3.1. 前処理の目的

安定した測定のためには、試料ガス中の水分や共存ガスを除去する前処理が欠かせません。当社のガス分析計では、ガス入口から試料ガスを導入するだけで前処理を行うオールインワン構造となっています。以下にポータブルガス分析計の代表的なフロー図を示します。ここでは、試料ガスの流れとともに、流路上のそれぞれの前処理部品がどのような役割を担っているかを紹介します。

前処理の目的

 

ポータブルガス分析計 フロー図

 

 

 

 

  • 3.2. 役割:除湿


    試料ガス中には、共存ガスとして「水(水蒸気)」が含まれていることがあります。水分は赤外線の吸収帯域が広いため、水分量の増減が測定値に影響します(水分干渉)。ドレンセパレータや電子クーラを用いて一定温度まで冷却し、飽和水蒸気量以上の水分を除去することにより、試料ガスに含有される水分量を一定量に保つことができます。この処置により、導入される試料ガスの水分の増減にかかわらず、安定した測定が可能となります。このようにして分離された余分な水分(ドレン水)は、適宜排出されます。





  • ドレンセパレータ

 

  • 3.3. 役割:除塵


    試料ガスの中には、フライアッシュや未燃カーボンのような固形物(ダスト)が含まれる場合があります。これらの固形物は、配管・各部品でのつまりや、部品の汚れによる測定値への影響の原因となるため、除去する必要があります。径の比較的大きなものは、ガス採取の際、プローブ(ガス採取器)のフィルターで除去しますが、取り切れないような径の小さな微粒子は、装置内に設置されたフィルタ類で除去します。








  • フィルタ

 

  • 3.4. 役割:腐食ガス等の除去 


    試料ガス中の測定対象成分以外の共存成分には、流路の配管や部品に吸着し腐食させたり、測定成分と化学変化を起こすことで、測定値に影響が出る成分が存在します。これらの共存ガス成分を取り除くために、ミストアブゾーバやアンモニアアブゾーバが用いられます。ミストアブゾーバでは、ニードル弁のつまりの原因となるSO3ミスト等の除去、アンモニアアブゾーバではNH3の除去が行われます。






     
  • ミストアブゾーバ