
GCMS-QP™2020 NX
- 試料を前処理することなく、カットして試料カップに入れるだけの簡便な操作で実試料の分析が可能です。 - 樹脂溶液を含む標準試料を使うことで、実試料に近い条件での分析ができ、定量の信頼性が向上します。 - 当社の高分子添加剤ライブラリにより、検出された化合物の添加剤の情報を得ることも可能です。
6PPD(N-(1,3-ジメチルブチル)-N‘-フェニル-p-フェニレンジアミン)は、さまざまなゴム製品に含まれる劣化防止剤(酸化防止剤)です。特にタイヤのゴムでは、6PPDが劣化を防ぎ、製品寿命を延ばすために重要な役割を果たしています。しかし、6PPDは大気中のオゾンと反応して、毒性の高い物質である6PPD-キノン(6PPD-Q)を生成します。 タイヤが摩耗すると、タイヤから微細な粒子が環境中に放出されます。この粒子は「タイヤ・路面摩耗粉塵(TRWP)」と呼ばれ、6PPD-Qなどのさまざまな化学物質が含まれることがあります。特に雨の日には、これらの粒子が降雨によって河川やその他の水域に流れ込み、マイクロプラスチックとして環境に蓄積される可能性があります。 マイクロプラスチックは、環境や生態系に悪影響を与えることが懸念されています。特に、6PPD-Qは、サケ科魚類、特にギンザケに対して極めて高い急性致死性を示すことが確認されています。 タイヤの安全性と性能を維持しつつ、環境への影響を最小限に抑える商業的な6PPDの代替物は、現在は存在していません。代替物を評価する際は、6PPDの量を正確に把握したうえで、同等の安全性や性能を有し、環境負荷低減に寄与できるかを客観的に比較・評価する必要があります。 本稿では、タイヤゴム中の6PPDを、熱分解-ガスクロマトグラフ質量分析計(熱分解-GC-MS)を使用して分析した事例を紹介します。
2025.09.24
一部の製品は新しいモデルにアップデートされている場合があります。