触媒

触媒には化学反応の反応速度を変化させる効果があり、石油精製プロセス、化学合成、医薬品をはじめ、工業化学においてきわめて重要な物質です。一方で触媒は自動車排ガス浄化をはじめとした環境浄化にも用いられており、日常に欠かせないものとなっています。また最近では、GX(グリーントランスフォーメーション)において二酸化炭素変換利用を目的とした触媒反応が注目を浴びています。ここではガスクロマトグラフやフーリエ変換赤外分光光度計などを用いた触媒反応評価、反応生成物評価、触媒のキャラクタリゼーション、残留触媒分析といった、触媒反応プロセスに沿った各種分析事例をご紹介いたします。

触媒のキャラクタリゼーション

触媒のキャラクタリゼーション

 

触媒の表面状態は触媒活性や選択性に大きく寄与すると考えられており、触媒性能を評価するうえで、表面状態を明らかにすることは重要です。 ここでは各種分析装置を用いたキャラクタリゼーション事例を紹介します。

 

排ガス浄化用三元触媒のXPS分析

排ガス浄化用三元触媒のXPS分析

 

Pd / CeO2 –ZrO2に含まれるPdやCeは、排気ガスに含まれる有害成分を浄化する過程で、酸化数が変化することが知られています。本稿では三元触媒のPd / CeO2 –ZrO2と、Pdを担持していない酸素貯蔵材料(OSC材)CeO2 – ZrO2の2種類をKRATOS ULTRA2で分析し、三元触媒中のPdの酸化数とCeの酸化数の変化を調べた事例をご紹介します。

触媒反応評価

触媒反応評価

 

触媒反応機構の解明は高性能な触媒を開発するうえで不可欠です。触媒作用のメカニズムを明らかにするために、触媒反応の中間体の観測や触媒表面への吸着種の分析が行われます。ここでは各種分析機器を用いた触媒反応評価に関連した分析事例をご紹介いたします。

生成物評価

生成物評価

 

化学反応では主生成物と副生成物が得られます。無駄なく目的生成物を得るために、触媒反応において生成物の選択性は重要です。ここでは各種分析機器を用いた生成物評価に関わる分析事例をご紹介いたします。

 

Jetanizer™を用いたCO2, CH4の定量分析

Jetanizer™を用いたCO2, CH4の定量分析

 

カーボンニュートラルを背景に触媒の研究開発において無機/ 低級炭化水素ガスの分離分析が可能なGC の利用が拡大しています。中でもCO、CO2 、CH4を一斉に分析する場合、GCの検出器としてTCDやBIDが用いられますが、TCDでは低濃度域の測定ができない、BID の場合はキャリアガスがヘリウムに限定される、などの制限があります。
そこで簡易型メタナイザであるJetanizerを用いることで、測定濃度域が広く代替キャリアガス対応が可能なFID にてCO、CO2 、CH4を一斉分析することができます。

残留触媒評価

残留触媒評価

 

医薬品の合成においても触媒は必要不可欠なものとなっています。一方で、触媒に使われる金属の中には人体に有害なものもあり、日・米・欧の三極で調和した医薬品の金属不純物ガイドラインとしてICH Q3Dが定められています。ここでは医薬品中の残留触媒の分析事例をご紹介いたします。