PDA-7000SE - 特長
発光分光分析装置(Optical Emission Spectrometer)
高い安定性と堅牢性
安定した分析を可能にするPMTと真空型分光器
C、P、S、B、Nなどを高感度かつ安定した測定を行うために、分光器は真空型を採用しています。周囲環境の影響が小さく、高い安定性を実現しています。また、測定波長に合わせて最適な検出が可能で、ダイナミックレンジの 広いPMT(光電子増倍管)を搭載しています。
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※UCL、LCL:JIS併行精度の±2倍
PDA‒7000によるアルミニウム合金の安定性分析例
コンタミネーション影響の除去

発光スタンド
コンタミネーションの影響を最大限に除去できるように、お客様自身で発光スタンド内の部品を用途に応じて交換できる構造にしています。また、大型試料板を採用することで、取り扱いが容易となり、同時に耐久性も向上しています。
電極クリーニングによる安定した放電

自動電極クリーニングユニット
電極再生はブラッシング方法を採用しています。放電ごとにブラッシング作業を行うことで一定の放電ギャップを確保し、分析結果の高い安定性を確保できます。もちろん、従来の逆転放電再生方式も標準装備しています。
また、自動電極クリーニングユニット(オプション)で対電極に付着した試料蒸発物を自動的にブラシで取り除くことができます。自動試料押さえ機構も付属しているため、どなたでも同一条件で試料をセットできます。
堅牢ボディ
装置本体部は、温度変化の少ない材質で作られた真空型分光器が恒温室内に設置され、一体型のシャーシ・ケースで覆われています。耐環境性に優れており、長年にわたり、過酷な製造現場での分析業務を支えます。PDA-7000SEのメーカー保証は3年間のため、発光分析装置を初めて導入いただく方でもご安心いただけます。
省スペース・省コスト
コンパクトなハード設計
分光器とPDA測光部、発光装置、発光スタンドを搭載した一体型設計です。分光器は、焦点距離が600 mmで合金から高純度材までの測定に十分な分解能を持っています。装置本体(幅1550 mm/奥行650 mm)は、一般的な実験台(幅1800 mm/奥行750 mm)よりも小さなスペースに設置いただけます。さらに、スリムな奥行サイズのため、搬入経路の確保にも労を要しません。装置前面と側面から全てのメンテナンス作業が可能な構造であるため、装置背面に余分なスペースを設ける必要もありません。真空ポンプは別置きにして、メンテナンス性を確保しています。
安いランニングコスト

アルゴンガスコストの試算(1ヶ月)
試算条件
・アルゴンガス1 Lあたり2円
・1日の稼働8時間、休止モード16時間
・1試料当たり2回分析
真空型分光器を採用しているため、分光器へのパージガスは不要です。安定した放電を確保し、酸素によるスペクトル線の吸収を避けるために、発光スタンドにアルゴンガスを利用します。
夜間の装置休止時には休止モードをご利用いただくことで、アルゴンガス消費量を最小限に抑えた運転が可能です。周囲環境からの空気や水分などの侵入を防ぐために最小限のアルゴンガスを流します。休止モードから待機 / 分析モードへの切り替えも速やかに行っていただけます。待機モードと比較してアルゴンガス消費量を大幅に低減できるため、コスト削減に貢献します。

業務に寄り添うソフトウェア
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すぐに分析可能なソフトウェア
日本の金属分析現場の状況を考慮し、工程分析を念頭に置いて設計したソフトウェアです。装置起動後、ワンアクションで分析画面に移行するため、すぐに分析可能です。発光スタンドに試料をセットした後、試料No.を入力してスタートボタンを押すだけで、10秒ほどで分析結果が画面に表示 されます(分析時間は分析条件によって異なります)。
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PDA-WinからCSV出力することによって、分析データを市販のデータベースソフトや表計算ソフトで自由に加工できます。
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特許取得の技術
PDA時間分解測光法
島津独自のPDA測光法を標準搭載することにより、あらゆる分析に対し、様々なメリットがあります。
PDA測光法(パルス分布測光法)
従来の測光法が、放電によって得られた光電流を一定時間単純に積分するのに対し、PDA法は放電パルスごとに得られる光電流を積分し、その個々の積分値をそれぞれ意味のあるものとして解析し、最適な処理をして含有率を求めるものです。PDA測光法は、形態別分析のほかに従来法ではできなかったいろいろなデータ処理が可能であり、これによって多くの元素について分析精度を大幅に向上させることができます。
時間分解測光法(特許)
スペクトル線によって、最高の測定感度が得られる放電条件は異なります。
右図の代表的な放電条件の電流波形ですが、このA部で感度のある元素とB部で感度のある元素をそれぞれの領域で分析することにより、微量域の感度が大幅に向上します。

従来法とPDA-7000とのBEC(Background Equivalent Concentration)の比較を下表に示します。この値が低いほど、微量域の感度が高いことを示します。
元 素 | C | P | S | B |
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従来法(ppm) | 160 | 150 | 100 | 80 |
PDA-7000(ppm) | 80 | 75 | 50 | 40 |
分析時間の短縮(1回分析10数秒)
複合放電とPDA時間分解測光法により、わずか10秒あまりで分析値が得られます(1回分析の場合)
各放電パルスのデータをコントロールできるため、異常放電パルス時の測光値を除去し、精度が向上します。
従来法が光強度の全積分値を測定していたのに対し、PDA-7000シリーズでは光強度の度数分布を求め、統計処理するため、異常放電時の光強度の影響を受けることのない測定ができます。
金属中で介在物化しやすく固溶しない元素の精度向上(特許)
従来法に比べて、再現精度が2~3倍向上しています。(当社比)
下表は鋼中で介在物化しやすい元素の再現精度を従来法とPDA-7000で比較したものです。
元 素 | Total Al | S | Pb | B | Ca | |
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含有率(%) | 0.037 | 0.022 | 0.005 | 0.0035 | 0.002 | |
再現精度 σ(%) |
従来法 | 0.0025 | 0.0010 | 0.0010 | 0.00027 | 0.00045 |
PDA-7000 | 0.00045 | 0.0004 | 0.0002 | 0.00005 | 0.0001 |
試料欠陥(クラック、ピンホール)による分析値への影響の低減(特許)
放電パルス毎の内標準モニタ法を用い、内標準元素の光強度を監視して、それが 設定された範囲内にあるときに得られた測定元素の光強度のみを選択します。試 料採取の際に発生した欠陥部分に当たったスパーク時のデータを、統計処理によ り除外することで、再現性を向上できます。

形態別分析(酸可溶性アルミニウムの定量)
酸可溶性アルミニウム(sol-Al)と酸不溶性アルミニウム(insol-Al)の発光強度の相違に着目し、統計処理することにより、わずか11秒で酸可溶性アルミニウムの定量がおこなえます。
この手法は鋼以外の鋳鉄やアルミニウムに含まれるマグネシウム等にも応用できます。
