触媒の劣化評価 -触媒反応セルを用いた水酸化コバルトの酸化実験-

触媒は、使用環境によって表面が改質する場合があります。改質する環境やその変化を調べることは重要です。
触媒反応セルとKratos AXISシリーズ XPS装置を用いて、高圧酸素雰囲気中での水酸化コバルトの酸化反応を調べました。

 

 

Fig.1に酸化処理前後のCo 2pのスペクトルを示します。
3 barの酸素雰囲気下で150 ℃ / 200 ℃と昇温した状態では変化は見られませんでした(左図)。しかし、温度を250 ℃まで昇温すると明らかな変化が確認されました(右図)。この結果より、未処理および200 ℃まで昇温させた試料ではCo(OH)2ですが、250 ℃まで昇温させるとCo3O4 に状態が変化していることが分かりました。

Fig.1 水酸化コバルト触媒のCo 2pスペクトル

Fig.1 水酸化コバルト触媒のCo 2pスペクトル
(左)未処理 (右)酸化処理後

 

 

Fig. 2に酸化反応前と反応後の水酸化コバルトのO 1sスペクトルを示します。
スペクトルより、O 1sのピークのシフトが確認できます。
反応前は531.7 eVであったものが、反応後は530,3 eVとなっており、このシフトは酸素の環境が水酸化物から定価数酸化物に変化した際に特徴的に見られる変化です。

Fig.2

Fig.2 酸化反応前(黒)と反応後(青)の
水酸化コバルトのO 1sスペクトル