細胞培養 - 医薬品
主に化学合成により製造される低分子医薬品に対して、バイオ医薬品は細胞を用いて製造されます。
バイオ医薬品の原料となるタンパク質の産生量や安定性を向上するためには、宿主細胞の代謝を理解することが重要になります。培養液中の有機/無機成分の変動が抗体生産量や品質へ与える影響が注目されており、培養条件に加えて、培養液中のブドウ糖、グルタミン、核酸、ビタミン等の有機成分や銅や亜鉛等の補因子である無機成分の分析が重要と考えられます。
当社は培養における各工程でのモニタリングを通して、品質や生産の最適化をサポートします。

医薬品の開発・製造における細胞培養では、培養条件の最適化が重要です。しかし、培地組成や培養環境のパラメータの組み合わせは無数なため、条件の最適化は熟練者の経験と勘に依存する試行錯誤によって成り立っており、膨大な時間とコストがかかります。AIを用いた培養最適化支援ソフトウェアは、少ない培養実験数による効率的な細胞培養条件の最適化を支援します。

昨今、宿主細胞の開発が盛んに行われており、その代謝を理解することは抗体生産の効率化に重要となります。培養液中の有機/無機成分は培養液中で相互作用しながらその動態に影響することも知られているため、培養液中の有機、無機成分の分析値の統合データ解析が代謝の理解に有効です。

糖鎖は核酸やタンパク質に並ぶ“第三の生命鎖”とも呼ばれ、細胞機能やバイオ医薬品においてその役割が注目されています。その中でも、抗体に付加するN-型糖鎖が薬効や安全性といった医薬品の品質に影響すると知られています。
そのため、糖鎖プロファイルは、抗体医薬品開発において重要品質特性(CQA)の一つとして管理され、目的の糖鎖が結合した抗体を安定的に得るため培養プロセス開発が推進されています。
糖鎖プロファイルの制御を目的とした効率的な培養条件探索のためには糖鎖が形成される機序に着目した戦略的な検討が期待されており、糖鎖形成に関連した解析事例をご紹介します。

細胞培養中の培地成分は、細胞から分泌される代謝物など様々な化合物から構成されるため、培地に含まれる有機成分の一斉分析や無機成分の分析結果は、より詳細にバイオプロセスを考察する上で有用な情報を与えることが期待されます。

培養上清成分プロファイルの取得には作業者の負担が伴います。前処理に加え、最適化された一斉分析メソッドによる測定の自動化を実現したシステムが培養上清成分プロファイルの取得やマーカー探索をサポートします。