動物実験代替法
医療・医薬品開発、化学物質や食品の安全性評価、基礎生命科学研究において、ヒトの健康と安全を守るために動物実験は行われています。しかし、動物愛護の観点から、1959年に提唱された3Rs(Replacement:置換え、Reduction:使用数の削減、Refinement:苦痛の軽減)を基盤に、動物福祉を守りつつ、化学物質や製品の安全性評価の手段として、動物実験代替法が発展してきました。
中でも化粧品分野では法制度と標準化が進み、in vitro法やin chemico法など様々な手法があります。このような取り組みは、企業のクルエルティフリー宣言や消費者の動物未使用志向にも合致しています。
医薬品分野でも動きが進んでおり、FDAは近年の法改正(Modernization Act 2.0 等)やロードマップを通じて非臨床試験での代替法導入を後押ししています。オルガノイドやOrgan‑on‑a‑chip(臓器を模倣したチップ)、リアルワールドデータの活用、in silico予測の標準化などを通じ、数年単位で動物試験要件の見直しが進められています。結果として開発期間短縮やコスト低減が期待され、化粧品に限らず医薬品開発でも非動物アプローチの適用が拡大しています。 このように、動物実験の見直しは着実に広がっています。
化学物質の皮膚へのアレルギー性を評価する皮膚感作性試験においても、動物実験代替法の整備が進められています。化学物質は、表皮タンパク質中のシステインのチオール基、またはリジンのアミノ基と結合すると炎症反応を誘導すると知られています。それらの性質を利用した、in chemico法に、Direct Peptide Reactivity Assay(DPRA)およびAmino acid Derivative Reactivity Assay(ADRA) が、化学物質の評価法に関する国際的な指針であるOECD(経済協力開発機構)のTG442Cに収載されています。
DPRAは、システインを含むペプチドとリジンを含むペプチドとの結合性を評価します。ADRAはシステイン、リジンにナフタレン環を誘導した、それぞれN-(2-(1-naphthyl)acetyl)-L-cysteine(NAC)、α-N-(2-(1-naphthyl)acetyl)-L-lysine(NAL)を用いて被験物質の結合性を評価します。
参考)OECD Test No. 442C: In Chemico Skin Sensitisation(外部サイトへリンク)