GC/MS法薬毒物データベース Ver.2
GC/MS薬毒物分析用
GC/MSを用いた薬毒物分析の
トータルサポートシステム
GC/MS法薬毒物データベースには,乱用薬物,精神神経病用薬,医薬品,農薬など中毒事例の多い薬毒物の一斉分析に必要な情報が登録されています。Ver.2では,登録薬毒物を1198種類増強し,2210種類が登録されています。また,ヘッドスペースを用いた血中アルコール分析とシアン化物やアジ化物などの揮発性毒物の最適な分析メソッドを提供することにより,GC/MSを用いた薬毒物分析についてトータルでサポートします。
1. 高感度スキャン測定での1000成分以上の薬毒物一斉スクリーニングを実現
GC/MSのスキャン法は,薬毒物分析において従来から利用されており,中毒起因物質の同定に不可欠な手法です。
マススペクトルライブラリを利用したデータ解析は,検出されたピークを検索し,薬物かどうかを判断します。生体試料由来のきょう雑物と重なったり,濃度が低いためTIC(トータルイオンカレントクロマトグラム)に埋もれたりした場合には,薬物を見逃す可能性があります。
本データベースでは,質量分離されたマスクロマトグラムにより,薬物のピークを探し出し,登録されている保持時間,確認イオン比およびマススペクトルの類似度の3種類の情報により,薬物の含有の有無を判断するため,生体試料由来のきょう雑物の多いTICを確認する必要がなく,見逃しの少ないデータ解析と省力化を図れます。
2. 登録化合物の保持時間を高精度に一括修正
メソッドファイルに登録されている化合物の保持時間は,保持時間修正機能(AART)を用いることでご利用のシステムに合わせた保持時間の一括修正ができます。低沸点から高沸点まで多点の時間補正リファレンス(n-アルカン)を用いるため,広範囲の保持時間領域で正確な保持時間修正が可能です。
3. ヘッドスペースHS-20 を用いた揮発性毒物分析をサポート
警察科学捜査研究所や大学法医学教室で不可欠な血中アルコール検査および揮発性毒物の最適な分析条件を提供します。揮発性毒物は,シアン化物,アジ化物およびシンナー成分(メタノール,酢酸エチル,トルエン)が登録されています。
また,半定量値が算出できるメソッドも準備しており,内部標準を試料に添加して測定するだけで,おおよその濃度値を確認することが可能です。定量するための検量線の濃度範囲を決める際に役立ちます。
4. MS/MSモードを用いた包括指定薬物の一斉検出
GCMS-TQシリーズのMS/MSモードを利用することで,薬機法(医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律)で包括指定されているナフトイルインドール系合成カンナビノイド及びカチノン類の包括検出と構造推定を行えます。
■カチノン類の一斉検出
カチノン類に特徴的なベンゾイルとアミンのα開裂したイオンをGC-MS/MSのプロダクトイオンスキャンとMRMを用いて,包括指定に指定されている官能基を包括的に検出します。得られた各部分構造から構造推定を行えます。アミンに修飾する官能基は,多くの異性体を持ちEI-スキャン法では識別が困難ですが,プロダクトイオンスキャンを用いることで簡単に識別ができます。
- 1)カチノン骨格の識別とR3の官能基推定
- 2)R3の官能基推定と位置異性体の識別
- 3)R1とR2の官能基推定と構造異性体の識別
■ナフトイルインドール系合成カンナビノイドの一斉検出
EIイオン化で開裂したナフトイルインドール系合成カンナビノイドに特徴的なナフトイルインドールとインドールカルボニルをGC-MS/MSのMRMとプリカーサーイオンスキャンを用いて,包括指定に指定されている修飾する官能基を包括的に検出します。また,得られた各部分構造から構造推定を行えます。
3種類のMS/MSモードのピークが同一保持時間に検出されることでナフトイルインドール系薬物の包括的な検出とR1 ~ 3官能基の構造推定が可能です。
データべース構成
■登録化合物
化合物分類 | 登録成分数 |
乱用薬物 | 1504 |
精神神経病用薬 | 366 |
一般医薬品 | 189 |
農薬 | 128 |
その他 | 8 |
内部標準(ISTD) | 9 |
揮発性毒物(HS) | 6 |
合計 | 2210 |
半定量可能な化合物数: 234 成分(そのうちHS-20を用いた揮発性毒物は6 成分)
誘導体化分類 | 登録成分数 |
未変化体 | 1333 |
TMS誘導体 | 585 |
TFA誘導体 | 292 |
合計 | 2210 |
※1 TMS体はトリメチルシリル誘導体,TFA体はトリフルオロアセチル誘導体を表します。
※2 半定量結果は,装置の状態により真値から大きくずれる場合があります。正確な定量結果を必要とする場合には必ず標準試料を用いた定量試験を実施してください。
※3 半定量を行う際には,試料溶液と内部標準物質を同時注入するソルベントフラッシュモードを使用します。この場合,オートインジェクタAOC-20iとオートサンプラAOC-20sの組み合わせが必要になります。
■製品構成
データベースファイル(Excel™),メソッドファイル,ライブラリファイル,レポートフォーマットファイル
■対応装置
GC/MS |
: |
GCMS-QPシリーズ,GCMS-TQシリーズ |
オートサンプラ |
: |
AOC-20i + AOC-20s |
ヘッドスペースサンプラ |
: |
HS-20(揮発性毒物メソッドを利用する場合) |
Excel |
: |
Microsoft® Excel 2013, 2016, 2019(32bit版) |
ワークステーション |
: |
GCMSsolution™ Ver. 4.51 以降 |
■推奨消耗品
n-アルカン |
: |
C8-C40アルカンキャリブレーションスタンダード(SIGMA-ALDRICH,Cat#: 40147-U) |
|
分析カラム |
: |
薬毒物分析用 |
SH-I-5Sil MS(30 m, 0.25 mm i.d., df=0.25 µm, P/N 221-75954-30) |
|
揮発性毒物分析用 |
SH-BAC2(30m, 0.32mm i.d., df=1.2 µm, P/N 227-36262-01) |
|
内部標準物質 |
: |
薬毒物分析用 |
Custom Internal Standard(Restek Corporation,Cat#: 560294) |
|
揮発性毒物分析用 |
2-プロパノール-d8(99.5%),2-メチル-1-プロパノール(99.5%) |
注意事項
- データベースに含まれる情報の正確性や,その使用の結果得られる情報の有用性については何らの保証もされないことをあらかじめご了承ください。
- 本システムで得られる定性及び定量情報は,確認のために必ず標準試料を用いた試験を実施してください。
- 本データベースを用いて登録物質を確実に同定するためには,製品に含まれるメソッドファイルの装置条件にて測定してください。
- 本データベースは研究用です。臨床診断用途で使用することはできません。
GCMS-TQ,GCMS-QPおよびGCMSsolutionは,株式会社島津製作所の商標です。
RxiおよびRtxは,Restek Corporationの登録商標または商標です。
MicrosoftおよびExcelは,米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
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