LCMS-8065XE - 特長
トリプル四重極質量分析計
EVOLVED 革新的なイオン化技術
革新的な新技術が卓越したパフォーマンスを実現
LCMS-8065XE のために開発された新技術は、分析性能を大幅に向上させ、定量分析を新たな次元へと引き上げます。超高速測定技術UF Technologies に、低拡散型ネブライザーノズルStreamFocusを搭載したESI プローブと高感度型コリジョンセルUFsweeperⅣが融合したことで、最高レベルのパフォーマンスを実現しました。


高い脱溶媒効率を誇る加熱アシスト型ESIプローブが更なる進化を遂げ、幅広い化合物の高感度(UFsensitivity) 分析を実現します。新開発のStreamFocus は、噴霧された液滴の拡散を抑える低拡散型ネブライザーノズルで、より多くのイオンを取り込むことが可能になりました。また、従来機と比べてネブライザーガスの消費量を抑えられ、ランニングコストの削減にもつながります。

質量分析計の汚染を緩和するために、イオンスプレーの位置をイオン取り込み口から離すと、汚染の原因となる中性粒子だけでなく、対象成分のイオンも取り込みづらくなり、感度が低下します。イオンソースにイオン輸送用のフォーカス電極を設置したIonFocus ユニットでは、イオンのみを効率的に質量分析計に取り込み、不要な中性粒子を除去することができます。そのため、高感度と頑健性を両立した分析が長期間可能となります。LCMS-8065XE では、IonFocus ユニットの機構を見直し、メンテナンス性もさらに向上しました。
EFFICIENT 高スループット 最高のROI
超高速技術「UF Technologies」が拓く新たな質量分析
島津製作所のトリプル四重極質量分析計は、独自技術であるUF Technologies を多数搭載し、様々な分野のお客様にご満足いただき、高い評価を受けています。最新のUF Technologies が搭載されたLCMS-8065XE は、さらなる高感度・高速分析を実現し、質量分析の新たな世界を開拓します。

UFsweeper™ Ⅳ
コリジョンセル内でイオンを減速することなく、スピーディに掃引(sweeping)する当社の独自技術であるUFsweeper テクノロジーが更なる進化を遂げました。新型のコリジョンセルでは、入口レンズ径の拡大とともに、レンズの枚数を増やしました。コリジョンセルに入るイオン量が増大し、さらなる高感度分析が可能になりました。

ダウンタイムを短縮するメンテナンス性
サンプルを真空部へ導入するDL(Desolvation Line)やESI キャピラリーを短時間で簡単に交換できます。DL も真空状態のままで交換できるため、分析のダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。
ワークフローを効率化し、生産性を最大化
- 最新のユーザー支援技術「Analytical Intelligence」を備えたシステムとソフトウェアが、分析準備から解析までのワークフロー全体を最大限に効率化します。
分析準備
装置状態の自動チェック

自動で標準試料を注入し、質量精度、分解能、強度等の装置状態をチェックします。結果に応じて自動でキャリブレーションを行うことも可能で、ベストな状態で分析を開始できます。

強度安定性のチェックでは、不具合箇所の特定まで可能です。ユーザーメンテナンスの範囲内か、弊社サービスマンを呼ぶ必要があるのかを判断してくれるので、効率的なメンテナンスにつながり、装置のダウンタイムを最小限に抑えます。
分析条件の自動最適化
MRMパラメーター(プリカーサイオンm/z、プロダクトイオンm/z、各種電圧など)とインターフェイスパラメーター(ガス流量、温度条件)を自動で最適化します。最適化結果は、データブラウザ機能でグラフィカルに確認できるため、その結果が妥当かどうか一目で判断できます。最適化した結果はデータベースに登録でき、登録された情報を利用して分析に使用するメソッドを簡単に作成できます。
また、MS条件の最適化だけでなく、グラジエントなどのLC条件を自動で振って検討することもできます。簡単な条件を入力さえすれば、メソッドファイルやバッチファイルを自動で作成してくれます。そのため、条件検討のためのメソッドを手動で一つずつ作成するというような作業は必要ありません。
設定時刻に自動起動・分析準備
島津製作所が誇る超高速液体クロマトグラフNexeraシリーズでは、パージやカラム平衡化などの装置コンディショニングを自動で行い、指定時間に分析を開始できます。カラム平衡化時にオーブン温度が低い場合には、自動で流量を落としてカラムの劣化を防ぐ(FlowPilot機能)など、種々のAnalytical Intelligence機能が分析のクオリティを支えます。
データ解析
データ解析のスループット向上
多検体定量支援ソフトウェア LabSolutions Insight が、多検体データの解析にかかる時間を大幅に削減します。フラグ機能・フィルタ機能・ピーク比較機能などにより、多検体データの中から着目すべき成分に絞った効率的な解析ができます。
AIによる自動波形処理
AI波形処理アルゴリズムを搭載したPeakintelligence™ for LCMSが、熟練者と同等レベルの波形処理を実現し、データ解析に要する時間を大幅に短縮します。複雑なパラメーター設定も不要なので、簡単にご使用頂けます。

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- 有機フッ素化合物(Per- and Polyfluoroalkyl Substances, PFAS)の分析データをPeakintelligence for LCMS で波形処理した一例を示します。S/N が低いピークでも適切に波形処理されていることが確認できます。また、ベースラインのノイズやうねりによる誤検出を抑え、安定した定量を実現します。
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- 自動での波形処理が正しくない場合は、手動で波形処理を行い修正します。Peakintelligence for LCMS を使用すると、現行アルゴリズムと比べて手動で波形処理が必要なピーク数を削減でき、データ解析に要する時間を現行アルゴリズムの約3 分の1 に短縮できます。
EXACT 感度向上による卓越した精度
1ng/LのPFAS混合標準試料を分析し、得られたマスクロマトグラムです。1ng/Lという低濃度であっても、十分なピーク強度で検出できます。革新的な新技術であるStreamFocusとUFsweeper Ⅳが搭載されたLCMS-8065XEは微量成分の高感度分析に有用です。
LCMS-8065XE は、夾雑物を含むサンプルの連続分析においても高い頑健性を誇ります。下記データは、排水をサンプルとし、10,000 回を超える注入をした際の初期レスポンスに対するピーク面積と内標準物質で補正されたピーク面積比をプロットしたものです。より過酷な条件で評価するため、バルブを用いた夾雑成分の除去は行いませんでしたが、10,000 回を超える注入後でも初期レスポンスの85% 以上のピーク面積を維持していました。
地球環境への負荷低減のために
高いエネルギー効率

LCMS-8065XE では、システムの使用状況を確認し、一定時間使用していない場合には自動で装置のシャットダウンを行うエコロジーモード機能を搭載しています。この機能を使用することで、消費電力を約31 % 削減できます。さらに、分析時以外はLC-MS/MS の周辺機器も使用しないため、電力消費量の大幅な削減に寄与します。CO2の排出量を削減し、脱炭素社会の実現に貢献します。
超高速UHPLC×UFMSでランニングコスト削減
UHPLCであるNexeraシリーズとUFMS が可能なLCMS-8065XEを組み合わせることで、超高速分析を実現し、分析のスループットが大幅に向上します。その結果、使用する溶媒やガス、電力の消費量およびコストも大幅に削減できます。