EDX-8100 - 特長
エネルギー分散型蛍光X線分析装置 EDX-8100
さまざまな形態の試料を非破壊で分析
EDX-8100は、非破壊で固体・粉体・液体などの元素分析ができる蛍光X線分析装置の特長を生かし、有害元素の受入検査や、医薬品・食品の異物分析、考古学試料や宝石の成分分析など、あらゆる分野の多種多様なアプリケーションで使われています。
■ 電気・電子
・RoHS指令,ハロゲンフリーなどのスクリーニング分析
・半導体,ディスク,液晶,太陽電池などの各種薄膜分析
■ 自動車・機械
・ELV指令対応のスクリーニング分析
・各種機械部品の組成分析およびめっき膜厚,化成皮膜付着量の測定
■ 鉄鋼・非鉄
・原材料,合金,はんだ,貴金属の主成分,不純物の分析
・スラグの組成分析
■ 鉱業
・選鉱工程における品位判別分析
■ 窯業
・セラミックス,セメント,ガラス,レンガ,粘土の分析
■ 石油・石油化学
・オイル中の硫黄の分析
・潤滑油中の各種添加元素および混入元素の分析
■ 化学工業
・無機・有機原料および製品分析
・触媒,顔料,塗料,ゴム,プラスチックの分析
■ 環境
・土壌,排水,焼却灰,フィルタ,PM2. 5などの組成分析
■ 医薬
・合成時の残留触媒分析
・原薬中の不純物分析,異物分析
■ 農業・食品
・土壌,肥料,植物の分析
・食品の原材料分析,添加元素の管理,混入異物の分析
■ その他
・考古学試料や宝石の成分分析,玩具・日用品中の有害重金属測定など
洗練されたデザイン
460mm幅のコンパクトサイズで、大型試料室を採用
460mm幅のコンパクトなボディサイズで、設置幅を従来機種(EDX-720)より20%削減しました。
またボディサイズはコンパクトでも、最大300(W)×275(D)×約100(H)mmまでの大型試料(A4相当)をセットできます。


視認性の高いLED表示灯
X線発生時は装置後部のX線表示灯と前面のX-RAYS ONランプが点灯します。分析中はX線表示灯の両側が青く点灯し、離れた場所からでも装置状態がひと目でわかるようになっています。
「はじめまして。」で使えるソフト PCEDX Navi

蛍光X線分析をより身近なものとするために生まれたのが簡単分析ソフトウェア PCEDX Naviです。
直感的な操作を可能にするシンプルかつ洗練された画面は、初心者からエキスパートまですべての方に快適な操作環境をもたらします。

効率のよい分析準備のための機能
●シンプルな画面構成
1画面内で試料画像の表示、分析条件の選択、試料名入力がおこなえます。
●測定画面でコリメータ切替えが可能
試料画像を見ながら、コリメータ径の変更がおこなえます。
また、選択した径が黄色のサークルで表示されます。
●試料画像を自動保存
測定開始時に試料画像を自動で取り込み、データファイルと関連付けて保存します。

確認したいデータがすぐに見つけられる視認性の高い分析結果表示
●最初に知りたいデータをわかりやすくレイアウト
測定が終了すると、試料画像と共に、元素名、濃度、3σ(測定のばらつき)がわかりやすいレイアウトで表示されます。
●分析レポートもワンクリックで表示
ワンクリックで「分析結果一覧」や「報告書」が表示されます。

ターレット使用時の測定準備画面(試料位置確認時)
連続分析にも対応
ターレット(オプション)を使用する測定にもPCEDX Naviは対応します。
試料画像確認画面と試料位置確認画面を切り替え可能です。
比類なき分析性能
高性能SDD検出器を搭載し、さらにハードウェアを最適化することにより、これまでに無い高感度・高速分析と高エネルギー分解能を実現しました。6C~の検出が可能なモデルもラインアップしています(EDX-8000/8100)。
高感度 − 検出下限 1.5~5倍向上 −
高性能SDD検出器と、最適化された光学系や一次フィルタの組合せにより、これまでにない高感度分析を実現しました。
軽元素から重元素まですべての範囲にわたって、従来のSi(Li)半導体検出器を搭載した装置よりも高感度です。

高速 − スループット最大約10倍 −
SDD検出器は単位時間あたりにカウントできる蛍光X線の数が多いため(高計数率)、より短い測定時間で高精度の分析が可能です。
特に、金属など主成分元素から蛍光X線が多く発生する試料の分析においてはその特長が最大限に発揮されます。

測定時間と標準偏差(定量値のばらつき)の関係
実試料による比較

鉛フリーはんだに含まれる鉛(Pb)について、従来型機種とEDX-8100で繰り返し再現性を比較しました。

目的の分析精度に達するのに必要な測定時間
蛍光X線分析では、測定時間を長くして蛍光X線のカウント数を増やすことで精度(繰り返し再現性)を向上させることができます。
高計数率のSDD検出器を搭載したEDX-8100では、従来型の装置に比べより短い測定時間で目的の分析精度を得ることができます。
高分解能

エネルギー分解能の比較(試料:PPS樹脂)
Si(Li)半導体検出器を搭載した従来型の装置と比べ、エネルギー分解能がすぐれています。
異なる元素によるピーク重なりの影響が低減され分析結果の信頼性が向上します。
液体窒素不要
SDD検出器は電子冷却方式のため、液体窒素による冷却は不要です。わずらわしい液体窒素の補充作業から解放されると共に、ランニングコストの低減にも貢献します。
検出元素範囲

- EDX-8100で15P以下の軽元素の分析をおこなうには、真空測定ユニットまたはヘリウム置換測定ユニット(いずれもオプション)が必要です。
- 検出下限は試料マトリクスや共存元素により異なります。
20Ca以下の軽元素で試料容器を用いた分析ではフィルムの吸収により検出下限目安よりも悪くなります。
8O以下の軽元素で試料容器を用いた分析ではフィルムの吸収により分析ができません。

EDX-8000/8100によるフッ素のプロファイル
EDX-8100による超軽元素の分析
EDX-8100は窓材に極薄膜の特殊素材を使用したSDD検出器を搭載しており、炭素(C)、酸素(O)、フッ素(F)といった超軽元素の検出が可能です。
卓越した汎用性
微小試料から大型試料、粉末試料や液体試料まで、あらゆる試料に柔軟に対応します。
軽元素の高感度分析に有効な真空測定ユニットやヘリウム置換測定ユニット、自動連続測定を可能にする12試料ターレットもラインアップしています(オプション)。
4種コリメータおよび試料観察カメラ

Φ1、3、5、10mmの4段階を自動切換え
試料サイズに応じて照射径を4段階で切り替えることが可能です。
微小異物分析や不良解析はΦ1mm、少量試料にはΦ3mmやΦ5mmと、試料形状に合わせて最適な照射径をお選びいただけます。
試料観察カメラも標準搭載
試料観察カメラにより、X線照射位置の確認がおこなえます。
微小試料を測定する場合や、複数の部位からなる試料の特定箇所にX線を照射したい場合、あるいは微量用試料容器を使用する場合などに有効です。
5種類の一次フィルタを自動交換
一次フィルタを用いてX線管からの特性X線や連続X線を低減させることにより検出感度が向上します。微量元素の分析をおこなう際に有効です。
EDX-8100は5種(OPEN含め6種)の一次フィルタを標準で搭載しており、ソフトウェアから自動交換が可能です。
フィルタ | 有効なエネルギー(keV) | 対象元素例 |
#1 | 15~24 | Zr, Mo, Ru, Rh, Cd |
#2 | 2~5 | Cl, Cr |
#3 | 5~7 | Cr |
#4 | 5~13 | Hg, Pb, Br |
#5 | 21~24(5~13)* | Cd (Hg, Pb, Br) |
* フィルタを使うと、( ) のエネルギー範囲のバックグラウンドも低減します。

一次フィルタの効果
コリメータと一次フィルタの組合せは自由自在
コリメータと一次フィルタはそれぞれ独立して駆動しますので、組合せに制約はありません。6種×4種=24通りから最適な組合せをお選びいただけます。
また、すべての組合せにおいてFP法による定量分析が可能です。
真空測定ユニット(オプション)
軽元素から発生する蛍光X線は大気雰囲気下では吸収を受けやすいため、真空雰囲気にすることで軽元素の高感度化が図れます。

真空雰囲気を100とした場合のヘリウム置換と
大気雰囲気の相対感度

真空雰囲気と大気雰囲気のプロファイル比較
(試料:ソーダ石灰ガラス)
ヘリウム置換測定ユニット(オプション)
液体やガスを発生するなど、真空雰囲気にできない試料に含まれる軽元素の分析には、ヘリウム置換が有効です。
高効率でヘリウムガス置換をおこなう独自システムを採用し(日本国特許 第5962855号)、感度を悪化させることなく、パージ時間とヘリウムガス消費量共に従来比で約4割削減しました。
(EDX-8100用オプション)

ヘリウム置換と大気雰囲気のプロファイル比較
(EDX-8100/フッ素コーティング剤のフッ素)
12試料ターレット(オプション)
ターレットを追加することにより、自動連続測定が可能になります。特に、真空・ヘリウム雰囲気で測定する場合のスループット向上に効果的です。

充実の定量機能
検量線法

標準試料の測定をおこない蛍光X線強度との関係を検量線として、未知試料の定量をおこなう方法です。
未知試料の品種に近い標準試料の選択や元素ごとの検量線が必要となりますが、正確度の高い分析をおこなうことができます。吸収励起補正や重なり補正など、各種共存元素補正にも対応しています。
FP法
理論強度計算を利用して、測定強度から組成を求める方法です。標準試料の作成が困難な未知試料の定量分析に威力を発揮します。(日本国特許 第03921872号、米国特許 No.6314158、英国特許 No.1054254、独国特許 No.60042990. 3-08)
金属、酸化物、樹脂などの分析に対応するバルクFP法はもとより、めっき、薄膜の膜厚・組成分析に対応する薄膜FP法も標準搭載しています。
バランス自動設定機能搭載
主成分がC,H,Oなどの場合、FP法ではバランス(残分)設定が必要ですが、プロファイル形状からバランス設定が必要と判断された場合はソフトウェアが自動でバランス設定をおこないます。
バックグラウンドFP法(特許出願済み)

バックグラウンドFP法は,蛍光X線(ネットピーク)強度だけを計算する従来のFP法に、散乱X線(バックグラウンド)強度の計算を加えたものです(日本国特許 第5975181号 )。
少量の有機物試料の定量正確度向上や、異形のめっき試料の膜厚測定、有機フィルムの膜厚測定に有効です。
マッチング機能
マッチングとは、ある試料の分析結果と既存データのライブラリを比較して、一致度の高いものから順に表示する機能です。
ライブラリには含有量データと強度データの2種類があり、それぞれユーザーが登録することもできます。また、含有量データの場合は、値を手入力することもできます。

ユーザビリティ向上のための各種機能

わかりやすい装置立上げ操作
装置初期化、起動(X線立上げ)はPCEDX-Naviからそれぞれワンクリックでおこなえます。
起動後は自動的に装置安定待機(15分間)に入り、その間は分析や装置チェックをおこなうことができませんので、どなたにでも安定した装置状態でデータを取得頂けます。

X線管球自動エージング機能
X線を長期停止させた場合、再立ち上げ時にX線管球のエージング(ならし運転)が必要です。停止期間に応じてソフトウェアが自動的にエージングをおこないます。

条件保護機能
ソフトウェアにパスワードを設定することができます。条件設定・変更はパスワード入力者のみがおこなえるようになっています。

従来型のソフトウェアも搭載
従来のEDXシリーズのソフトウェアの操作性を踏襲したソフトウェア PCEDX Proも搭載しています。分析、条件設定、データ処理など通常の操作はこちらのソフトからもおこなえます。
当社の従来機種(EDX Series)で取得したデータのプロファイルや定量値の閲覧も可能です。
多彩なデータ出力
報告書作成機能
HTML形式またはExcel形式で分析データの報告書作成が可能です。各種テンプレートをご用意しています。
報告書には測定開始時に自動保存した試料画像が貼り付きますので、測定箇所の確認も可能です。

Excel形式のRoHSスクリーニング報告書
※ Microsoft Excelは,別途ご準備ください。

HTML形式の一般分析報告書
リスト作成機能
複数の試料の分析結果をExcel形式の一覧表にすることができます。一覧表からデータを指定してデータの詳細確認や編集も可能です。RoHSなど特定有害元素のリストや、ユーザーが任意に元素を設定できるリストなど、各種テンプレートが用意されています。

※ Microsoft Excelは,別途ご準備ください。
※ Windowsは,米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。
※ その他,記載されている会社名,製品名は,各社の商標または登録商標です。
※ 本文中には,™,®マークは明記しておりません。