革新的なフラグメンテーションテクノロジー

OAD-TOFシステムは、OAD RADICAL SOURCEⅠを搭載したQ-TOFシステムです。OAD RADICAL SOURCEⅠは、島津独自のラジカル反応を利用した革新的なフラグメンテーションであるOAD(Oxygen Attachment Dissociation)を実現します。照射する酸素ラジカルが炭素間の二重結合を特異的に酸化/解離します。電子やアニオンによるラジカル反応を利用したフラグメンテーションでは困難であった1価イオンや負イオンにも適用でき、これまでにない全く新しい構造情報が得られます。

二重結合位置を特定

アルゴンや窒素など不活性化ガスとの衝突によりイオンを断片化するこれまでの衝突誘起解離(Collision-Induced Dissociation, CID)では、化学結合の弱い部分が優先的に解離します。一方、OADでは、酸素ラジカルが炭素間の二重結合に特異的に反応し、解離を引き起こします。二重結合に特異的なフラグメントイオンを計測することで、二重結合の位置を決めることができます。脂質をはじめとした有機化合物の構造推定に有用です。

OADとは
OADとは

*詳しい解説は、テクニカルレポートを参照

LCMS-9050を進化させる革新的技術

世界トップクラスの高い質量精度や高速極性切替を誇るLCMS-9050とOAD RADICAL SOURCEⅠを融合させたOAD-TOFシステムは、革新的なアプリケーションを創出し質量分析の限界を超えます。

革新的なフラグメンテーションテクノロジー

①ラジカル源

原料ガス(水蒸気および水素ガス)を真空中でマイクロ波放電することで、O/OH/H ラジカルなどの中性ラジカルが生成されます。生成された中性ラジカルは、石英管を介してOAD セルに導入されます。

②OAD セル

ラジカル源で生成された中性ラジカルがプリカーサーイオンと反応し、フラグメンテーションされます。衝突ガス(アルゴン)の導入も可能であり、衝突エネルギー(CE)を設定することで従来のCID によるフラグメンテーションも可能です。

UF-FlightTube

ヒータや温度センサーの配置の最適化とロバストな制御方式により、精密な温度コントロールを実現します。室温変化の影響を抑制し、長時間にわたって安定した質量精度を得ることが可能です。質量較正に要する時間と労力も削減します。

iRef TOF

独自の電極形状により、イオン反射時の軌道の発散や飛行時間の広がりを抑制しつつ、エネルギー収束性を高める理想的な電位分布を実現します。

シンプルな操作で確実な分析結果

CIDとOADを簡単に切替

OAD RADICAL SOURCEⅠを取り付けた状態でCID も可能です。特別なソフトウェアは必要なく、LCMS-9050 の制御・解析ソフトウェアであるLabSolutions™ LCMS でOAD とCID を簡単に切り替えて分析できます。OADとCID で多くの構造情報を得ることは、脂質をはじめとした有機化合物において、新たな発見をもたらす可能性があります。

高い質量精度で確実に構造推定

LCMS-9050の特長の一つである高い質量精度は、OAD-TOFシステムによるOADでも変わりません。±3 ppm 以内の高品質なMS/MS データは、炭素間二重結合位置の決定をはじめとした化合物の確実な構造推定を実現します。

高い質量精度で確実に構造推定

多様なニーズに対応できる無限の可能性

OAD-TOFシステムは、LCMS-9050に対応している様々なオプションと組み合わせてご使用頂けます。基本の分析にオプションの機能をプラスすることで、質量分析の世界がさらに広がります。

PESI×OAD-TOFシステム

標準装備のESIイオン化ユニットの代わりに、探針エレクトロスプレーイオン化キットDPiMS™ QTを装着することで、簡便な前処理で迅速に分析できます。探針を用いて微量のサンプルを採取して直接イオン化するため、LC分離条件の検討やサンプルの複雑な前処理は不要です。液体や固体を簡単な前処理だけで測定することができます。

  • PESI×OAD RADICAL SOURCE Ⅰ
  • PESI×OAD RADICAL SOURCE Ⅰ


DPiMSとOAD-TOF システムを組み合わせてバターに含まれる脂質を分析しました。DPiMS の特長である簡便な前処理のみでOAD 由来の特異的なフラグメントイオンが観察され、迅速にトリアシルグリセロールの二重結合位置を推定できます。

DPiMSとOAD-TOF システム

SFC×OAD-TOFシステム

超臨界流体を用いる超臨界流体クロマトグラフィー( Supercritical Fluid Chromatography , SFC)システムNexera™ UCとも接続可能です。SFC の特長の一つは、高い分離能を保ったまま高流速分析が可能であることです。また、極性溶媒(モディファイアー)の添加やオーブン温度、背圧を変えることで、幅広い極性の化合物を分離・分析できます。

SFC×OAD RADICAL SOURCE Ⅰ

二重結合位置が異なるα-リノレン酸とγ-リノレン酸をNexera UC とOAD-TOF システムで分析しました。構造が似た異性体も、SFC で完全分離し、OAD 由来の特異的なフラグメントイオンで検出することで、確度の高い分析が可能となります。OAD は、脂肪酸のような1 価の負イオンにも適応できます。

Nexera UC とOAD-TOF
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