性)は、ばらつきの幅にすると2σを考えると、0.01g×2=0.02gで、±0.02gとなります。

次に2.の直線性、±0.02gはそれだけ表示のズレがありうるということですので、これらが加算されますと最悪のケースでは±0.04gのばらつきの幅があるということになります。さらに、据付時の環境、また機械の経年変化等を考えると、最小桁は四捨五入程度の精度と考えざるを得ません。0.01gの桁が正確に必要なら、更に一桁細かい桁の0.001gが最小表示の天びんを使用する必要があります。

注)上記の例は一般例ですが、当社の新質量センサ「ユニブロック」を搭載したUXシリーズ等は再現性、直線性ともより優れています。(当社従来機種比)(UX420S<ひょう量:420g、最小表示:0.01g>では繰返し性:σ≦0.008g、直線性:±0.01gを実現しています。)

Q. 静電気を帯びた試料や容器を測定すると数値がずれたり、ばらついたりすることがありますが改善の方法があれば教えて下さい。

A. 静電気を帯びた試料を測定(特にmgオーダー以下で)した場合、帯電した試料や容器が天びんの風防ガラスなどの間で引き合ったり、反発したりする力が生じ安定しないことがあります。雰囲気の湿度が低い場合に静電気が起りやすいので、可能であれば天びんのひょう量室内に水の入ったビーカを置くことにより防げる場合があります。当社では除電器(製品名:STABLO AP)を発売しております。
STABLO APは正負イオンバランスのよいイオンを照射し試料や容器の静電気を速やかに除去します。ぜひお試しください。

Q. 分析天びんで試料を測定する際、数値が次第に少しずつずれていくことがあるが、どのような原因が考えられますか。また改善策はありますか。

A. 分析天びんは温度による影響を受けやすく周囲の温度変化により数値が次第にずれていくことがあります。温度による影響を少なくするためには

  • (1)据え付け場所の室温変化を抑える(2℃以下が望ましい。)
  • (2)天びんは常時通電状態(暖機運転)にしておく
  • (3)ドアの開閉をできるだけ少なくし室外からの風の侵入を少なくする。 
  • (4)天びんにエアコンの風が当たらないようにする、等の対策が有効です。

また、電子天びんは荷重が変化しなくても緩やかに表示が変化してしまう特性を元々持っており、ゼロ点付近の変化をキャンセルする「ゼロトラッキング」機能をONにするとゼロ点付近での変化が少なくなります。
また試料や容器が静電気を帯びている場合もこのような表示となる場合があります。
参考に「Q.静電気を帯びた試料や容器を測定すると数値がずれたり、ばらついたりすることがありますが改善の方法があれば教えて下さい。」もご覧下さい。