オーバーラップインジェクション機能による有機酸分析の時間短縮

はじめに

有機酸は食品中の酸味成分として知られているだけでなく、抗酸化作用、抗菌作用を持つ食品添加物としても使用されています。また、医薬品では有効成分のカウンターイオンとして含まれており、有効成分の溶解度や安定性を測るために有機酸分析が行われます。いずれの分野でも、製品の品質管理のために多検体を扱うので、より短時間で再現性の高い有機酸分析が行える装置が求められています。 HPLCによるイオン排除モードとポストカラムpH緩衝化電気伝導度検出法を組み合わせた方法では、有機酸を高感度かつ選択的に検出することができます。その一方で、当該手法において高分離を達成しようとする場合には、カラムを2本使用するため、検出するまでに時間を要します。 NexeraTMのオートサンプラSIL-40シリーズのオーバーラップインジェクション機能は連続分析の際、あるサンプルを分析している間に、次のサンプルの注入を可能にします。目的成分の溶出までにかかる時間分を前もって注入することで、連続分析の総分析時間の短縮を実現します。ここでは、SIL-40Cのオーバーラップインジェクション機能を用いた有機酸の連続分析における分析時間短縮の例をご紹介します。

2020.07.07