オンライン固相抽出装置とトリプル四重極質量分析計を用いた牛乳中のPFAS分析

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ユーザーベネフィット

- 最適化された前処理手法およびLC-MS/MS分析メソッドを用いることで、AOACとEPAがターゲットとする43種類PFASのうち主要なPFOA、PFNA、PFHxS、PFOSについては0.01 μg/kg、その他の化合物は0.1 μg/kgから精度よく定量可能です。 - オンライン固相抽出装置を用いることで前処理精製の大幅な省力化と時間短縮が実現可能です。

はじめに

ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物 (Per- and Polyfluoroalkyl Substances, PFAS) は、4,000以上の有機フッ素化合物の総称です。代表的な化合物としてはペルフルオロオクタンスルホン酸 (PFOS) やペルフルオロオクタン酸 (PFOA) が挙げられます。これらの化合物は優れた撥水性や撥油性、耐熱性、耐薬品性を持ち、化学的に非常に安定です。これらの特徴から防火剤や食品包装材、非粘着性コーティング剤など幅広い用途に使用されています。PFASは構造的に非常に安定であるため自然界で分解されにくく、環境中における残留性があります。 昨今の研究から、PFASが混入した飼料や水を乳牛が取り込むことでPFASが乳製品へ移行することが明らかになっています。人がPFASを含む乳製品を摂取することによる健康被害が懸念されており、乳製品中のPFAS含有量を定量的に把握することは重要であると考えられます。乳製品中のPFASの濃度をモニターするためには、高精度かつ高感度な定量方法が重要です。 本稿では、牛乳中に含まれるPFASを手動で抽出を行い、固相 (SPE)カートリッジのコンディショニング、試料負荷、溶出、LC注入を自動化したオンライン固相抽出装置で精製処理し、LC-MS/MSで分析した例を紹介します。AOAC SMPR2023.003がターゲットとする30化合物とEPA method 1633がターゲットとする40化合物を網羅した43種類のPFASについて定量を行いました。オンライン固相抽出装置を用いた精製方法を検討し、添加回収試験において妥当性を検証しました。SPEによる精製条件やLC-MS/MS分析条件を最適化することにより、すべての化合物で良好な回収率を得ました。また、手作業にかかる時間や作業の手間、精製処理に使用する溶媒量も大幅に削減することが可能となりました。

2025.10.15

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