ガス分析計とは、試料ガス中に含まれる測定対象成分の濃度を測定する分析計です。長時間連続で測定が可能なことから、火力発電所や清掃工場、セメント工場等における排ガス監視やプロセス制御に使用されます。また、大学・研究機関での様々な技術開発における試料ガス濃度のモニタリングに使用されます。 当社のガス分析計の歴史は古く、その時々の社会ニーズに応じたガス分析計を提供しています。

 

1960年代

URA-2

 

 

 

1960年代、重化学工業の急速な発展や、それに伴う大気汚染などの社会問題を背景に島津製作所の連続ガス分析計がスタートしました。当時、日本では発電所や工場からの排出ガス中のばいじんやSO2による大気汚染が大きな社会問題となっていました。このような状況を改善するため、1968年に大気汚染防止法が制定されるなど法整備が進められました。同時に、排出ガス濃度を連続監視する計測器が必須のものとなり、その需要は一気に高まりました。

1970年代

1970

 

 

 

1973 年には排ガス中のNOX規制が開始されました。SO2とNOXの排出濃度を低減するため、燃料転換や燃焼管理の技術改良が進みました。これに伴い、排ガス計に対しては、さらなる高感度化やサンプリング技術の改良が求められるようになりました。また、発電所などでは脱硫設備や脱硝設備の導入も積極的に行われるようになり、NH3注入による乾式脱硝装置の制御用途として、NH3計測のような新たな測定対象も生まれました。

1980年代

1980

 

 

 

さらに1980年代になると、NOXの総量規制が始まるほか、規制対象となる設備も小型ボイラや、ガスタービン・ディーゼル機関と拡大しました。設備の規模によっては常時監視の必要がないため、定期的な監視に最適な連続ガス分析計としてポータブルガス分析計をリリースしました。その後、ポータブルガス分析計はその可搬性や測定の簡便さを活かして、企業や大学のラボでの試験研究へと用途を拡大しています。

1990年代

1990

 

 

 

1990年代にはごみ焼却炉などで生成されるダイオキシンが新たな社会問題として注目を集めました。ダイオキシンの生成を抑制するため、焼却炉排ガス中のCO濃度の測定が必要となり、専用のCO計も開発されました。

2000年代~

2000

 

 

 

2000年代には、中国における大気汚染問題が注目され、中国市場における規制に対応したガス分析計が開発されました。

経済活動がさらに活発化した現在では、二酸化炭素などの温室効果ガスによる地球温暖化が世界的な課題となっており、日本では2050年までのカーボンニュートラル実現が目標として定められました。排ガス監視やプロセス制御に限らず、温室効果ガス削減に向けた技術開発においてもガス分析計は重要な役割を果たしています。

 

 

 

次項以降では、当社ガス分析計に採用している測定原理と、装置の構成を紹介します。