EPMA-8050G - 特長
電子線マイクロアナライザ(Electron Probe Microanalyzer)
超高分解能マッピング
カーボン上のSnボールを倍率3万倍でマッピング分析しました。SE像(左)で直径わずか50nm程度と見られるSnの粒子までもがX線像(右)で明確に確認できます。
最新鋭だからできること
二次電子像最高分解能3nm
カーボン上の金蒸着粒子の観察例です。最高分解能として3nm (@30kV)を達成しています。比較的大きなビーム電流でもビームが絞れるので、なめらかで高分解能なSEM像が容易に得られます。
超高感度マッピング
ビーム電流1µA、倍率5000倍でステンレスをマッピング分析しました。
(左)Crの濃度がわずかに異なる相の分布を克明にとらえています。 (右)含有量が0.1%に満たないMnの分布を可視化することに成功しました。
かつてない卓越した空間分解能
分析に用いられるビーム電流条件でナンバーワンの二次電子像分解能を誇ります。(加速電圧10kVにおいて、20nm@10nA/50nm@100nA/150nm@1µA)従来の電子銃(CeB6、タングステン)と比較した結果は一目瞭然です。
同じ分解能の像が従来の電子銃より格段に大きなビーム電流で得られるので、非常に高感度なX線分析を行うことができます。
さらに注目すべきは、ビーム電流1µAのSEM像です。1µA以上のビーム電流が得られ、しかもここまでビームを細く絞ることができるのは、EPMA-8050Gだけです。
各電子銃のビーム特性比較(加速電圧10kV)
超高感度分析を可能にする大ビーム電流
FEタイプのSEM、EPMAではほかに例を見ない大ビーム電流(加速電圧30kVで最大3µA)が、超微量元素の検出感度を飛躍的に向上させます。元素マッピングでは超微量成分のイメージングが可能になります。
また、全てのビーム電流範囲で対物絞り(アパーチャ)を交換する必要がないので、軸ズレの心配が無く、完全自動分析にも対応します。
3つの画像は、ステンレス中に約1%含まれるSiのマッピング分析を異なるビーム電流で実施した結果です。※
ビーム電流が大きくなるほどざらつきが減り、Siを含む領域がより明確になることがお分かりいただけます。
※ いずれも加速電圧10kV、サンプリング時間50msecで測定。所要約1時間。
高性能4インチX線分光器を最大5台搭載可能
分析性能の基本となるX線取り出し角度は52.5°をコンセプトキープ
ピットの穴の中にある異物を分析したデータです。左下が鉄(Fe)、右下がチタニウム(Ti)の分布です。EPMA-8050Gは高い取出し角度により、凹凸の激しい試料でも精度の高い分析が行えます。
分光結晶は完全集光を実現するヨハンソン型です。
島津の伝統が培った独自の結晶製法ノウハウにより、高感度と高分解能を両立させた分光結晶をご提供します。ヨハンソン型分光結晶は収差の無い、完全集光型結晶です。
高感度、高分解能を両立する4インチ分光器を最大5台まで搭載可能です。
EPMAの分析性能においてX線分光器のローランド円径は重要な要素のひとつです。ローランド円の半径が1インチ大きくなると検出感度は30%以上も減少します。島津EPMAは全分光範囲をカバーする4インチ分光器を最大で5台まで搭載することができます。
分光器の構成
各分光結晶の分析可能元素と推奨の分光器構成例です。
分光器を多チャンネル装備する場合、多くの分光素子が準備されており、目的に応じて最適なものを選ぶことができます。
島津のEPMAは、対物絞りの交換をはじめとする装置パラメータを操作しないで常に最適性能が発揮できるよう設計されていますが、X線分光器についてもその思想は貫かれており、分析に際してローランド円径を選んだりスリット切り替えを行ったりすることなく、最高の感度と最高の分解能を両立させています。
定性分析 | 定量分析 | マッピング/線分析 | 状態分析 | |
感度と分解能を両立させた X線分光器 (島津EPMA) |
○ | ○ | ○ | ○ |
※すべての分析モードで最適な分析条件を実現できるのは、感度と分解能を両立させた島津X線分光器だけです。 | ||||
感度重視のX線分光器 | △ ピークが重なりやすくなり,誤判定を招きます。 |
○ | ○ | × 波形変化を捉えにくくなります。 |
分解能重視のX線分光器 | △ | × ピーク強度が再現しにくくなります。 |
× 試料面の影響を受けやすくなるとともに、長時間にわたり、安定したピーク強度が得にくくなります。 |
△ 微小ピークの検出が難しくなります。 |
すべての分析を簡単に分かりやすく操作
全ての操作がマウスひとつで行える先進の操作性、「分かりやすさ」を追求したユーザーインターフェース、簡単モード搭載など、「簡単、分かりやすい操作」を可能にする数々の新機能を備えています。初心者の方でも容易に分析が行えることはもちろんのこと、熟練者の方が行う高度な分析にも的確にお応えします。
- 試料導入からレポート作成まで全てがイージーオペレーション
- 初めての方でも試料探しからSEM像観察まで簡単にできます。
- かつてない操作性が分析開始までの作業効率を格段に高めます。
- 視覚的にも「分かりやすさ」を追求したユーザーインターフェース。
- レポート作成まで自動で行う簡単モードを搭載。
微小領域の超高感度分析を可能にする先進技術
1. 高輝度ショットキーエミッタ
SEMで一般的に用いられるものよりも先端径の大きい高出力タイプのショットキーエミッタを採用したFE電子銃。高輝度でありながら高感度分析に不可欠な大電流の電子ビームが安定して得られます。
2. EPMA専用電子光学システム
電子光学系は、コンデンサレンズを電子銃側に出来るだけ近づけ,コンデンサレンズではクロスオーバを形成せず、対物絞りを同位置に配置したアイリスレンズでクロスオーバを形成するようにした独自の構成と制御方式です(特許:第4595778号)。シンプルなレンズ構成でありながら、大電流が得られるとともに、全ての電流条件で開き角が最適に設定され、電子ビーム径を最小にすることができます。もちろん対物絞りの交換は不要です。
3. 超高真空排気システム
電子銃室、中間室、分析チャンバーの間をそれぞれオリフィスで仕切った2段の差動排気システムです。中間室と分析チャンバーとの間のオリフィスを最小化することで中間室へのガスの流入を抑制し、電子銃室を常に超高真空に保ち、エミッタを安定動作させます。