GC-MS/MSを用いた加工食品の残留農薬分析

加工食品類の残留農薬分析では,夾雑物が多いため農産物を対象とした従来の分析法を適用することが困難な場合があります。そのような場合,夾雑物を取り除くために新たな前処理方法の検討が必要です。

市販のレトルトカレーをQuEChERS法で前処理し得られた試料溶液に39種類の農薬を,濃度が0.01mg/Lとなるように添加し農薬添加試料を調整しました。調整した農薬添加試料をGC-MSとGC-MS/MSを用いて測定しました。測定はGCMSはSIM(Selected Ion Monitoring)モードで,GC-MS/MSはMRM(Multiple Reaction Monitoring)モードを用いました。

<結果>
農薬添加試料(0.01mg/L)を,GC-MSのSIMモードとGC-MS/MSのMRMモードでそれぞれ測定して得られたマスクロマトグラムの1例を示します。
マスクロマトグラムから明らかなように,GC-MSのSIMモードでは一部の農薬で,夾雑物とピークが重なり,検出や同定することができませんでした。一方,GC-MS/MSのMRMモードではそれらの農薬を選択的に検出し同定することができました。
レトルトカレーのような夾雑物が多い加工食品中の残留農薬分析では,GC-MS/MSが有効と考えられます。
 

各農薬0.01mg/Lのマスクロマトグラフ

各農薬0.01mg/Lのマスクロマトグラフ

詳細データは,GCMS Application Data Sheetに掲載しています。
No.57 「GC-MS/MSを用いた加工食品中の残留農薬分析」

トリプル四重極型ガスクロマトグラフ質量分析計

  • 夾雑物が多く含まれるサンプルの分析では従来のGC/MSに比べ10倍以上高感度な分析が可能です。
  • 高速スキャン測定での高感度測定も可能で,Scan/MRMなどの複数測定モードの同時分析ができ,正確な定性・定量分析を行えます。
  • GCMS-QP2020シリーズのメソッドとの連携がスムーズに行え,シングルGC/MSとしての利用や,シングルGC/MSのメソッドをもとにしたGC-MSMS用のメソッド開発が簡便です。