メタボロミクス

メタボロミクスとは、生物が生命維持のために活動する際に産出する様々な代謝物を包括的に検出し、その結果を分析するために使用される一連の技術を指します。
代謝物は遺伝子発現情報過程の最も下流の結果であり、遺伝子やタンパク質と比較して、生物学的表現型に近接しているために絶えず変化する生命現象を直接反映します。そのため、メタボロミクスの応用は幅広い分野で使用されています。

メタボロミクスをはじめよう

”メタボロミクスではじめよう”では,メタボロミクスの意味から分析方法,使用する装置,さらには実際の応用例までを網羅的にやさしく解説しています(神戸大学医学部吉田先生 監修)。

大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所

当社はメタボロミクス関連技術の開発,研究の推進,技術の普及を目指して,大阪大学との協働研究所を開設しています。
協働研究所のページにも技術情報や活動の成果,学会出展予定,講習会やラボ見学情報などを掲載しています。

大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所 

 

網羅解析

網羅解析

網羅解析とは、分析対象を絞らずになるべく多くの代謝物を測定して解析を行う手法で、試料間の差異を示すマーカー探索を目的に利用されます。多成分一斉分析を特長とするGC/MSやLC/MSなどの質量分析法がよく用いられています。それぞれの分析機器で検出できる代謝物をなるべく多くカバーするために、スキャン法が一般的に用いられてきましたが、代謝物として検出される化合物も解明されつつあることから、データベースを用いたMRM法によるワイドターゲット高感度分析を用いることにより、一度に数百成分の代謝物を高感度で測定できるようになりました。

弊社のデータベース(LC/MS/MSメソッドパッケージ 一次代謝物 やSmart Metabolites Database)を用いることで、簡単にMRMを用いた網羅解析が行えます。

ターゲット解析

ターゲット解析

 

網羅解析を用いてマーカー探索を行った後、薬物代謝や生体内代謝動態において特徴量が高く重要だと考えられる化合物に絞って分析を行います。ターゲットを絞ることで、検出感度を大幅に向上、分析や解析にかかる時間を短縮できるため、検体数を多くして大規模なコホート研究などが可能になります。

イメージング

イメージング


イメージングとは、大気圧化でイオン化を行い、高空間分解能イメージングを用いて組織片などの試料中の代謝物の濃度分布を可視化する技術です。GC/MSやLC/MSを用いて分析するには、試料の均一化および抽出を行う必要があり、化合物の濃度が試料中にどのように分布していたのか知ることができません。イメージングにより代謝物の分布計測を行い、薬物動態解析、薬効・薬理機構研究、DDS研究、バイオマーカー探索、疾患のメカニズムの解明などを実現します。また、ICP質量分析計とレーザーアブレーション装置を組み合わせたLA-ICP-MSシステムを用いることにより、分子イメージング情報と相補的な元素イメージング情報を得ることができます。

メタボロミクスの前処理(生体試料)

メタボロミクスの前処理(生体試料)

 

生体中の代謝変動解析を行うメタボロミクスでは、質量分析計を用いて、さまざまな代謝物を測定します。生体試料を測定する前には、試料の適切な前処理が必要です。

「メタボロミクス前処理ハンドブック」では、GC-MS(/MS)及びLC-MS/MS測定時の前処理手順と前処理に使用する器具に関する情報を、豊富な写真とともに紹介しています。