分析法開発支援システム - 特長
分析法開発支援ソフトウェア
実験計画による条件探索の効率化
実験計画を活用したデータ収集により、試行回数を削減した効率的な条件探索が可能。
実験計画を用いた実験点数の削減
Box-Behnken(ボックスベンケン)計画や中心複合計画は、完全実施要因計画に比べて実験点が少ないため、分析時間の短縮が可能です。例えば、有機系移動相の混合比率、ポンプのグラジエント条件、カラムオーブン温度の最適化を3水準にて検討する場合、完全実施要因計画では27点(3×3×3)必要ですが、 Box-Behnken計画では13点、中心複合計画では15点のみで最適化の検討が可能です。
分析スケジュールの簡単作成
スクリーニング時に必要な膨大な数のメソッドファイル及び分析スケジュール作成を、下記①~⑤の5つのステップだけで素早く完了できます。使用する移動相やカラムは1クリックで選択でき、カラム平衡化やブランク分析も反映した網羅的なスケジュールが自動で生成されるため、作業の効率化だけでなく、ミスの低減も可能です。使用する実験計画もワンクリックで選択できます。
※Method Scouting Solutionは、実験計画法には対応していません。
実験計画の選択画面
膨大な数のデータの中から迅速に最適分析条件を発見
スクリーニングでは検討した条件の数だけクロマトグラムが得られるため、どの条件が最適かを評価する必要があります。クロマトグラムを全て人が確認して精査すると多くの手間が発生します。LabSolutions MDでは、各分析条件での分離の状態を以下の式1を用いて定量的に評価を行うことで、素早く簡単に最適な分析条件を探し出すことができます。
※Method Scouting Solutionは、オプションソフトウェアのマルチデータレポートとの併用で対応可能です。
E = P ×(Rs1+Rs2+…RsP) ・・・(式1)
評価値(E)はピーク検出数(P)と分離度(Rs)の和を用いて算出されます。
評価値では、検出された全てのピークを考慮したクロマトグラムの分離の状態を評価できますが、 「ターゲットピーク分離度」にて、特定のピークのみに着目し、分離度を評価することも可能です。
デザインスペースによる分析法の頑健性の視覚化
因子と応答の関係を描画し、最も頑健な分析条件を提案し、頑健性評価までサポート。クロマトグラムのシミュレーションにも対応。
因子と応答の関係の視覚化、最も頑健な分析条件を特定
初期スクリーニングにおいて選択した水系移動相のpH及びカラムを固定し、有機系移動相の混合比率を5点(30%、40%、50%、60%、70%)、カラムオーブン温度を3点(40℃、45℃、50℃)、グラジエントの終濃度を3点(75%、80%、85%)設定し、分析条件の最適化を図りました。パラメータの変動が分離に与える影響を、縦軸を有機系移動相の混合比率、横軸にカラムオーブン温度をとり、デザインスペースとして視覚的に描画可能です。デザインスペースは分離度だけでなく、シンメトリー係数、理論段数といった複数の応答に関して描画することが可能です。
上記2つのデザインスペースを重ね書きすることで最適な分析条件の探索を効率化できます。一例として、最小分離度が1.5以上、テーリング係数(Papaverine)が0.9以上1.2以下、最終ピークの保持時間が9分以下をクライテリアとし、これらを満たす条件領域を、デザインスペースの重ね書きにより左に示しました。
パラメータ(因子)に対して変動の許容値を入力すると、その許容範囲を満たす頑健な分析条件を提案する(左図黒枠内)ことも可能です。
デザインスペースの重ね書きにより、最適な分析条件は有機溶媒の混合比率が60%、カラムオーブン温度が42℃、グラジエント終濃度が75%であることが分かりました。分離度やテーリング係数だけでなく、分析時間も考慮した最適な分析条件の探索が可能です。デザインスペースの活用により、勘と経験に頼らない頑健な分析条件の設定ができます。
任意の分析条件点A(黒枠内青印)をクリックすると、分析条件を変更した際のクロマトグラムの変化を視覚的に予測可能です。
分析前に、条件を任意に変更した際の分離挙動の確認が可能です。
予測に用いる保持時間及びピーク幅の回帰モデルは、任意に設定することができ、精度の高いデザインスペースの作成を支援します(左図)。
逐次実験計画を用いた頑健性評価
頑健性の評価は、分析条件が変動した際に、測定値へ与える影響を理解し、分析法の信頼性を確保するために重要です。逐次実験計画を用いることで、最適化した分析条件に対して、頑健性評価用の分析スケジュールを自動生成可能です。具体的には、有機系移動相の混合比率を1%刻み(59%、60%、61%)で、カラムオーブン温度を1℃刻み(41℃、42℃、43℃)で変動させる(下図の白丸)ことで、 分析条件の変動が保持時間及び分離度に与える影響を確認できます。
頑健性評価において得られたクロマトグラムを下記に示します。すべての評価点におけるクロマトグラムを一覧で並べることで分離度及び保持時間の変動が極めて小さいことが分かり、最適化した分析条件の頑健性の高さを素早く確認できました。分散分析機能を活用すれば、科学的根拠に基づく定量的な判断も可能です。
i-PeakTracerにより化合物ごとに最適なピークトラッキング用のパラメータを自動設定可能です。分析対象が変わった際もパラメータ検討を省力化できます。
データベース一元管理によるデータインテグリティ対応
LabSolutions MDでは、一連の分析で得られる実験計画、デザインスペース、クロマトグラム等を一括でレポート出力するため、分析結果の確認が容易に可能です。また、出力されたレポートは実験計画ファイル、メソッドファイル、バッチファイル、データファイルと併せてLabSolutionsのデータベース内で管理されるため、データインテグリティも担保します。
LabSolutions MDは実験計画の生成、分析の実行、デザインスペースを通した一連の分析法開発にシームレスに対応するため、ファイルのインポート/エクスポート等の煩わしい作業は一切発生しません。
※Method Scouting Solutionも、データベース一元管理に対応しています。
AIによるグラジエント条件の自動最適化
独自のAIアルゴリズムに基づくグラジエント条件の自動最適化
LabSolutions MDは、グラジエント条件の自動最適化のための独自のAIアルゴリズムを搭載しており、分離度のクライテリアを設定することで、これを満たすグラジエント条件の探索を自動化します。通常のメソッド開発ワークフローでは、分析スケジュールの作成やデータ解析においては、「人」による介入が必要です。一方、本機能は分析で得られたデータを基に次のグラジエント条件を自動生成し登録するため、「人」の介入なくして、無人でグラジエント条件の探索が可能です。
分離度のクライテリアを満たすグラジエント条件を自動探索
初期分析条件及び分離度のクライテリアの設定をすることで、クライテリアを満たすグラジエント条件を自動探索できます。AIにより自動探索が行われるため、クロマトグラフィーに対する経験の有無によらず誰でも簡単に条件探索が可能です。
機能性食品のグラジエント条件の最適化への適用
グラジエント条件の自動最適化機能をカテキン類及びテアフラビン類の一斉分析に適用した事例を次ページに示します。初期分析結果では、 G1及びC1と、T1及びT2の分離が不十分(図中赤枠内)でしたが、AIアルゴリズムによる条件探索により、最終的にはクライテリア(最小分離度:1.5)を満たすグラジエント条件が自動探索(図中緑枠内)されました。また、図中の青線は各分析におけるグラジエント条件を示しています。
柔軟なシステム構成
島津が提供する多様なLCラインアップでメソッドスカウティングが可能です。SFCでの検討や省スペースで簡易的な検討など、運用に即したシステム構成でお使い頂けます。 LCMS-2050にも対応しております。
Nexera™ メソッドスカウティングシステム
・移動相やカラムを自動で切り換えながら 条件検討可能
・130MPaのUHPLCモデルやメソッド移管を想定したUHPLC-Likeモデルを用いたシステム構築に対応
i-Series メソッドスカウティングシステム
・ルーチン試験への移管コストを削減
・省スペース・低コストを実現
超臨界流体クロマトグラフ Nexera/UCs UHPLC/SFC切換システム
・キラル化合物のメソッド検討にも最適
・LC/SFC切換に対応し、複数の分離モードで検討が可能
移動相ブレンディングによる省力化
移動相ブレンディング機能は、あらかじめ用意した数種の移動相のみで、pHおよび有機系移動相の混合比率を任意に変更し自動調製し、これまで移動相の準備に要していた時間を大幅に短縮します。i-Seriesでは、低圧グラジエントを用いた水系、有機系それぞれ2種ずつの移動相ブレンディングが実行できます。
LCMS-2050による省スペース化でラボの生産性を最大化
LCMS-2050は、広いマスレンジ(m/z 2~2,000)、最短6分のクイックスタート、工具不要のイージーメンテナンスなど、LCの検出器としての使いやすさに革新をもたらす技術を満載したシングル四重極MSです。 LCユニットとの積み重ねが可能なため、MS増設時の省スペース化に貢献します。詳細はカタログ「高速液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-2050(C146-2256)」をご参照ください。