LCMS-TQ RX シリーズ - 特長
トリプル四重極質量分析計
Reliable
更なる進化を遂げたイオン化ユニット
1, CoreSpray

新開発のネブライザーノズルであるCoreSpray により、ネブライザーフロー更なる均一性向上と流量の上限値拡張(7 L/min)を実現。より安定なイオン化を実現し、イオン導入量が安定することで、同一サンプルはもちろんのこと、装置間でのバラツキを低減。ラボにある複数の装置の効率運用を後押しします。
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2, Heated ESI プローブ
ESI では、粒子径の大きな液滴は脱溶媒が追いつかず、結果的にイオン化されずにロスとなってしまいます。ネブライザーガスの外側から高温のガスをスプレーに吹き付けることにより、大きな液滴の脱溶媒を助け、イオン化を促進します。これにより、幅広い化合物の高感度分析が可能となります。 -
3, IonFocus™ ユニット
これまで最上位モデルにしか搭載されていなかった島津独自のIonFocus™ユニットが全モデルに搭載されました。フォーカス電極により、イオンを効率よく質量分析計内部に導入することが可能になります。
感度と高速性を兼ね備えるUF Technology
高感度[UFsensitivity]を実現するHeated ESIプローブ、高速コリジョンセル。質・感度のロスを最小限に抑える高速正負イオン化切替[UFswitching]と高速MRM[UF-MRM]。高速分析においてもハイクオリティなマススペクトルが得られる高速スキャン[UFscanning]。LCMS-TQ RX シリーズは、島津製作所が培ってきた高感度と高速性を兼ね備えるUF Technologyが結集しています。

多量のマトリックスを含む試料の連続分析
CoreSpray による均一なネブライザーフローは、多量のマトリックスを含む試料でも長時間安定です。下記データは、紅茶に添加した残留農薬を20,000 回連続分析し、面積値をプロットしたものです。より過酷な条件で評価するため、バルブを用いた夾雑成分の除去は行いませんでしたが、非常に安定した結果でした。LCMS-TQ RX シリーズは、夾雑成分を多量に含む農産物や生体試料の連続分析においても抜群の頑健性を誇ります。
Resilient
ワークフロー全体を最大限に効率化
- 最新のユーザー支援技術「Analytical Intelligence」を備えたシステムとソフトウェアが、分析準備から解析までのワークフロー全体を最大限に効率化します。
分析準備
装置状態の自動チェック

自動で標準試料を注入し、質量精度、分解能、強度等の装置状態をチェックします。結果に応じて自動でキャリブレーションを行うことも可能で、ベストな状態で分析を開始できます。

強度安定性のチェックでは、不具合箇所の特定まで可能です。ユーザーメンテナンスの範囲内か、弊社サービスマンを呼ぶ必要があるのかを判断してくれるので、効率的なメンテナンスにつながり、装置のダウンタイムを最小限に抑えます。
分析条件の自動最適化
MRMパラメータ(プリカーサイオンm/z、プロダクトイオンm/z、各種電圧など)とインターフェイスパラメータ(ガス流量、温度条件)を自動で最適化します。最適化結果は、データブラウザ機能でグラフィカルに確認できるため、その結果が妥当かどうか一目で判断できます。最適化した結果はデータベースに登録でき、登録された情報を利用して分析に使用するメソッドを簡単に作成できます。
また、MS条件の最適化だけでなく、グラジエントなどのLC条件を自動で振って検討することもできます。簡単な条件を入力さえすれば、メソッドファイルやバッチファイルを自動で作成してくれます。そのため、条件検討のためのメソッドを手動で一つずつ作成するというような作業は必要ありません。
設定時刻に自動起動・分析準備
島津製作所が誇る超高速液体クロマトグラフNexeraシリーズでは、パージやカラム平衡化などの装置コンディショニングを自動で行い、指定時間に分析を開始できます。カラム平衡化時にオーブン温度が低い場合には、自動で流量を落としてカラムの劣化を防ぐ(FlowPilot機能)など、種々のAnalytical Intelligence機能が分析のクオリティを支えます。
データ解析
AIによる自動波形処理
AI波形処理アルゴリズムを搭載したPeakintelligence™ for LCMSが、熟練者と同等レベルの波形処理を実現し、データ解析に要する時間を大幅に短縮します。複雑なパラメーター設定も不要なので、簡単にご使用頂けます。

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- 残留農薬の分析データをPeakintelligence for LCMSで波形処理した一例を示します。S/Nが低いピークや、夾雑物や異性体と未分離のピークも適切に波形処理されていることがわかります。ベースラインのノイズやうねり由来の誤検出も抑え、安定した定量を実現します。
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- 自動で波形処理をした結果、波形処理が正しくない場合は手動波形処理で修正を実施します。Peakintelligence for LCMSを使用すると、現行アルゴリズムと比べて手動で波形処理が必要なピーク数を削減でき、データ解析に要する時間を現行アルゴリズムの約3分の1に短縮できます。
データ解析のスループット向上
多検体定量支援ソフトウェア LabSolutions Insight が、多検体データの解析にかかる時間を大幅に削減します。フラグ機能・フィルタ機能・ピーク比較機能などにより、多検体データの中から着目すべき成分に絞った効率的な解析ができます。
メンテナンス
ダウンタイムを短縮するメンテナンス性
「かんたんメンテナンス」を従来機から継承。サンプルを真空部へ導入するDL(Desolvation Line)や ESIキャピラリーが短時間で簡単に交換できます。DLも真空状態のまま交換できるので、分析のダウンタイムを最小限にとどめることが可能です。
Responsible
地球環境への負荷低減のために
高いエネルギー効率

LCMS-TQ RX シリーズでは、システムの使用状況を確認して、一定時間使用していない場合は自動で装置のシャットダウンを実行するエコロジーモード機能を搭載。エコロジーモード機能を使用することで、消費電力を約31% 削減できます。さらに分析時以外はLC-MS/MS の周辺機器も使用しないため、電力消費量の大幅な削減に寄与。CO2 排出量削減に寄与することで、脱炭素社会の実現に貢献します。
環境負荷の高い廃棄物を減らす
粗引き真空ポンプに新たにオイルフリー型をラインアップ。定期的なオイル交換作業がなくなり、オイル消費量を大幅に削減します。また測定に要する溶媒消費量の削減により、環境負荷への低減に貢献します。