ポータブルガス分析計のご紹介
2. 赤外線吸収法の原理
水質/排ガス分析計
2.1. 赤外線とは
可視光よりも長い波長を持つ光は赤外線と呼ばれます。 ガラケーの赤外線通信や、テレビのリモコンは赤外線を利用した技術です。
本項では、赤外線を利用した連続ガス分析計の測定原理であるNDIR(非分散型赤外線吸収法)について紹介します。

2.2. NDIRとは
島津製作所の連続ガス分析計は測定原理として非分散型赤外線吸収法を採用しています。 非分散型赤外線吸収法は、赤外線をガス試料に透過させ、赤外線の吸収の程度をセンシングすることで、 ガス試料中の様々なガス成分の濃度を測定することが可能な分析方法です。 Non-Dispersive InfraRedの頭文字をとって「NDIR」という呼び方も一般的です。
異なる原子からなるガス分子はそれぞれ固有の赤外線吸収スペクトルを持っています。 そのため、試料ガスに赤外線を透過させると、ガス試料に吸収され透過光に減衰が生じます。 このときの透過光の強度はランベルト・ベール(Lambert Beer)の法則で表現されます。 入射光と減衰した透過光の強度の比を計測し、内部演算によりガス濃度を求めることができます。
2.3. ランベルト・ベール(Lambert Beer)の法則
ランベルト・ベールの法則は、光が試料中を透過するときに、光の減衰の程度を表します。
I2=I1・e-kcl- I2:透過光の強さ
I1 : 入射光の強さ
K : 吸光係数
c : ガス濃度
l : 透過距離
- 試料の濃度が同じとき、透過する距離が長いほど光の減衰は大きくなります。
- 透過する距離が同じとき、試料の濃度が濃いほど光の減衰は大きくなります。


レシオ方式赤外線ガス分析計
2.4. 基本構造
以下に当社ガス分析計における、光学系(NDIR)の基本構造を示します。
- 光源:赤外線を照射するための光源です。照射される赤外線は非分散、つまり周波数帯に幅を持たせてあり、この点がFTIRなど赤外線を利用した他のガス分析計と根本的に異なる点です。
- 回転セクター:赤外線を断続的にセルに照射するための機構です。
- 比較セル:N2が封入されています。N2は同じ窒素原子からなるガス分子なので、比較セルでは赤外線の吸収は生じません。
- 試料セル:試料ガスが導入されます。試料ガスにより赤外線の吸収が生じます。
- 検出器:セルを透過した赤外線の強度を取得します。
比較セルを透過した赤外線と試料セルを透過した赤外線を比較することで正確にガス濃度を測定します。
このような仕組みを比率測光方式(レシオ方式)赤外線ガス分析計と呼びます。