Nexera UC Prep - 特長
セミ分取 超臨界流体クロマトグラフ
卓越した回収率を実現する独創の技術
超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を用いる分取精製は,目的化合物を高濃度に濃縮し有機溶媒で回収するため,分析時間だけでなく,分取後の後処理時間まで時間短縮が期待できます。Nexera UC Prepでは,さらに待ち時間を低減する連続分取や高い回収率での分取が可能なので,時間当たりの分取量を最大化します。
SFCによる分析時間の短縮
SFCは,超臨界流体CO2が低粘性と高い拡散性を有するため,高流量であってもカラム負荷圧は低く,かつカラム効率を損うことなく分析の高速化が可能です。HPLCに比べて分析時間の大幅な短縮が期待できます。
“LotusStreamセパレーター”による高い回収率を可能に
SFCを用いた分取時は,CO₂が超臨界状態から約500倍の体積の気体状態に一気に膨張するときのカラムからの溶出液の飛散が回収率の低下の一因となっていました。本製品では独創の気液分離セパレーター(特許取得済み)によりサンプルの飛散やキャリーオーバーを抑制しながら高い回収率を得ることに成功しました。香料のリナロールなど揮発性の高い化合物であっても,流量やモディファイア濃度に依らず,良好な回収率が得られます。
1%リナロールの回収率
方 式 | 回収率(%) |
---|---|
従来方式 | 78.0 % |
LotusStreamセパレーター | 96.7 % |
LotusStream セパレーター (特許所得済み)
多流路分岐方式によって管径を広げることなく流速を抑制します。これにより溶出液の飛散を起こすことなく,CO₂は外へ,液体は柱を伝って真下に滴下されます。
バイアルへの直接分画法
96 well plateへの直接分画法
待ち時間なく連続分取:スタックインジェクション機能
通常のインジェクションによる分取では,ピーク溶出から次のピーク溶出までの間に無駄な時間が発生します。スタックインジェクション機能を用いれば,待ち時間なく連続注入できるため,ピークが溶出していない時間を極力減らし,処理量を増やすことができます。本機能は専用ソフトウェアPrep Solutionから簡単に設定できます。
簡便な後処理
カラム溶出液の回収時には,超臨界流体CO2は気化し,移動相の極性調整のために添加された有機溶媒(モディファイア)のみがフラクションコレクターに回収されます。回収分画が水を含まないため,濃縮時の時間短縮が実現できます。
大量注入時もシャープなピーク形状を維持
試料溶媒の影響を回避する固体オートサンプラー
分取カラムに注入する試料量を増やせば,回収量の増加が見込めます。しかしながらカラムへの資料溶媒の過剰な注入はピーク形状や分離の悪化を招くリスクもあります。オンラインSFE-SFCを用いた分取では,抽出容器に固体試料を封入し,溶媒に溶解することなく直接抽出することが可能です。良好なピーク形状により,夾雑成分の共溶出を抑制し,対象成分の純度を高めることができます。
分取ワークフローに沿った簡単操作
島津分取SFC専用ソフトウェアPrep Solutionを用いれば,分析から分取へのスケールアップ操作は簡単に行うことができ,また条件の変更や調整も容易です。分取精製業務のワークフローの効率化が実現できます。
初めての方にも分かりやすいシンプル設定
島津分取SFC専用ソフトウェアPrep Solutionは分取に特有のパラメーターの設定を可能な限り簡略化し,不慣れな方でも迷わず操作が可能です。設定ミスによって貴重なサンプルを無駄にしてしまうリスクを防ぎます。
分取前に,ピークの溶出位置を確認するためにシングル分析を行います。3つのタブで基本パラメーターを入力するだけで分析を開始できます。
シングル分析で得られたクロマトグラムをシミュレーション画面に表示させ,マウス操作で視覚的に分取したい区間を選択し,自動で分取メソッドにパラメータを反映します。
設定条件に基づいて分取を行います。
分取中はクロマトグラムをモニターするだけではなく,分取した区間がリアルタイムで表示され,回収の様子をその場で視覚的に確認できます。
スタックインジェクション時に,より適切な分画条件や注入条件へ変更できます(On-the-fly機能)。
コンパクトなベンチトップシステム
外付けの冷却装置(チラー)不要のコンパクトなベンチトップCO2ポンプが,省スペース設計を実現。また,1台で幅広い流量に対応でき,導入コストを抑えます。
設置場所を選ばないコンパクトなシステム
高流量のCO2を送液するためには送液ポンプの冷却が必要です。Nexera UC Prepはコンプレッサー型の小型冷却ユニットを採用し,床置きチラー不要のコンパクトなシステムを実現しました。分析スケールのSFCと同等の卓上スペースに設置が可能です。
低流量から高流量分取まで可能なワイドレンジシステム
数百mg~数gオーダーの分取に応じて,10~150 mL/minの幅広い流量範囲に1台で対応できます。また,1台でSFCだけでなくHPLCも実施可能なシステムもラインアップし,用途に応じてお選びいただけます。
分析SFCシステムに分取機能を追加可能
分析スケールのSFCにフラクションコレクターを追加することで,少量分取も可能となります。メソッドスカウティングによる分析条件検討から数mgオーダーの少量分取までを同じシステムで実現できます。
抽出~分析~分取までを自動化
Nexera UC オンラインSFE-SFCシステムは,超臨界流体抽出(SFE)とSFCを組み合わせた画期的なシステムです(特許取得済み)。固体試料から目的成分の抽出と分析を自動化することにより,前処理操作の時間短縮や分析精度の高いデータを得ることが可能です。フラクションコレクターと組み合わせて,分取までシームレスに行えます。
天然物中機能性成分の抽出と分析のオンライン自動化
固体試料から目的成分を抽出し,SFC分析にオンラインで導入することで,前処理を不要とした新しい分析スタイルを提案します。トマトペーストの場合,わずか5分の事前操作の後,リコペンの抽出,分離,検出の一連の工程を自動で実施できます。
抽出容器を超臨界流体抽出ユニットの所定位置に配置し,分析ソフトウェアLabSolutionsにて分析開始するだけで,抽出から分離までシームレスに実行できます。
オンラインSFE-SFCにより,トマトペーストからリコペンを自動的に抽出し,製品パッケージの表示値相当のリコペンが抽出できました。
まとめて抽出して分画,後処理まで省力化
検出器の後段にフラクションコレクターを接続することにより,抽出,分離,分取のオンライン実行も可能です。更に,分析から分取へスケールアップして分画量を増やすことができます。最大流量150mL/minまで対応可能な超臨界流体抽出ユニットと分取カラムと組み合わせて使用することによって,大量抽出に対応可能です。従来のHPLCを用いた抽出では,オンラインSFE-SFCを使うことで,抽出から分析,分取まで自動で行うことができ,SFE-SFCは昼夜問わず抽出・分画できます。さらに分離の主たる移動相は超臨界流体CO2であるため,回収分画の濃縮時間の短縮も実現できます。
回収液の再分析クロマトグラム
環境負荷を低減
順相HPLCとNexera UCで,同じ分析を行った時のコストと溶媒の消費量を比較しました。従来HPLCと比較して87.6%ものコスト削減に成功しています。また,使用する溶媒はメタノールで,順相HPLCと比較してわずか5.8%の消費量で済みます。