プラスチックの多角的評価-PC/ABS樹脂の配合比率による違い-

ダウンロード

ユーザーベネフィット

-材料投入比率に対して直線性が得られた評価手段を用いると、未知の材料に対する配合比率の予測が可能です。 -多角的な評価は一つの管理基準に比べて、誤判断のリスク低減に有効です。

はじめに

ポリカーボネート(PC)/アクリロニトリルスチレンブタジエン(ABS)樹脂はPC樹脂の耐熱性、耐衝撃性、ABS樹脂の成形加工性、メッキ特性などが付加された熱可塑性樹脂です。このような特性から、自動車内装部品、事務機器、家電機器など幅広く使用されています。またPC/ABS樹脂は組成比率を変えることで要求仕様に合わせた特性を得ることができます。射出成形においては混練、温度、圧力等の複数の要素が複雑に影響し、成形機に投入する配合比率と成形後の組成比率が必ずしも一致するとは限りません。このため、製造工程の中で目的とした組成比率の成形品を得るために投入する配合比率の調整は非常に重要です。ここでは、配合比率を変えて成形したPC/ABS試験片5種(PC:ABS=0:100、25:75、50:50、75:25、100:0)について、配合比率と各種特性の関係性を評価すると共に、配合比率と成形後の組成比率の一致性についても評価しました。また成分ポリマーの分布を微視的に観察する目的でSPM測定を実施しました。

2024.03.13