応力-ひずみ線図とは

強度試験により得られる応力とひずみの関係を示したグラフを応力-ひずみ線図と言います。

縦軸は応力(材料の単位面積あたりの試験力)を、横軸がひずみ(元の長さから材料を変形させた長さの割合)を示しています。

応力-ひずみ線図

下の図は鉄鋼材料の引張試験を行った際に得られた線図を模したものです。

試験片を引っ張っていくと、応力とひずみの関係が

① 最初は線形に上昇
② ある点でギザギザのカーブで停滞
③ 最後に弧状のカーブを描いて終了

していることを示しています。

鉄鋼材料の引張試験で得られた線図 応力とひずみの関係

応力-ひずみ線図により読み取れる特性値

この応力-ひずみ線図より読み取れる各特性値について順に説明します。

弾性領域/塑性領域

弾性領域/塑性領域

 

線図内でオレンジで示しているのが弾性領域、青色で示しているのが塑性領域です。

弾性領域は「その材料から加えた力を除くと、ばねのように元の形に戻る」領域です。製品設計において使用する特性値が得られます。

塑性領域は「その材料から力を除いても、元の形に戻らない領域」です。加工を行う際の特性値を得る領域となります。

弾性率

弾性率

 

JIS規格では弾性係数と説明されています。一般的には縦弾性係数のことをさし、ヤング率とも呼ばれます。応力-ひずみ線図の弾性領域内の直線範囲の傾きより算出されます。

弾性率が大きいということは、同じ力を加えても変形しにくいということですから、より剛性の高い材料と言えます。

引張強度

引張強度

 

引張強度(引張強さ)は引張試験において最大試験力に対応する応力のことです。その材料が耐えられる最大の力です。

破断伸び

破断伸び

 

引張試験において試験片が2つに切れる点を破断点と言い、その時の伸びを破断伸びと言います。

上降伏点/下降伏点

上降伏点/下降伏点

 

材料を引っ張っていくと、ある時点でそれまで線形であった応力-ひずみ線図が異なる挙動を示します。これは弾性領域から塑性領域への境界で発生します。この塑性変形が始まる応力を降伏点と言います。この塑性変形はしばらくは始まった時の応力値以下で大きな応力の増大を伴わず進行します。

その時の最初のピーク点を上降伏点、最小の応力を下降伏点と呼びます。

しかし、この線図のような降伏現象は一部の鉄鋼材料についてのみ現れ、アルミやプラスチックなどほとんどの材料では現れません。

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