バイアルのコンポーネント
バイアルのコンポーネント
LC分析およびLC/MS分析に用いるバイアルは、分析結果の信頼性を確保する重要な役割を担っています。 バイアルの選択においては、 ①分析対象化合物、②サンプル溶媒、③バイアルの接液部材質など それぞれの相互作用に留意することが必要です。
一般的なバイアルの構成と用途を以下に示します。

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1.5mL未満 貴重なサンプルを無駄なく分析 小容量ガラスインサート
小容量ガラスバイアル
小容量ポリプロピレンバイアル1.5mL 最も汎用的 1.5mLガラスバイアル
1.5mLポリプロピレンバイアル4mL 水分析や前処理、洗浄溶媒用など 4mLガラスバイアル
4mLポリプロピレンバイアル10mL 前処理など 10mLガラスバイアル
接液部はバイアルびんまたはインサート、およびセプタムです。キャップはセプタムと一体型になっているものが多く、サンプルとは直接接触しない構造になっています。
セプタム
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セプタムは、パッキンとしての役割を担う層と、接液部となるフィルム層の2層構造のものが多く流通しています。この中で最も汎用的なのは、PTFE/シリコンのタイプで、シリコンによる高いシール性と、PTFEによる高い耐薬品性を併せ持ったセプタムです。一方、PTFEフィルムのみのタイプは、耐薬品性に優れている反面、シール性には乏しいというデメリットがあります。アルミニウムのタイプも耐薬品性には優れており、シリコンやPTFEが適用出来ない場合に使用されますが、シール性に乏しいため、1回のみの使用に限定される点がデメリットです。
また、セプタムにはスリットといわれる切込みが入っているタイプも流通しています。これは試料の吸引時にバイアルびん内が陰圧になることを防ぐ目的で、またオートサンプラーのニードルの挿入時にセプタムがびんの中に押し込まれることを防ぐ目的で設計されています。 なお、島津製作所のLC用オートサンプラーは針先の設計を最適化し、陰圧対策として小容量びんモードを搭載していますので、スリットなしのセプタムの使用を標準としています。
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素材 特長 PTFE/Sillicone シリコンゴムのシール性とPTFEの耐薬品性を併せ持った最も汎用的に使用可能なセプタム PTFE 耐薬品性に優れているが、シール性に乏しい アルミニウム SilliconeやPTFEの使用が適さない分析で使用される
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種 類 シール性 特 徴 スクリュー 高い 最も汎用性が高く、着脱が容易 スナップ 中程度 ワンタッチでキャッピングが可能

バイアルびん
バイアルびんの口部分の形状は、主に2種類に分けられます。形状に合わせて、キャップの選定も必要になります。最も用いられるのがスクリュータイプで、手で開け閉めできるため、LCに限らずGCにも使用されています。 スナップタイプはシール性に劣ることや、デキャップが容易でないことから、近年使用数が減少傾向にありますが、手動で簡単にキャッピングができるというメリットがあります。
バイアルびんの色は、透明タイプと褐色タイプの2種類がラインアップされています。透明タイプはサンプルの状態を目視で確認できるため、よく使用されます。 褐色タイプは、UV透過率の基準値を満たす材料で製造され、光によって分解しやすい化合物の分析に適用します。ただし、視認性と遮光性のバランスをとった設計となっているため、完全な遮光効果は期待できません。このため、作業環境やオートサンプラーの庫内照明により分解しないように注意が必要です。 バイアルびんの材質は、ガラス製と、樹脂製(主にポリプロピレン製)が多く流通しています。中でも、ガラス製は市場で広く支持されています。ガラスバイアルは優れた視認性・対溶媒性に加え、ガラス表面が親水性であるため、疎水的吸着が起こりにくいという特長があります。 一方、シラノールによるイオン的吸着を誘引することが懸念されます。 ポリプロピレンバイアルは、材質に基づいた疎水的吸着を誘引しやすい反面、金属イオンの溶出の懸念がないのが特長です。特にイオンクロマトグラフィーでの適用は必須となります。 したがって、バイアルの材質の選択では、分析対象化合物の物理的化学的性質(溶解性、疎水性、解離常数など)の情報を基に、バイアルとの相互作用を考慮することが非常に重要です。
注意を要する相互作用として、下記が挙げられます。
・バイアル材料からの溶出
・バイアル材料への対象化合物の吸着