食品中のPFAS多成分一斉分析

PFASは耐熱性と撥油性および撥水性をもつため、難燃剤、食品包装材料、および非粘着コーティングとして広く利用されています。
PFASは構造が安定しているため、環境中における残留性および生体蓄積性があり、広範囲の環境水域や土壌、野菜や野生生物に存在することが知られています。
食生活を通じたヒトへの暴露が懸念されているため、PFASによる食品汚染の状況に関する研究が必要とされています。

トリプル四重極質量分析計を用いた
前処理検討および食品中PFAS分析

本稿では前処理方法を検討し、LCMS-8050を用いて、食品に添加した40種のPFASの添加回収試験の検証を行いました。
前処理は抽出・精製・濃縮の三段階に分けて検討を行いました。抽出についてはQuEChERS法を参考にしました。精製は2種の固相精製カートリッジを検討し、pHおよびメタノール濃度の検討を行い、洗浄液と溶出液を最適化しました。精製後試料の窒素ガス吹き付けによる濃縮を検討したところ、複数の化合物でロスが確認されたため、濃縮は前処理手順から除外しました。

  • 抽出手順

    抽出手順

  • 精製手順

    精製手順

回収率

夾雑成分の影響を確認するため、にんじん10gからの抽出・精製した溶液にPFAS標準液を添加し、LC-MS/MSにて分析しました(精製後添加)。
また、精製効率の確認のため、抽出液にPFAS標準液を添加後、精製したサンプルを分析しました(精製前添加)。さらに、抽出、精製の効率を確認するため、にんじん10gにPFAS標準液を添加した後、抽出・精製を行ったサンプルを分析しました(抽出前添加)。
いずれの化合物についても70-120%以内の良好な回収率が得られました。

  • 40化合物のPFASのMSクロマトグラム

    40化合物のPFASのMSクロマトグラム

  • 各SPEにおけるPFASの回収率

    各SPEにおけるPFASの回収率

アプリケーション詳細「Analysis of Per-and Polyfluoroalkyl Substances(PFAS) in Food Samples with LC-MS/MS(英語)」は
こちらからダウンロードいただけます。

ダウンロード

関連装置

高速液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-8050

高速液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-8050

さらなる【高感度×高速】の領域へ LCMS-8050が発揮する高いパフォーマンスが、これまでの常識を覆す【高感度×高速】分析を実現。分析データの信頼性確保、ラボの生産性向上をサポートします。

高速液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-8060NX

高速液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-8060NX

LCMS-8060NX は世界最高クラスの感度, 測定速度を実現しながら、操作性、頑健性をさらに向上させた島津トリプル四重極質量分析計の集大成モデルです。