赤外分光光度計70年の歩み

 


 

 


  • 1956_ar-275
  • 1956

    AR-275

    ダブルビーム自記赤外分光光度計を発売

米国でのダブルビーム自記赤外分光光度計の発売後、国内の大学、研究機関、医薬・化学企業での採用や、赤外線関係の研究会・懇話会の発足など、日本での赤外ブームを背景に、当社は同装置の開発に着手した。「自記」とは、装置が測光しながら自動で赤外スペクトルを記録することを意味し、すなわち、スイッチを押して待っていればスペクトルが得られるというものである。しかし、開発の道のりは平坦ではなく、プリズムである良質な岩塩の人工結晶の作製や、検出器である高感度な熱電対の開発といった技術的課題に直面した。岩塩結晶は大学の指導により自作可能となったが、熱電対は米国製を採用することで解決を図った。また、岩塩プリズムは湿気に弱く潮解性があるため、製造には専用の恒温低湿室を用意する必要もあった。これらの困難を乗り越え、1956年、コリメータ鏡の焦点距離を型番の由来とする当社初のダブルビーム自記赤外分光光度計を完成させた。

 


  • 1965_ir-27g
  • 1965

    IR-27G

    赤外分光光度計に回折格子を搭載し、メンテナンス性を大幅に向上

岩塩プリズムの潮解性による厳しい設置環境の制約を解決すべく、分散素子に回折格子を用いた赤外分光光度計が開発された。1枚の回折格子では測定波長範囲が狭いため、中赤外全域を測定するには複数枚を切り替える必要があり、独自の「スライドミラー方式」による機構を考案した。また、回折格子特有の不要な高次数の光が混入する問題に対しては、米国のベンチャー企業が開発した赤外線干渉フィルターを採用して解決した。これらの工夫を経て、1965年に当社初となる回折格子を使用したダブルビーム自記赤外分光光度計が発売された。これにより、特別な恒温低湿室での管理が不要となり、装置のメンテナンス性が大きく向上した。

 


  • 981_ir-435
  • 1981

    IR-435

    データプロセッサを内蔵し、パラレルラインプリンタを赤外分光光度計に採用

IR-435型は当社初のマイクロコンピュータ内蔵ダブルビーム自記赤外分光光度計で、スペクトルの記憶、差スペクトル、ピーク検出などのデータ処理が行え、赤外分光光度計の機能を大きく向上させた。この間、分散型赤外分光光度計としてIR-400、IR-440をはじめ数々の製品を開発販売してきた。


  • 1984_ftir-4000
  • 1984

    FTIR-4000

    分散型より光量の利用率を大幅に高めたフーリエ変換赤外分光光度計

分散型赤外分光光度計は光量利用率が低く、検出器も低感度なため微小試料の測定が困難であった。また、ノイズを抑えた測定には長時間を要するという課題があった。これらの難題を解決する当社初のFTIRが完成した。エアベアリングを搭載し、最高分解能は2 cm-1。当時の主流である分散型IRと同じ感覚で使えるよう、ダブルおよびシングルの両ビーム方式を選択可能にした。装置は115 kgと大型で、操作部はモノクロCRTや8インチFDを備えた専用機であった。定価900万円台はFTIRとしては破格だったが、分散型IRよりは高価だったため、販売台数は50余台にとどまった。分散型赤外分光光度計としては、1988年発売のIR-470が最後となり、FTIRに置き換わっていった。

 


  • 1990_ftir-8100
  • 1990

    FTIR-8100

    大幅な小型化と低価格化と同時に、多機能・高性能化を実現

外観を一新し、FJS機構とダイナミックアライメント機構を搭載した新機種(最高分解能2 cm-1)を発売した。機能と価格の両面で米国メーカーに対抗し、急速にシェアを回復した。操作部は専用機であったが、キーボードのファンクションキーを用いてスペクトル測定や画面の拡大・縮小、データ処理などが可能となり、従来シリーズと比べて操作性が大幅に向上した。

  •  
    2002-irprestige-21
  • 2002

    IRPrestige-21

    当時最高レベルのS/N40,000:1以上に除湿機構を搭載したハイエンドFTIR

従来のFTIRは測定波数範囲の拡張が課題であった。その要望に応えるべく、ビームスプリッタ交換時の干渉状態をソフト操作で最適化できるようダイナミックアライメント機構を改良した。また、検出器の改良による感度向上や、除湿器の内蔵によるメンテナンス性の向上も実現した。これらの新技術を取り入れ、当時最高レベルのS/Nと第2世代ソフトウェア「IRsolution」を備えたIRPrestige-21を発売した(最高分解能0.5 cm-1)。

 


  • 2008_iraffinity-1
  • 2008

    IRAffinity-1

    従来機比約20%の小型化を実現し、異物解析プログラムを搭載

汎用FTIRの後継機を発売した。本機はハードとソフトの両面で仕様を大幅に向上させた小型・高機能モデル。ハード面では、汎用機最高レベルとなる30,000:1以上のS/Nと最高分解能0.5 cm-1を実現した。また、光学系の改良により従来機から設置面積を約20%削減したほか、干渉計内の水分を電気分解して除去するオートデシケーターを内蔵し、メンテナンス性を高めた。ソフト面では、需要の高い異物分析において混合物の複数成分同定も可能な「異物解析プログラム」と、受入・出荷検査時の良否判定に有効な「日本薬局方対応プログラム」を標準装備し、分析業務を強力にサポートした。


  • 2013_irtracer-100
  • 2013

    IRTracer-100

    S/N60,000:1の高感度、0.25 cm-1の高分解測定を実現

最高分解能を0.25 cm-1、S/Nを60,000:1へと大幅に向上させた。このS/Nは、約30年前の機種と比較して60倍以上の性能向上となる。さらに、高速で移動鏡をスキャンするラピッドスキャン機能も新たに搭載した。また、本機種より制御ソフトウェアが第三世代の「LabSolutions IR」へと移行し、操作性と機能性が大きく向上した。

 


  • 2017_irspirit
  • 2017

    IRSpirit

    A3サイズ以下、重さ8.5 kgの小型高性能FTIR

実験室の有効活用や狭小空間への設置など、省スペース化の要望に応え、2017年に「IRSpirit」シリーズを発売した。従来機と比べ設置面積を約1/7、重さを約1/14へと大幅に小型・軽量化し、一人でも持ち運び可能とした。単なる小型化にとどまらず、各種付属品に対応する大きな試料室を確保し、従来の応用性を維持している。さらに現場の意見を取り入れ、2面からのアクセスを可能にする新設計を採用した。さらに、23種類のアプリケーションを収録した分析ナビゲーションプログラム「IR Pilot」を標準装備し、初心者でも簡単な操作で測定から印刷まで行えるようになった。


  • 2022_irxross
  • 2022

    IRXross

    ミドルクラスのサイズでありながら、ハイエンドクラス並のS/Nを実現

上位モデルをベースに開発したミドルクラスのFTIRを発売した。本機は波数拡張性とS/Nを除き、上位機と同等の性能を備える。S/Nはクラス最高レベルの55,000:1以上を実現し、短時間で高品質なデータ取得が可能である。また、最高分解能0.25 cm-1による精密なピーク分離や、20回/秒の高速測定による化学反応の追跡など、高度な分析に対応する。なお、設置環境に応じて2種類の窓板が選択可能である。

 


  • 2022_airsight
  • 2022

    AIRsight

    赤外分光法とラマン分光法を融合したオンリーワンの赤外ラマン顕微鏡

赤外分光顕微鏡とラマン分光顕微鏡を1台に統合した世界で唯一のシステムを発売した。最大の特徴は、サンプルを移動させずに同一箇所で赤外とラマンの両スペクトルを取得できる点にある。これにより、有機物の同定に優れる赤外分光と、無機物や炭素材料の分析に強いラマン分光を相補的に活用でき、微小異物や不良解析の精度が飛躍的に向上する。また、専用ソフトウェアにより両方のデータを一元管理・解析できるため、操作性や作業効率も高い。さらに、2つの装置を統合したことで、実験室の省スペース化にも大きく貢献する。


  • 2023_aimsight
  • 2023

    AIMsight

    広視野カメラを搭載し、簡単に見る⇒測る⇒判るを実現する赤外顕微鏡

微小異物の迅速かつ正確な分析を支援する赤外分光顕微鏡を発売した。最大の特徴は、広視野カメラと顕微カメラを組み合わせた観察機能により、広範囲のサンプル確認から微小なターゲットの特定までをスムーズに行える点である。また、高いS/Nを実現しており、極微小なサンプルであっても高品質なスペクトルを取得できる。さらに、測定からデータ解析までを直感的に操作できる専用ソフトウェアを搭載している。

 


  • 2023_irspirit-x
  • 2023

    IRSpirit-X

    10年保証による信頼性と、すぐに使える操作性を両立した小型高性能FTIR

小型FTIRを更に進化させた「IRSpirit-X」シリーズを発売した。特徴は、対話形式で一連の分析をナビゲートするプログラム「IR Pilot」に加え、取得したスペクトルの質をアドバイスする「スペクトルアドバイザー」機能を標準装備している。安心の部品10年保証を導入している。高温多湿環境における使用を考慮した、ZnSe製ビームスプリッタを搭載したIRSpirit-ZXをラインアップに追加し、LX、TX、ZXの3モデルを展開している。
消耗品、FTIR本体以外の付属品、PCおよびその周辺機器、取扱説明書、治具類、2年目以降の作業費は保証対象外です。消耗品には窓板やオプションの除湿器が含まれます。