輸入オレンジ皮表面の防カビ剤分析( 2 ) -MS/MS分析による物質の特定-

はじめに

海外から日本へ輸入される農産物は、輸送期間が長期にわたるため、収穫後の輸送過程でのカビや腐敗を防止する目的でポストハーベスト農薬が散布されます。日本では指定されていないポストハーベスト農薬を使用した食品について、輸入や使用、販売等が禁止されています。そのため、簡便な前処理と操作でどのようなポストハーベスト農薬が使われているか検査できる技術は、検査時間を短縮でき、その結果として輸送期間の短縮にもつながることが期待されます。 アプリケーションニュース01-00411「輸入オレンジ皮表面の防カビ剤分析 (1) 」では、DPiMS QTとLCMS-9050 により、輸入オレンジの皮表面の防カビ剤エニルコナゾールを簡便な操作で検出できました。本稿では同じ前処理・サンプルでMS/MS分析を実施し、MS分析の精密質量に加えてフラグメントイオンの比較による物質の特定を試みた例を紹介します。