GC/MS法薬毒物データベース Ver.2 - 特長
GC/MS薬毒物分析用
高感度スキャン測定での1000成分以上の薬毒物一斉スクリーニングを実現
GC/MSのスキャン法は,薬毒物分析において従来から利用されており,中毒起因物質の同定に不可欠な手法です。
マススペクトルライブラリを利用したデータ解析は,検出されたピークを検索し,薬物かどうかを判断します。生体試料由来のきょう雑物と重なったり,濃度が低いためTIC(トータルイオンカレントクロマトグラム)に埋もれたりした場合には,薬物を見逃す可能性があります。
本データベースでは,質量分離されたマスクロマトグラムにより,薬物のピークを探し出し,登録されている保持時間,確認イオン比およびマススペクトルの類似度の3種類の情報により,薬物の含有の有無を判断するため,生体試料由来のきょう雑物の多いTICを確認する必要がなく,見逃しの少ないデータ解析と省力化を図れます。
登録化合物の保持時間を高精度に一括修正
メソッドファイルに登録されている化合物の保持時間は,保持時間修正機能(AART)を用いることでご利用のシステムに合わせた保持時間の一括修正ができます。低沸点から高沸点まで多点の時間補正リファレンス(n-アルカン)を用いるため,広範囲の保持時間領域で正確な保持時間修正が可能です。
ヘッドスペース HS-20を用いた揮発性毒物分析をサポート
警察科学捜査研究所や大学法医学教室で不可欠な血中アルコール検査および揮発性毒物の最適な分析条件を提供します。揮発性毒物は,シアン化物,アジ化物およびシンナー成分(メタノール,酢酸エチル,トルエン)が登録されています。
また,半定量値が算出できるメソッドも準備しており,内部標準を試料に添加して測定するだけで,おおよその濃度値を確認することが可能です。定量するための検量線の濃度範囲を決める際に役立ちます。
MS/MSモードを用いた包括指定薬物の一斉検出
GCMS-TQシリーズのMS/MSモードを利用することで,薬機法(医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律)で包括指定されているナフトイルインドール系合成カンナビノイド及びカチノン類の包括検出と構造推定を行えます。
カチノン類の一斉検出
カチノン類に特徴的なベンゾイルとアミンのα開裂したイオンをGC-MS/MSのプロダクトイオンスキャンとMRMを用いて,包括指定に指定されている官能基を包括的に検出します。得られた各部分構造から構造推定を行えます。アミンに修飾する官能基は,多くの異性体を持ちEI-スキャン法では識別が困難ですが,プロダクトイオンスキャンを用いることで簡単に識別ができます。
- 1)カチノン骨格の識別とR3の官能基推定
- 2)R3の官能基推定と位置異性体の識別
- 3)R1とR2の官能基推定と構造異性体の識別
ナフトイルインドール系合成カンナビノイドの一斉検出
EIイオン化で開裂したナフトイルインドール系合成カンナビノイドに特徴的なナフトイルインドールとインドールカルボニルをGC-MS/MSのMRMとプリカーサーイオンスキャンを用いて,包括指定に指定されている修飾する官能基を包括的に検出します。また,得られた各部分構造から構造推定を行えます。
3種類のMS/MSモードのピークが同一保持時間に検出されることでナフトイルインドール系薬物の包括的な検出とR1 ~ 3官能基の構造推定が可能です。