医薬錠剤(抗凝血剤)の水中観察(レーザー顕微鏡)
医薬錠剤(抗凝血剤)の水中観察 / OLS
医薬品の錠剤は,成型したままの素錠,糖衣錠などのコーティング錠などがありますが,いずれも,重さ,含有量の一性,崩壊性,薬剤の溶出性,強度などの品質は厳しく管理されています。このうち,崩壊性と溶出性に関係する“ 液中で錠剤の変化” をその場で観察することは錠剤の研究開発で重要と考えられます。しかし,液中で刻々と変化する錠剤の高分解能観察を行なうことはこれまで容易ではありませんでした。
レーザー顕微鏡(以下,LSM)は高分解能な観察と形状観察が行えます。さらに,水浸対物レンズ(以下,水浸レンズ)と組み合わせることで水中での錠剤の表面変化を捉えることが可能になります。
抗凝血剤の水中観察
今回観察した錠剤は,血液を固まりにくくして血流を良くする抗凝血薬 です。この錠剤の水中での表面変化を,OLS4100 と水浸レンズを用いて行ないました。Fig.1に,水中観察の様子を示します。
この抗凝血剤は水中に入れた直後から変化が認められました。Fig.2に,この変化の一時点のLSM 観察画像を示します。薬剤の表面から気泡のようなもの(Fig.2の黒い影)が盛んに発生している様子を捉えています。
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水浸レンズを用いた医薬錠剤の水中観察
Observation of Drug Tablets using a Water Immersion Lens
3D測定レーザー顕微鏡
3D測定レーザー顕微鏡OLS5000の外観を示します。この装置は波長405 nmのレーザー光と白色LED光を使用することにより高分解能なレーザー観察像とカラー像が得られます。さらに三次元形状(3D)計測や粗さ測定を非接触で行うことができます。
また,油浸対物レンズを組み合わせる手法により従来の大気観察では困難であった材料内部の観察が可能です。多層フィルムの層構造評価や異物混入の原因究明などに有効な手法です。