PFASとは

PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances)は、有機フッ素化合物の総称です。
化合物を構成する、フッ素(F)と炭素(C)間の結合の強さにより、水や油をはじく、熱に強い、薬品に強い、光を吸収しない等の特性を活かすことで、 撥水剤、表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーティング剤など、幅広い用途で用いられてきました。
一方で、このFとCの間の結合力の強さから、分解しづらいという性質を持ち、永遠の化学物質(Forever Chemicals)と呼ばれ、環境残留性や生体蓄積性が注目されています。

PFOSとPFOAの構造式

PFOSとPFOAの構造式

PFASの概要

PFASは、耐油性、耐水性、耐熱性に優れているため、工業製品から家庭用品まで、様々な製品に用いられてきました。

PFASにはいくつかの機関により複数の定義がありますが、OECD(2021年)では次のように定義されており、非常に多くの種類の化合物が当てはまるとされています。

PFASs are defined as fluorinated substances that contain at least one fully fluorinated methyl or methylene carbon atom (without any H/Cl/Br/I atom attached to it), i.e. with a few noted exceptions, any chemical with at least a perfluorinated methyl group (–CF3) or a perfluorinated methylene group (–CF2–) is a PFAS.

出典:
terminology-per-and-polyfluoroalkyl-substances.pdf (oecd.org)

(和訳:PFASは、(H/Cl/Br/I原子が結合していない) 少なくとも1つの完全にフッ素化されたメチルまたはメチレン炭素原子を含むフッ素化物質として定義される。すなわち、いくつかの例外を除いて、少なくともペルフルオロ化メチル基 (-CF3) またはペルフルオロ化メチレン基 (-CF2-) を有する化学物質はPFASである)

PFAS規制

一部の毒性の認められた化合物では、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」の対象物質に登録され、製造や使用が禁止・制限されてきました。 2023年には、日本国内でも以前から規制されてきたPFOS、PFOAに加え、PFHxSが化審法第一種特定化学物質に指定され規制が始まっています。
欧州では、REACH規則において現在PFAS規制案の審議が進められており、早ければ2025年から規制が開始されるといわれています。

PFASと呼ばれる化合物は非常に多くの種類があるため、毒性や人体への影響については、解明されていない部分が多く、現在も調査・研究が進められています。

PFASの分析

このような背景からPFASの分析が求められています。
PFASの分析には現在、主にLC-MS/MSが用いられていますが、化合物ごとに化学的特性が多様であることや、器具や分析環境中からのコンタミネーションの課題、微量の検出が求められるなど、様々な要因の検討が必要となります。分析条件の検討だけでなく、分析ノウハウが必要とされています。

関連装置

高速液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-8060NX

高速液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-8060NX

LCMS-8060NX は世界最高クラスの感度, 測定速度を実現しながら、操作性、頑健性をさらに向上させた島津トリプル四重極質量分析計の集大成モデルです。