LabSolutions Insight Library Screening - 特長
LC/MS/MS用スクリーニングソフトウェア
一目でわかる、シンプルで効率的な表示
LabSolutions Insight Library Screeningでは、通常のデータレビュー表示に加えて、ライブラリ検索に関する表示が3つ、組み込まれています。
- ライブラリ検索結果
ライブラリ検索を実施した結果の候補化合物が、ライブラリ類似度の高い順に表示されます。 - マススペクトル
上部に採取されたスペクトル、下部にライブラリ検索結果で選択されている化合物の参照スペクトルが表示されます。
目視による確認を要する場合に、ピークプロファイルを直感的に比較できます。 - 化学構造式
ライブラリ検索結果で選択されている化合物の化学構造式が表示されます。
ライブラリ検索という定性的解析を定量プラットホームに統合する大きなメリットは、検索結果と類似スコアを定量結果テーブルに直接表示させ、目印にする(フラッギング)ことができる点にあります。参照イオン比など従来の化合物同定基準では、偽陰性や偽陽性の同定が頻発するため、多くのデータを目視で確認する必要がありました。類似スコアを利用することで、人の目による判断や修正が必要なデータを絞り込むことができ、省力化に寄与します。
2つのデータ取得モードに対応
LabSolutions Insight Library Screeningは、通常のマススペクトルを用いたスクリーニングはもちろん、次の特徴的なスクリーニングを行うことができます。
- MRM-自動プロダクトイオンスペクトルを用いたスクリーニング
- MRMスペクトルモードを用いたスクリーニング
MRM-自動プロダクトイオンスペクトルを用いたスクリーニング
ライブラリ検索のためのデータを取得するスタンダードな方法として、MRM測定に紐づいた自動測定メソッド(Synchronized Survey Scan™)があります。MRMにより高感度に化合物を検出すると同時に、コリジョンエネルギー(CE)の異なる3つのプロ ダクトイオンスペクトルが取得されます。これらのスペクトルはLabSolutions Insight Library Screeningによって自動的に合算され、ひとつのマージスペクトルとしてライブラリ検索に供することができます。このアプローチにより、より多くのプロダクトイオンを捕らえることができ、構造的類似性を持つ化学物質の識別が可能になります。下図は,Synchronized Survery Scan機能を用いたメソッドの例です。MRMの強度がしきい値を超えると自動的にプロダクトイオンスキャンが始まります。
上記のメソッドを用いて測定すると、3つの異なるコリジョンエネルギーのプロダクトイオンスペクトルを合算したマージスペクトルが得られます。このマージスペクトルをライブラリ検索に供することができます。
MRMスペクトルモード
MRMスペクトルモードは、MRMにより取得された定量向けデータをライブラリ検索可能なスペクトルへと変換する画期的な技術です。データ取得の効率性を維持しつつ、複雑性の高いマトリクスにおける煩雑なデータ処理ワークフローを劇的に改善します。
データ取得は通常のメソッドと同じ仕組みで
MRMスペクトルのデータ取得方法は通常の測定と原理的には同じです。違いは、すべてのターゲット化合物について、すべてのプロダクトイオンをカバーする形で、網羅的にMRM測定を行う点です。すべてのプロダクトイオンを最適化されたコリジョンエネルギーで測定できるのもMRMスペクトルモードのメリットです。そのため、プロダクトイオンスキャンと 同じ目的イオンを高感度で検出することができます。多成分一斉分析をこのモードで行うと、数百ものMRMを同時測定することになりますが、高速でも感度を落とさずに測定できるのが、世界最高クラスの速度を誇る島津のLC/MS/MSの強みです。
- 確実なデータ取得:MRMスペクトルモードはMRMの強度によらず常にすべてのプロダクトイオンをモニターしているため、微量の目的化合物でも逃すことなく検出することができます。
- Ready-to-Use:ライブラリスクリーニングオプションに、食の安全および薬毒物アプリケーションに対応したメソッドが収録されています。
データ解析も通常の定量解析ワークフローと同じ流れで
MRMスペクトルのデータ解析は定量結果と同じ画面上で通常の定量解析ワークフローと同じ流れで行うことができます。取得したMRMスペクトル対応のデータをLabSolutions Insight Library Screeningで開くと、化合物ごとに各プロダクトイオンのMRMデータが自動でマージされて、MRMスペクトルと呼ばれる疑似プロダクトイオンスペクトルに変換されます。得られたMRMスペクトルを追加されたライブラリ検索機能で、参照ライブラリに対して検索して化合物を同定します。
- 確実なスクリーニング:スクリーニングに必要な複数のプロダクトイオンをMRMで測定しているため、低濃度域でもスペクトルの質は保持され、高い類似スコアで同定することができます。
- 分析業務の最適化:同定結果を指標に定量対象化合物を抽出して、定量分析ならびに定量データ解析の効率化を図ります。
MRM測定:高感度かつ網羅的なプロダクトイオンの検出
ワークフロー
動物用医薬品スクリーニングをより簡便に
動物用医薬品のスクリーニングでは、大部分のサンプルにおいて何も検出されないか、されたとしても法令基準値を下回る低濃度で検出されます。このため、マトリクス由来の夾雑シグナルが存在している場合に、それが誤って同定されてしまうケースが多くみられます。このような状況に対応したLabSolutions Insight Library Screeningの機能による省力化の一例を示します。
稀に発生する「陽性」を簡単・確実に検知
自動同定基準をゆるめに設定して、予想保持時間近傍のピークを対象としたライブラリ検索を実施し、一定以上のピーク高さのある化合物に対して【高い類似スコア】の条件を満たすものをフラグ機能を使って抽出します。
薬毒物スクリーニングをトータルサポート
薬毒物スクリーニングでは、目的化合物の少なくとも一部がサンプル中に高濃度で存在する一方、構造が似通った類縁体が誤って検出されている可能性を排除するためにライブラリ検索による確実な同定が求められています。LabSolutions Insight Library Screeningでは、スクリーニングに求められる定量性と定性機能を両立させる簡便なプラットホームを実現しました。求められる感度や化合物パネルの大きさによって、2種類の測定方法から選択することができます。前処理キットやメソッドパッケージとあわせて、トリプル四重極型LC/MS/MSシステムによる堅実なソリューションを提供します。