PDA-7000シリーズ - 特長
発光分光分析装置(Optical Emission Spectrometer)
高感度な分析

鉄鋼中窒素の高感度分析
鋼中の窒素は、機械的性質に与える影響が大きく製鋼工程管理分析での迅速化が切望されています。 PDA-7000では、炉中分析において、ガス分析計に代用できるものとして新開発し、検出下限5 ppmを達成しました。 これにより、試料のサンプリングの軽減、分析時間の短縮などを実現することができます。また、鋳鉄中でも窒素を管理することにより、試料欠陥を除去し歩留りを向上することができます。
微量元素の高感度分析
高純度な金属材料の製造技術の確立により、各元素は、より微量域の工程管理が求められています。PDA-7000では、PDA時間分析測光法によりppmレベルの分析を迅速かつ簡便におこなうことができ、この要求に応えています。
コンタミネーション影響の除去
高純度な金属材料の製造技術の確立により、各元素は、より微量域の工程管理が求められています。PDA-7000では、PDA時間分析測光法によりppmレベルの分析を迅速かつ簡便におこなうことができ、この要求に応えています。
真空型分光器
C、P、S、B、Nなどのスペクトル線は空気中の酸素の吸収による影響を避けるため、分光器内を真空に保持するか ガス置換する必要があります。島津では温度変化の影響を受けにくい真空型分光器を採用し、さらに分光器室を温調することで極めて安定した分析を実現しています。
使いやすさを考えたメンテナンス設計

発光スタンド
新型発光スタンドの採用で安定性向上
従来の発光スタンドの構造・材質を一新し、高濃度元素 (ステンレス、アルミ合金)の精度が大幅に向上しました。 また、大型試料板を採用し、取り扱いやすくなるとともに、耐久性も向上しました。
電極クリーニング(電極寿命約10倍)
電極再生も従来の逆転放電方法だけでなく、ブラッシング方法を採用することにより、従来の約10倍の電極寿命を実現しました。もちろん便利な逆転放電再生方式も標準装備しています。また、自動電極クリーニングユニット(オプションP.12参照)を選択することにより、対電極に付着した試料蒸発物を自動的にブラシで取り除き常に電極をきれいな状態に保つことができる為、長期間の安定性が向上しています。これには、自動試料押さえ機構も付属していますので、どなたでも同一条件で試料をセットすることが可能です。
耐環境性に優れた新設計のシャーシ・ケース
シャーシ・ケースを新設計し、耐環境性を向上しました。温度変化の影響が少ない材質で作られた分光器を恒温室内に設置しています。また、好評な従来のコンパクト設計を受け継ぎ、背面を壁際に付けて設置できる省スペース設計でメンテナンスは装置正面からおこなえるような機能的な設計となっています。分析室レイアウトの自由度が高くなります。
分析範囲、分析元素に応じて、最適な放電条件が選べます
分析元素毎に高エネルギー放電、再現性の良いスパーク放電と感度の良いアークライクスパーク放電などを使い分け、また、それらを複合して、最適な放電条件が設定できます。それぞれを時間分解測光することによって高精度分析を実現しています。 さらに、0.01 mm厚の試料や径の小さい試料(*)にも対応できます。
(*):スモールサンプル分析対応キット(オプションP12参照)使用時
ランニングコストを抑えた省エネルギー設計
装置の休止時はArガスの流量を従来と比べて1/10に低減しました。省エネルギー設計により安価なランニングコストを実現しています。
ソフトウェアの優れた操作性

ユーザフレンドリなソフトウェア
日本の金属分析現場の状況を熟考し、工程分析を念頭において設計されたソフトウェアです。装置起動後、ワンアクションで分析画面に移行し、分析可能となり、簡単に工程分析が可能です。
また、分析に必要な情報を順番に入力していくだけで、簡単に分析情報を作成することができます。
操作はいたって簡単
発光スタンドに試料をセットした後、試料No.を入力してスタートボタンを押すだけで、10秒あまりで分析結果が画面に表示されます。(分析時間は分析条件によって異なります)また、分析データは、市販ソフトウェアで自由に加工できるよう容易に変換できます。
装置のオペレーションをサポート

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分析データをホストコンピュータやプリンタに伝送することができます。
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分析情報や分析結果を市販のデータベースソフト、表計算ソフトで使用可能です。
特許取得の技術
PDA時間分解測光法
島津独自のPDA測光法を標準搭載することにより、あらゆる分析に対し、様々なメリットがあります。
PDA測光法(パルス分布測光法)
従来の測光法が、放電によって得られた光電流を一定時間単純に積分するのに対し、PDA法は放電パルスごとに得られる光電流を積分し、その個々の積分値をそれぞれ意味のあるものとして解析し、最適な処理をして含有率を求めるものです。PDA測光法は、形態別分析のほかに従来法ではできなかったいろいろなデータ処理が可能であり、これによって多くの元素について分析精度を大幅に向上させることができます。
時間分解測光法(特許)
スペクトル線によって、最高の測定感度が得られる放電条件は異なります。
右図の代表的な放電条件の電流波形ですが、このA部で感度のある元素とB部で感度のある元素をそれぞれの領域で分析することにより、微量域の感度が大幅に向上します。

従来法とPDA-7000とのBEC(Background Equivalent Concentration)の比較を下表に示します。この値が低いほど、微量域の感度が高いことを示します。
元 素 | C | P | S | B |
---|---|---|---|---|
従来法(ppm) | 160 | 150 | 100 | 80 |
PDA-7000(ppm) | 80 | 75 | 50 | 40 |
分析時間の短縮(1回分析10数秒)
複合放電とPDA時間分解測光法により、わずか10秒あまりで分析値が得られます(1回分析の場合)
各放電パルスのデータをコントロールできるため、異常放電パルス時の測光値を除去し、精度が向上します。
従来法が光強度の全積分値を測定していたのに対し、PDA-7000シリーズでは光強度の度数分布を求め、統計処理するため、異常放電時の光強度の影響を受けることのない測定ができます。
金属中で介在物化しやすく固溶しない元素の精度向上(特許)
従来法に比べて、再現精度が2~3倍向上しています。(当社比)
下表は鋼中で介在物化しやすい元素の再現精度を従来法とPDA-7000で比較したものです。
元 素 | Total Al | S | Pb | B | Ca | |
---|---|---|---|---|---|---|
含有率(%) | 0.037 | 0.022 | 0.005 | 0.0035 | 0.002 | |
再現精度 σ(%) |
従来法 | 0.0025 | 0.0010 | 0.0010 | 0.00027 | 0.00045 |
PDA-7000 | 0.00045 | 0.0004 | 0.0002 | 0.00005 | 0.0001 |
試料欠陥(クラック、ピンホール)による分析値への影響の低減(特許)

放電パルス毎の内標準モニタ法を用い、内標準元素の光強度を監視して、それが 設定された範囲内にあるときに得られた測定元素の光強度のみを選択します。試 料採取の際に発生した欠陥部分に当たったスパーク時のデータを、統計処理によ り除外することで、再現性を向上できます。

形態別分析(酸可溶性アルミニウムの定量)
酸可溶性アルミニウム(sol-Al)と酸不溶性アルミニウム(insol-Al)の発光強度の相違に着目し、統計処理することにより、わずか11秒で酸可溶性アルミニウムの定量がおこなえます。
この手法は鋼以外の鋳鉄やアルミニウムに含まれるマグネシウム等にも応用できます。
