四重極飛行時間型質量分析計を用いた界面活性剤の分析

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ユーザーベネフィット

-精密質量を取得可能なLCMS-9030によるフルスキャン分析および界面活性剤の化合物リストにより、界面活性剤を幅広くスクリーニングすることが可能です。 -重合度の違いなどがある界面活性剤について連続的に検出することで、アルキル鎖やポリオキシエチレン基などの構造情報を推定することができます。 -狭いm/zウィンドウの抽出イオンクロマトグラム(XIC)描画により、ノイズや夾雑ピークの少ないクロマトグラムが得られます。

はじめに

界面活性剤は同一分子内に親水基と疎水基を併せ持ったユニークな構造をしています。この特性を生かし、台所用洗剤や洗濯用洗剤などの日用品の他、食品、医薬品、化粧品、農薬、接着剤、コンクリート用添加剤など幅広い分野で利用されています。 このように、様々な用途で使われている界面活性剤ですが、飲料や食品への混入や誤飲、医療関係者による輸液への混入など、界面活性剤を含んだ製品が関与した事件や事故が数多く起こっています。その際の原因調査において、界面活性剤を分析することが混入源を突き止めるうえで有効なファクターとなりえます。しかし、界面活性剤には様々な種類があるため、種類を横断し網羅的にカバーできる分析法が必要です。また、1種類の界面活性剤であっても鎖の長さの違いによって化合物が多数存在しているため、それらを連続して検出することも重要です。このような背景から高分解能質量分析装置を用いたターゲットスクリーニングが非常に適した手法と考えられます。 本稿では、四重極飛行時間型質量分析計LCMS-9030を用いた網羅的測定の事例として、お茶飲料に添加した界面活性剤を分析した結果をご紹介します。

2024.05.22