LC-MSでは、クロマトグラフィーで得られる保持時間と質量分析で得られる m/z の情報、およびイオンの検出強度からなる三次元のデータから構成されます。このデータを、縦軸に強度をとったまま二次元にすると、横軸は保持時間または m/z とした図が得られます。

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横軸に保持時間をとった図はクロマトグラムと呼ばれます。質量分析において描かれるクロマトグラムは、プロットする情報によってさらにいくつかの種類に分類されます。ある m/z の範囲におけるイオンの検出器応答値の合計値をプロットしたものはトータルイオンクロマトグラム(total ion chromatogram;TIC)と呼ばれます。また、特定の m/z のイオンに対する検出器応答値をプロットしたものはマスクロマトグラム (mass chromatogram)または抽出イオンクロマトグラム(extracted ion chromatogram;EIC)と呼ばれます。

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マスクロマトグラムで描かれるピークの面積値を用いることで定量が可能となります。異なる濃度の標準試料を分析し、得られたピークの面積値と濃度の関係をプロットすることで検量線が作成できます。この検量線をもとに、未知試料を分析したときの面積値から濃度を算出することが可能です。

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一方、横軸に m/z をとった図はマススペクトル(または m/z スペクトル)と呼ばれます。構成する元素が同じ化合物のマススペクトルは一致することから、保持時間と m/z の情報から定性が可能となります。

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