食感の評価

歯ごたえ、弾力、舌触りなどの食感は、味や香りとともに食品のおいしさに影響を与える重要な要素です。
食感は通常、官能検査を用いて評価しますが、人の感覚や体調の個人差のため、再現性を得ることが困難です。

当社のテクスチャーアナライザや粒子径分布測定装置は官能検査を補完し、
食品開発の分野で客観的な結果を数値で得る方法として使用されています。

サクサク感・モチモチ感・歯ごたえ力学的性質の数値化:テクスチャーアナライザー

サクサク感、モチモチ感、歯ごたえ、舌ざわりなどの食感は、力学的性質と密接に関係があります。テクスチャーアナライザーは圧縮、せん断、突き刺し、などにより食材に力と変形を与え、食材の物性やテクスチャー評価を行う装置です。
官能検査と相関の高い測定結果を得るために、各食品の特性や形状などを考慮した多様な評価治具をラインナップしています。治具や測定条件を変更することにより様々な食材の測定が可能です。

  • パンの圧縮試験評価

  • りんごの表面硬さ試験評価

  • コロッケのせん断試験評価

  • 麺類の引張・せん断試験評価

  • シリアルの圧縮せん断試験評価

【食品素材】

※動画の種類は、上記動画プレイヤーの右上に埋め込まれた “Playlist” のアイコンをクリックすることで選択できます。

1 あずきのせん断試験
2 アスパラガスのせん断試験(ブレード冶具)
3 アスパラガスのせん断試験(ボドケビッチバイト冶具)
4 りんごの表面硬さ突刺し試験
5 ハチミツの粘性評価

【加工食品】

※動画の種類は、上記動画プレイヤーの右上に埋め込まれた “Playlist” のアイコンをクリックすることで選択できます。

1 カステラの食感評価
2 クッキーの曲げ(強度)試験
3 ジャムの突刺し試験
4 シリアルのせん断試験
5 スナック菓子の割れ評価
6 ソーセージのせん断試験
7 チーズのせん断試験
8 チーズの表面硬さ試験
9 バターの広がり試験
10 バターの硬さ評価
11 バターのせん断試験
12 嚥下困難者用食品の圧縮試験
13 食パンの圧縮試験(AACCの標準法)
14 板ガムの硬さ評価
15 麺類の引張試験

多変量解析によるお菓子(クッキー)の官能評価値の予測

テクスチャーアナライザEZTestを使用したクッキーの官能評価値の予測を行いました。圧縮試験、突き刺 し試験、3点曲げ試験の3種類の測定方法で試験を行い、最も官能試験と相関のあった圧縮試験の結果を元に、説明変数として重回帰分析を行うことで官能評価の予測モデルを作成しました。実際の官能試験を評価したところ、十分に予測可能であることが示唆されました。

試験の様子
圧縮試験

圧縮試験結果
(試験力-ひずみ線図)の一例

重回帰分析結果
官能評価と予測値の相関図の一例

関連情報

  • EZ-Test シリーズ
    シングルコラムのコンパクトデザイン。5kN・500N容量の2ラインナップ。電子部品・食品テクスチャ・医療機器・ゴム・プラスチックなど様々な材料・部品の強度試験に応用可能。
  • 代替肉の評価アプリケーション集
    近年、肉の食感、風味、外観を人工的に再現する「代替肉」が開発されています。代替肉には、大豆やエンドウ豆、キノコなどの植物性タンパク質を主原料とする「植物肉(プラントベースドミート)」と、牛などの動物の幹細胞を培養して生産される「培養肉」の2種類があります。いずれの技術も世界中の食品市場で関心を集めています。本アプリケーション集では、代替肉の開発における肉のおいしさの評価をまとめました。

舌触り・滑らかさ粒子径の評価:粉体測定装置

食品において、「舌ざわり」、「歯ざわり」といった食感には、粒子径分布が影響するといわれています。人間の舌は非常に敏感であり、数10μm 以上の粒子に触れると、それが粒子であることを認識できるといわれています。食品の種類によっては、粒子を細かく均一にすることで滑らか感を出すことや、逆に大きくしたり、不均一にすることで微妙な食感を演出するなど、粒子径分布は食品開発において重要な要素です。レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD-2300は、17nm ~ 2.5mm の広範囲な粒子径の測定が可能であり、食感に関わる粒子のサイズを定量的に把握する目的で、食品開発や品質管理の場に使用されています。

【食品における粒子評価の重要性】

●食感の数値化

固体粒子を含む食品において

  • 粗大粒子、形状が不均一・歪な形⇒ざらついた食感
  • 微小粒子、形状が均一・球形⇒滑らかな食感

液状の食品において

  • 高濃度⇒こくがある・まろやか
  • 低濃度⇒さっぱり・あっさりしている

●食品の品質評価

エマルジョンなどの安定性評価(凝集物・異物の確認)

数値管理による品質の安定化

【粒子径分布の評価手法】

レーザ回折・散乱法

レーザ回折式粒子径分布測定装置
SALD-2300

動的画像解析法

ダイナミック粒子画像解析システム
iSpect DIA-10

レーザ回折・散乱法

【レーザ回折・散乱法で分かること】

粒子径分布:どれくらいの大きさの粒子が、どれくらいの割合で含まれているか

【舌触りの評価 -チョコレート-】

【高感度・高濃度】

粒子濃度によって変化する粒子径分布を確実にキャッチ 粒子径分布を測定する場合、
従来はサンプルの粒子濃度を測定装置の」条件に合わせるために希釈や、場合によっては遠心分離器による濃縮が行われてきました。

希釈によって分散が進む場合もあれば、逆に凝集が生じる場合もあります。
粒子径分布を最適な条件で測定するためには、希釈も濃縮も行わず、そのままの粒子濃度で測定する必要があります。
SALD-2300は低濃度0.1ppmから高濃度20%の幅広い粒子濃度に対応しているため、できる限り製品に近い状態での評価が可能です。

【液体製品の高濃度状態での凝集評価】

乳脂脂分の含有量はもちろんですが、脂肪球の粒子径分布も、味わい(重さ・軽さ)には影響すると思われれます。また、エマルジョン系の試料は希釈することで粒子径が変化する場合もあるので、出来るだけ製品に近い濃度で測定することが望まれます。

【ペットボトルのお茶粒子を測定】

2種類のペットボトルのお茶をそのまま(原液の状態で)測定した結果です。困難な濃縮操作を行わず、低濃度のサンプルをそのまま(原液状態で)測定することができます。低濃度のまま測定することで濃度操作による分散・凝集への影響を取り除くことができます。

動的画像解析法

【動的画像解析法でわかること】

流れる粒子を撮影し、画像解析により粒子1つ1つの大きさや形状を測定する方法です。
レーザ回折・散乱法でわからない粒子形状や凝集体、微量な粒子を動的画像解析法では測定することができます。

  • レーザ回折・散乱法は、簡単に、広い範囲の粒子径分布を早く測定できる
  • 動的画像解析法は、粒子形状、凝集体の判別、個数濃度測定ができる

レーザ回折・散乱法の測定例

動的画像解析法の測定原理
粒子径・粒子形状・個数濃度の測定が可能

【アプリケーション:緑茶の舌触りの評価】

ペットボトルのお茶中に添加される抹茶粒子の濃度および粒子径分布評価や、微量に含まれる異物の検出が可能です。
こちらは2種類の緑茶飲料の測定例です。

Fig. 緑茶飲料の測定結果
(1)粒子画像の一部
左:緑茶A 右:緑茶B

Fig. 緑茶飲料の測定結果
(2)散布図・粒子径分布
左:緑茶A 右:緑茶B

【アプリケーション:パン酵母の出芽状態の評価】

酵母の形状情報を得ることで、状態が異なる酵母の割合を確認することが可能です。市販のパン酵母を測定した例を示します。
粒子径分布より、ピークが5μm付近にあることが分かります。
また面積相当径とアスペクト比の散布図よりいくつかのグループに分かれていることが分かります。

Fig. 粒子径分布

Fig. 散布図

散布図で下図のように区切った場合の、領域ごとの代表的な粒子画像を示します。粒子径が大きいほど複数の酵母がつながっています。
またアスペクト比が1に近い粒子群は単一の酵母もしくは塊状の粒子、小さい側は直線状の粒子群となっています。

Fig. 領域ごとの代表的な粒子画像

それぞれの領域の粒子の個数から、割合を算出することが可能です。

Fig. 領域ごとの粒子の割合

関連情報

  • 粉体測定機器オンライン展示会 SHIMADZU POWDER ANALYSIS
    粉体技術発展のため、島津製作所は表面特性から粒子径分布や集合特性まで、粉体の物性を総合的・多面的にとらえるため、数多くの粉体測定機器をご提案します。
  • レーザ回折式粒子径分布測定装置 SALD-2300
    測定範囲 17nm~2500μm
    湿式測定,乾式測定,高濃度サンプル測定など多様な測定対象と幅広い測定目的に対応できます。
  • ダイナミック粒子画像解析システム iSpect DIA-10
    粒子径分布測定装置や各種顕微鏡などの専用装置で測定していた「粒子画像解析」「粒子形状解析」「粒子径分布」「異物検出」「個数濃度」の測定をこの1台で測定できます。
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